夏はキラキラ☆大嫌い
雨の日【秘密基地】
水滴が落ちる音が聴こえる。
ぴちょぴちょぴちょぴちょ…。
小雨が落ちる音。細かい雨のリズムは小刻みだ。雨が染み込み、びちょびちょになった土で、可愛い音を奏でる。
トッ……トッ……トッ……トッ……。
屋根から滴り落ちる音。降った雨がすぐには落ちず、水滴になって、地面を叩く。雨粒よりも力強く、刻むリズムはおおらかに。
その日は、ずっと雨が続いていて、僕はすごく退屈していた。
「こりゃ明日のお祭りも中止かもねぇ」
おばあちゃん達が晩ごはんのあと、そう話しているのを聴いて、僕は"カチンと"来てしまった。
せっかく、いとこのお兄ちゃんやお姉ちゃん達が遊びに来ているのに、どこにも遊びに行けやしない。雨がずぅーーっと降っているせいで。宿題はとっくに終わらせたし、てるてる坊主だって作ったのに……。
とうとう僕は堪忍袋の緒が切れてしまって、窓に並んでいたてるてる坊主の一体を引き千切った。自分で描いた顔だけど、何だか作り笑いをしているみたいでムカついた。
でも、どんなに腹が立っても、どんなにひとりになりたくても、今日のお家にはどの部屋にも誰かがいる。おばあちゃんとおじいちゃんに会いに親戚が帰ってきているのだ。おじちゃんもおばちゃんも、みーんな。
そこで、僕は、“隠れ家”に向かうことにした。
それは、奥の部屋の押し入れ。自分の部屋がない僕のための秘密の部屋。
お客さんが来るとお布団を出すから、いつもこの時期は広くなるんだ。
「あれ?」
去年の秋にうっかりぶつかって破いてしまった襖はちゃんと張り直してあった。玄関の扉にあるドアスコープみたいに覗くのが、楽しかったのに。
穴の空いていたところをなぞっていると、また破れてしまいそうになったので、慌てて手を引っ込めた。だけど、なぞった形に凹んでしまった。
綺麗になった押し入れの中は、襖を閉めるとただただ真っ暗で、襖の隙間からの細い光がすぅーっと伸びている。じっと見つめていると、居間でみんなが話す声がぼんやり聴こえて、少しタイクツな気がした。でも、僕は知ってるんだ。
押し入れの中の壁にもたれると、家の中よりも外の音の方ががよく聴こえるのだ。
“しとしと”と降る雨の音が、“しとしと”だけじゃないことにふと気づいて、耳を澄ませる。
土に落ちる音、アスファルトに落ちる音、屋根に落ちる音、屋根から落ちる雫の音、雨の中を走る車の音、雨の中を歩く音……。
身体に響く雨の音は“BGM”みたいで、僕はもっと眠たくなっていった。
ふと、家の中が騒がしくなっていて、目を覚ます。
そぉーっと、襖を開けて見ると、ちょうどおばあちゃんが目の前を横切った。
「あっ!
もう、こんなところにいたの?!」
元々色白なのに、さらに真っ青な顔になっているおばちゃんにびっくりしていると、他の大人たちも集まってきた。まるで、何だか僕のことを探してたみたいだ。
ホントに僕のことをみんなで探していたみたいで、その後飛びっきりに怒られた。僕はボロボロ泣いた。
お風呂上がりに、みんなでアイスを食べているとき、従姉ちゃんが「どうして、押し入れに隠れてたの?」と聞いたんだけど、もう忘れてしまって、答えられなかった。
すると、従姉ちゃんは少し首を傾げて、明日はみんなでかくれんぼをしようと約束してくれた。
お家の中で、静かにかくれんぼ。明日になるのが楽しみだ。でも、晴れたらもっと良いのにな。
窓の方を見ると、お母さんがつけ直してくれたてるてる坊主がこっちを見てニッコリ笑っていた。
ぴちょぴちょぴちょぴちょ…。
小雨が落ちる音。細かい雨のリズムは小刻みだ。雨が染み込み、びちょびちょになった土で、可愛い音を奏でる。
トッ……トッ……トッ……トッ……。
屋根から滴り落ちる音。降った雨がすぐには落ちず、水滴になって、地面を叩く。雨粒よりも力強く、刻むリズムはおおらかに。
その日は、ずっと雨が続いていて、僕はすごく退屈していた。
「こりゃ明日のお祭りも中止かもねぇ」
おばあちゃん達が晩ごはんのあと、そう話しているのを聴いて、僕は"カチンと"来てしまった。
せっかく、いとこのお兄ちゃんやお姉ちゃん達が遊びに来ているのに、どこにも遊びに行けやしない。雨がずぅーーっと降っているせいで。宿題はとっくに終わらせたし、てるてる坊主だって作ったのに……。
とうとう僕は堪忍袋の緒が切れてしまって、窓に並んでいたてるてる坊主の一体を引き千切った。自分で描いた顔だけど、何だか作り笑いをしているみたいでムカついた。
でも、どんなに腹が立っても、どんなにひとりになりたくても、今日のお家にはどの部屋にも誰かがいる。おばあちゃんとおじいちゃんに会いに親戚が帰ってきているのだ。おじちゃんもおばちゃんも、みーんな。
そこで、僕は、“隠れ家”に向かうことにした。
それは、奥の部屋の押し入れ。自分の部屋がない僕のための秘密の部屋。
お客さんが来るとお布団を出すから、いつもこの時期は広くなるんだ。
「あれ?」
去年の秋にうっかりぶつかって破いてしまった襖はちゃんと張り直してあった。玄関の扉にあるドアスコープみたいに覗くのが、楽しかったのに。
穴の空いていたところをなぞっていると、また破れてしまいそうになったので、慌てて手を引っ込めた。だけど、なぞった形に凹んでしまった。
綺麗になった押し入れの中は、襖を閉めるとただただ真っ暗で、襖の隙間からの細い光がすぅーっと伸びている。じっと見つめていると、居間でみんなが話す声がぼんやり聴こえて、少しタイクツな気がした。でも、僕は知ってるんだ。
押し入れの中の壁にもたれると、家の中よりも外の音の方ががよく聴こえるのだ。
“しとしと”と降る雨の音が、“しとしと”だけじゃないことにふと気づいて、耳を澄ませる。
土に落ちる音、アスファルトに落ちる音、屋根に落ちる音、屋根から落ちる雫の音、雨の中を走る車の音、雨の中を歩く音……。
身体に響く雨の音は“BGM”みたいで、僕はもっと眠たくなっていった。
ふと、家の中が騒がしくなっていて、目を覚ます。
そぉーっと、襖を開けて見ると、ちょうどおばあちゃんが目の前を横切った。
「あっ!
もう、こんなところにいたの?!」
元々色白なのに、さらに真っ青な顔になっているおばちゃんにびっくりしていると、他の大人たちも集まってきた。まるで、何だか僕のことを探してたみたいだ。
ホントに僕のことをみんなで探していたみたいで、その後飛びっきりに怒られた。僕はボロボロ泣いた。
お風呂上がりに、みんなでアイスを食べているとき、従姉ちゃんが「どうして、押し入れに隠れてたの?」と聞いたんだけど、もう忘れてしまって、答えられなかった。
すると、従姉ちゃんは少し首を傾げて、明日はみんなでかくれんぼをしようと約束してくれた。
お家の中で、静かにかくれんぼ。明日になるのが楽しみだ。でも、晴れたらもっと良いのにな。
窓の方を見ると、お母さんがつけ直してくれたてるてる坊主がこっちを見てニッコリ笑っていた。

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