二話

今日も、数日ぶりに気分が良かった。
外に出てみようと思う。もしかしたら、彼に会えるかもしれないという淡い期待を抱きながら。
彼が、母親のことを話してくれた時、悲しそうに話していた彼はどんな気持ちだったんだろうか。
きっと、言葉には表せないほど辛くて、悲しくて、苦しかったんだろう。
「今日も会えないか」そう思い肩を落としていると黒いものが私を覆った。
頭を上げるとそこには彼の姿があった。
「やぁ。八重花。久しぶりだね」
「慎太郎、、さん」
辿々しくなってしまう。
「慎太郎で良いよ」
彼は、また、ニコリと笑った。
あ。となにかを思い出したように、右手に持っていた袋の中からご当地ストラップを取り出した。