魔法外科医は癒やし系少年
涼波ハルカの喪失-28 ☸ ダリアの使命
=== ✽ ✽ ✽ ===
ロビとハルカは、召喚契約をした山頂の岩陰で、ビスケットとジャーキーを食べていた。
<ハルカ、そろそろ、下山しようか>
<はい>
二人はまだ回復直後と言うこともあり、体力が戻っておらず、いつもなら三十分もかからない山道を一時間ほどかけて歩き、馬が繋いであるところまで戻ってきた。
<ハルカ、馬は乗れる?>
<大丈夫、ハルカを見ていた>
<じゃあ、行こうか。ついてきて>
<はい>
(意識の支配域みたいのがあるのかな。意識共存うまくできていないからひっくり返っちゃったのかな)
ロビは馬を走らせながら考えていた。
(ハルカの意識は今、どうなっているかわからない。ハルカと名付ける前のネネの話から推測するに、恐らく、今の行動を見ているのかも。そして、元ネネはハルカの記憶を見ることができ、ここ数日、ハルカが経験したことは考える間もなく実行できるって感じかな)
屋敷に戻ると、ダリアは血だらけのロビを見て取り乱した。
「大丈夫だよ。もう治っている。なんか、山で密猟団に会っちゃって大変なことになってさ」
「ロビ様、ロビ様、ロビ様」
ダリアはロビをきつく抱きしめた。
「ダリア、痛いよ、落ち着いて、ほら、元気だから」
「でも痛かったんでしょう?ロビ様、私はロビ様の心が心配なんです」
「ダリア、ロビ様のためにお湯を用意してあげなさい」
ウグルスが割って入ってくれた。
「はい」
「一緒に準備しようよ、ダリア。ハルカもおいで。あちこち汚れているから」
三人は厨房に向かい、竈で温められたお湯を桶に移した。お湯は、ロビの帰宅する時間を見計らっていつもダリアが用意してくれている。
「ダリア、桶はハルカと二人で持っていくから、着替えを持ってきてくれる?
「かしこまりました」
ロビとハルカは浴室へ行き、お湯をたらいに入れた。浴室には水瓶がおいてあり、たらいに水も入れて温度調節をする。
「ロビ様、着替えをお持ちしました。お背中流しましょうか?」
「あ、今日はハルカにやってもらうから。ダリアは馬を返してきてくれる?」
「はい」
(あれ?なんかダリア、残念そうな顔をしている。どうしたのかな)
「ロビ様」
振り返るとハルカは服の脱ぎ方がわからず困っているようだった。ロビは自分の服を脱ぎ、横に置いてあるかごに服を入れ、ハルカの服も脱がせた。
「じゃあ、僕から」
ロビはたらいに入ると中に座り、布をお湯で湿らして身体を拭き始めた。ハルカも布を手に取り、たらいの外で自分の頭や背中を拭き始めた。
「ねえ、ハルカ、魔法、誰が手術したの?」
「誰かはわからない。人、たくさんいた。あの男もいた」
「あの男って、最後に僕達を殺そうとした奴のこと?」
「そう」
「そうか。いつ頃?」
「オリシス家、来た時」
「魔法は何回使った?」
「手術の後、たくさん使った」
「そうなんだ、あ、ハルカ、そこの大きい布、取ってくれる?」
「はい」
(オリシス家に来た時ということは三年前か)
ロビはたらいから立ち上がると、身体を拭き始めた。
「ハルカもたらいに入って身体をきれいにして」
ハルカはたらいの中で自分の身体を拭き始め、ロビもそれを手伝った。
「今、気持ちいい。前、水、かけられた」
ハルカが話し始めた。
「冬、冷たかった」
「そっか、ハルカは水をかけられていたんだ。大変だったね」
(獣人族は寒さにも強いけど、冬に水だと、さぞかし大変だったんだろうな)
ロビはハルカの背中を拭き終わると、ハルカが立ち上がらせ、大きな布を被せた。ハルカは、身体を拭き始めた。
「ロビ様」
「どうしたの?」
ハルカは目を潤ませながらロビを見た。
「ほしい」
「うん、いいよ」
ロビはハルカを立たせたまま、後ろから抱きしめ、角度を調整しながら押し込んだ。
「あっ」
(そういえば、獣人族って、これが普通だったようなことを何かで読んだな。魔石獣とかに襲われそうになっても、すぐに対処できるように、立ったまま、後ろからするんだった)
=== ✽ ✽ ✽ ===
(大丈夫かな、上手に食べてくれるかな)
ハルカは夕食も以前のハルカのように行儀よく食べた。その他の振る舞いも含めて、ハルカの精神体が転移してからのことは一通りできている。
ロビは夕食後、これまでと同じように大陸公用語を教えた。今日は挿絵のたくさん入った物語が書かれている書物だ。
以前のハルカより憶えている言葉の数は多かったが、文字は書けない。また、複雑な単語もわからない。ハルカはゆっくりと大陸公用語を書き写し、しばらく考え込んで異世界の文字で対応する言葉やふりがなを書き込んでいた。
「ダリアです。よろしいですか?」
「あ、いいよ、入って」
ドアが開き、ダリアが入ってきた。
「ロビ様、後でお話したいことがあるのですが……」
「うん、わかった。もうちょっとでハルカの勉強、書物への清書だから、少し後でいい?」
「はい。頃合いを見計らってまた来ます」
「いや、後でダリアの部屋に行くよ」
「わかりました」
ハルカは、ロビに教えてもらいながら書物を一通り読み終えて紙に書き終わると、ロビを見た。
「大丈夫、これ、こっち、書く、一人、できる」
「うん、じゃあダリアの部屋に行ってくるね」
(ダリア、どうしたんだろう。呼ばれなくても毎晩ダリアの部屋に行っているのに)
「ダリア、いいかな?」
ロビはダリアの部屋の前に立つと、ドアをノックした。ドアがゆっくりと開き、ダリアがいきなりロビに抱きついた。
「ど、どうしたの?ダリア。あ、あれ?」
ダリアはロビを部屋の中にを抱きかかえると、器用にドアを閉めベッドに座った。ダリアのベッドはロビのベッドより狭いが、召使いの部屋としてはかなり広い。ソファなどは無いが、デスクなど、一通りのものはある。
「ちょ、ちょっとダリア」
ダリアはロビの服をすべて脱がし、自分も服を抜いた。
(どうしたんだろう?いつものダリアと様子が違う)
ダリアはロビの顔を舐め始めた。そして、顔だけでなくロビの全身にある傷を舐めた。
「ロビ様」
ようやくダリアが口を開いた。
「どうしたの?ダリア、何か変だよ」
「ロビ様はもっと自分のことを大切にしてください」
「う、うん、ちゃんと大切にしているよ」
「怪我は治せても心の傷は治せません。こんなに傷を負って、さぞかし痛かったでしょう?」
「う、うん、まあ、それなりには」
「今日だって、何があったのかはわかりませんが、本当はロビ様とハルカだけなら逃げられたのではないのですか?」
「その通りだけど、ちょっと知り合いがいてさ」
「私もジェンも旦那様から特別な指示をされています」
「父様から?どういうこと?」
「それは『かわいがること』です。ロビ様は幼少の頃は本家の離れに住み、奥様も亡くなられ、そのまま王立学院に入学されこの屋敷に住んでいます」
(母様は、亡くなったんじゃなくて消失したんだけどな)
「旦那様は、ロビ様が肉親の愛情を受けず、いびつな形をした心になってしまうことを大変心配されています」
「親御さんのいない子どもたちだってしっかり育つんだから大丈夫だよ」
「ロビ様の場合は状況が異なります。ロビ様には肉親がおられます」
「じゃあ、どうして父様は僕に会ってくれないの?」
「それはわかりませんが、心当たりはあります。でも、話すのはもう少し後にさせてください」
「わかった」
(僕って、そんなに変なのかな)
「ねえ、ダリア、僕のどこが変なの?」
「ご自愛なさらないところです。いつも、自分さえ耐えればいいと思っていませんか?」
「誰かが困っていたら、助けるのは普通じゃないの?」
「その通りですが、ロビ様の場合、いつも大きな事に関わってしまい、最後は自虐行為と同じぐらいひどい行動で解決しようとされます」
「確かに言われてみればそうかも」
「それは痛みとしてロビ様の心を傷つけますし、ロビ様を大切に思っている人々の心も傷つけます」
「じゃあ、僕は、僕はどうしたらいいの?どうしたら人に必要とされ続けるの?」
(あれ?なんか、涙が出てきちゃった)
「もっと人を頼ってください。そして、ロビ様の心の傷が増えない範囲で対応してください。すべて自分で背負おうとしないでください」
「うん」
「心配なさらなくても、誰もがロビ様のことを必要としています」
「そうなの?何もしなくても?」
「はい。ロビ様は人様に優しく接するだけで、十分、必要とされるお人柄です」
「そうなのかな」
「ロビ様には、気を許せる友達とかいらっしゃらないのですか?」
ロビは少しためらった。
「みんなに気を許しているつもりだけど、でも、みんなに話せないことがあるんだ」
「それはどんなことですか?」
「ごめん、言えない……でも……例えば回転式光弾銃を発明したり、双輝鋭刃を起動したことだって、秘密にしている能力があったからできたことだし、僕だけの知識じゃないんだよ」
「家庭教師に教えてもらった知識のひとつですか?」
「それは違う。レカサも知らなかった」
「それでは、どなたの知識なのですか?」
「言えない」
「そうですか……旦那様方はいつもロビ様のことを大切に思い、心配しておられます」
「そうなのかな」
「私も同じように心配しています。ロビ様、もっと泣いていいんですよ」
「うん」
「ロビ様は弱くていいんですよ」
「うん」
<ハルカ、今日はダリアと寝るから、一人で寝てくれる?>
<わかった。大丈夫>
<おやすみ>
「ダリア、していい?」
「もちろん、喜んで。あら、ロビ様から求められたのは初めて?」
「ダリアと繋がっていたい気分なんだ」
「私で良ければ気が済むまで」
「うん」
ロビはダリアに抱き着いた。
ロビとハルカは、召喚契約をした山頂の岩陰で、ビスケットとジャーキーを食べていた。
<ハルカ、そろそろ、下山しようか>
<はい>
二人はまだ回復直後と言うこともあり、体力が戻っておらず、いつもなら三十分もかからない山道を一時間ほどかけて歩き、馬が繋いであるところまで戻ってきた。
<ハルカ、馬は乗れる?>
<大丈夫、ハルカを見ていた>
<じゃあ、行こうか。ついてきて>
<はい>
(意識の支配域みたいのがあるのかな。意識共存うまくできていないからひっくり返っちゃったのかな)
ロビは馬を走らせながら考えていた。
(ハルカの意識は今、どうなっているかわからない。ハルカと名付ける前のネネの話から推測するに、恐らく、今の行動を見ているのかも。そして、元ネネはハルカの記憶を見ることができ、ここ数日、ハルカが経験したことは考える間もなく実行できるって感じかな)
屋敷に戻ると、ダリアは血だらけのロビを見て取り乱した。
「大丈夫だよ。もう治っている。なんか、山で密猟団に会っちゃって大変なことになってさ」
「ロビ様、ロビ様、ロビ様」
ダリアはロビをきつく抱きしめた。
「ダリア、痛いよ、落ち着いて、ほら、元気だから」
「でも痛かったんでしょう?ロビ様、私はロビ様の心が心配なんです」
「ダリア、ロビ様のためにお湯を用意してあげなさい」
ウグルスが割って入ってくれた。
「はい」
「一緒に準備しようよ、ダリア。ハルカもおいで。あちこち汚れているから」
三人は厨房に向かい、竈で温められたお湯を桶に移した。お湯は、ロビの帰宅する時間を見計らっていつもダリアが用意してくれている。
「ダリア、桶はハルカと二人で持っていくから、着替えを持ってきてくれる?
「かしこまりました」
ロビとハルカは浴室へ行き、お湯をたらいに入れた。浴室には水瓶がおいてあり、たらいに水も入れて温度調節をする。
「ロビ様、着替えをお持ちしました。お背中流しましょうか?」
「あ、今日はハルカにやってもらうから。ダリアは馬を返してきてくれる?」
「はい」
(あれ?なんかダリア、残念そうな顔をしている。どうしたのかな)
「ロビ様」
振り返るとハルカは服の脱ぎ方がわからず困っているようだった。ロビは自分の服を脱ぎ、横に置いてあるかごに服を入れ、ハルカの服も脱がせた。
「じゃあ、僕から」
ロビはたらいに入ると中に座り、布をお湯で湿らして身体を拭き始めた。ハルカも布を手に取り、たらいの外で自分の頭や背中を拭き始めた。
「ねえ、ハルカ、魔法、誰が手術したの?」
「誰かはわからない。人、たくさんいた。あの男もいた」
「あの男って、最後に僕達を殺そうとした奴のこと?」
「そう」
「そうか。いつ頃?」
「オリシス家、来た時」
「魔法は何回使った?」
「手術の後、たくさん使った」
「そうなんだ、あ、ハルカ、そこの大きい布、取ってくれる?」
「はい」
(オリシス家に来た時ということは三年前か)
ロビはたらいから立ち上がると、身体を拭き始めた。
「ハルカもたらいに入って身体をきれいにして」
ハルカはたらいの中で自分の身体を拭き始め、ロビもそれを手伝った。
「今、気持ちいい。前、水、かけられた」
ハルカが話し始めた。
「冬、冷たかった」
「そっか、ハルカは水をかけられていたんだ。大変だったね」
(獣人族は寒さにも強いけど、冬に水だと、さぞかし大変だったんだろうな)
ロビはハルカの背中を拭き終わると、ハルカが立ち上がらせ、大きな布を被せた。ハルカは、身体を拭き始めた。
「ロビ様」
「どうしたの?」
ハルカは目を潤ませながらロビを見た。
「ほしい」
「うん、いいよ」
ロビはハルカを立たせたまま、後ろから抱きしめ、角度を調整しながら押し込んだ。
「あっ」
(そういえば、獣人族って、これが普通だったようなことを何かで読んだな。魔石獣とかに襲われそうになっても、すぐに対処できるように、立ったまま、後ろからするんだった)
=== ✽ ✽ ✽ ===
(大丈夫かな、上手に食べてくれるかな)
ハルカは夕食も以前のハルカのように行儀よく食べた。その他の振る舞いも含めて、ハルカの精神体が転移してからのことは一通りできている。
ロビは夕食後、これまでと同じように大陸公用語を教えた。今日は挿絵のたくさん入った物語が書かれている書物だ。
以前のハルカより憶えている言葉の数は多かったが、文字は書けない。また、複雑な単語もわからない。ハルカはゆっくりと大陸公用語を書き写し、しばらく考え込んで異世界の文字で対応する言葉やふりがなを書き込んでいた。
「ダリアです。よろしいですか?」
「あ、いいよ、入って」
ドアが開き、ダリアが入ってきた。
「ロビ様、後でお話したいことがあるのですが……」
「うん、わかった。もうちょっとでハルカの勉強、書物への清書だから、少し後でいい?」
「はい。頃合いを見計らってまた来ます」
「いや、後でダリアの部屋に行くよ」
「わかりました」
ハルカは、ロビに教えてもらいながら書物を一通り読み終えて紙に書き終わると、ロビを見た。
「大丈夫、これ、こっち、書く、一人、できる」
「うん、じゃあダリアの部屋に行ってくるね」
(ダリア、どうしたんだろう。呼ばれなくても毎晩ダリアの部屋に行っているのに)
「ダリア、いいかな?」
ロビはダリアの部屋の前に立つと、ドアをノックした。ドアがゆっくりと開き、ダリアがいきなりロビに抱きついた。
「ど、どうしたの?ダリア。あ、あれ?」
ダリアはロビを部屋の中にを抱きかかえると、器用にドアを閉めベッドに座った。ダリアのベッドはロビのベッドより狭いが、召使いの部屋としてはかなり広い。ソファなどは無いが、デスクなど、一通りのものはある。
「ちょ、ちょっとダリア」
ダリアはロビの服をすべて脱がし、自分も服を抜いた。
(どうしたんだろう?いつものダリアと様子が違う)
ダリアはロビの顔を舐め始めた。そして、顔だけでなくロビの全身にある傷を舐めた。
「ロビ様」
ようやくダリアが口を開いた。
「どうしたの?ダリア、何か変だよ」
「ロビ様はもっと自分のことを大切にしてください」
「う、うん、ちゃんと大切にしているよ」
「怪我は治せても心の傷は治せません。こんなに傷を負って、さぞかし痛かったでしょう?」
「う、うん、まあ、それなりには」
「今日だって、何があったのかはわかりませんが、本当はロビ様とハルカだけなら逃げられたのではないのですか?」
「その通りだけど、ちょっと知り合いがいてさ」
「私もジェンも旦那様から特別な指示をされています」
「父様から?どういうこと?」
「それは『かわいがること』です。ロビ様は幼少の頃は本家の離れに住み、奥様も亡くなられ、そのまま王立学院に入学されこの屋敷に住んでいます」
(母様は、亡くなったんじゃなくて消失したんだけどな)
「旦那様は、ロビ様が肉親の愛情を受けず、いびつな形をした心になってしまうことを大変心配されています」
「親御さんのいない子どもたちだってしっかり育つんだから大丈夫だよ」
「ロビ様の場合は状況が異なります。ロビ様には肉親がおられます」
「じゃあ、どうして父様は僕に会ってくれないの?」
「それはわかりませんが、心当たりはあります。でも、話すのはもう少し後にさせてください」
「わかった」
(僕って、そんなに変なのかな)
「ねえ、ダリア、僕のどこが変なの?」
「ご自愛なさらないところです。いつも、自分さえ耐えればいいと思っていませんか?」
「誰かが困っていたら、助けるのは普通じゃないの?」
「その通りですが、ロビ様の場合、いつも大きな事に関わってしまい、最後は自虐行為と同じぐらいひどい行動で解決しようとされます」
「確かに言われてみればそうかも」
「それは痛みとしてロビ様の心を傷つけますし、ロビ様を大切に思っている人々の心も傷つけます」
「じゃあ、僕は、僕はどうしたらいいの?どうしたら人に必要とされ続けるの?」
(あれ?なんか、涙が出てきちゃった)
「もっと人を頼ってください。そして、ロビ様の心の傷が増えない範囲で対応してください。すべて自分で背負おうとしないでください」
「うん」
「心配なさらなくても、誰もがロビ様のことを必要としています」
「そうなの?何もしなくても?」
「はい。ロビ様は人様に優しく接するだけで、十分、必要とされるお人柄です」
「そうなのかな」
「ロビ様には、気を許せる友達とかいらっしゃらないのですか?」
ロビは少しためらった。
「みんなに気を許しているつもりだけど、でも、みんなに話せないことがあるんだ」
「それはどんなことですか?」
「ごめん、言えない……でも……例えば回転式光弾銃を発明したり、双輝鋭刃を起動したことだって、秘密にしている能力があったからできたことだし、僕だけの知識じゃないんだよ」
「家庭教師に教えてもらった知識のひとつですか?」
「それは違う。レカサも知らなかった」
「それでは、どなたの知識なのですか?」
「言えない」
「そうですか……旦那様方はいつもロビ様のことを大切に思い、心配しておられます」
「そうなのかな」
「私も同じように心配しています。ロビ様、もっと泣いていいんですよ」
「うん」
「ロビ様は弱くていいんですよ」
「うん」
<ハルカ、今日はダリアと寝るから、一人で寝てくれる?>
<わかった。大丈夫>
<おやすみ>
「ダリア、していい?」
「もちろん、喜んで。あら、ロビ様から求められたのは初めて?」
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