魔法外科医は癒やし系少年
涼波ハルカの喪失-27 ☸ ハルカの消失
=== ✽ ✽ ✽ ===
(何だろ?何か取り出して地面に投げつけた。あ、すごい、これ、欲しい)
急にマナの量が増え、ロビ達は数メートルほど一気に押し戻された。
「ちょ、ちょ、ちょっとまずい、すごい力だ」
「『増強筋肉能力』」
魔法を発動したのはハルカだった。
<ハルカ、止めるんだ!君の身体が持たない、危険すぎる>
「アタシ、ロビ様、皆、助ける!」
「ハルカ?」
ロビは、ハルカの胸に残っていた外科手術の跡を思い出した。心臓の中央に魔法文様を描き込んだ魔石を埋め込み、魔力がある限りその魔法を発動できるようにする手術である。
<ハルカ、それがもしヒト族のために作られた魔法なら、君の骨は折れてしまうよ。それに心臓が止まっちゃうかも。すぐに止めて!>
獣人族の筋肉はヒト族の三倍、骨格の強度は二倍程度、ヒト族が使う筋肉強化はヒト族の骨格強度に合わせて調整されている。獣人族が同じ魔法を発動させると、獣人族の骨格強度の限界を超えてしまう。さらに、魔石からの魔力放出により血圧の上昇を起こし、心肺組織にダメージを与える。
ロビとハルカは金色の男との距離を一気に五メートルほどまで縮めた。
(特大のやつ行くよ。『発動空気圧縮』)
金色の男の男は弾き飛んだ。しかし、落ちることなく、そのまま空を飛んで逃げ去った。
(あれ、あいつ、空を飛べるんだ、すごいな。それにしても痛いな……)
ロビとハルカは精霊力で荒れた森林の中で倒れていた。ロビは、最初に自分の身体の状態を確認し始めた。
(これなら三十秒で治せる)
ハルカが魔法を使ったことで危機を脱出することはできたものの、その力により、ロビの腕の骨にはひびが入っていた。患者には残酷な話だが、まずは医者自身の身体を正常にしなければ、まともな治療もできない。ロビは自分の腕の治療を終えると、起き上がった。
(『走査断面肖像』)
ロビは、倒れているハルカを撫でるように、頭部から足元までゆっくりと手を動かした。
「まずい、心肺停止している。それに身体中の骨にひびがはいっている。このまま移動させるしかない……」
(『発動全方位発光』、痛てっ、転移)
ロビは、ブルフィグトを治療していた場所に戻るため、ハルカと一緒に三回、転移した。
「ハルカ、しっかりして」
ロビはハルカが着ている服のボタンを外し、胸をはだけさせた。
(まずは心臓を動かさないと……最初は、こいつ、『魔力衝撃』、痛てて……どうだ?)
ハルカの身体が痙攣したかのように跳ねた。ロビはハルカの胸に耳を当てた。
(良かった、一発で蘇生した。後は骨を治癒しよう。『発動麻酔睡眠』……痛た……つ、次は……)
ロビはいくつかの魔法を発動させ、ハルカの骨が太くならないよう、ひびの入った骨に圧力をかけながら治癒魔法をかけていった。ロビの服の袖から血がしたたり落ちた。
「ブルフィグトの仕上げもしなくちゃ」
ロビは、意識がもうろうとする中、なんとか魔法で温水を作ってブルフィグトの腹部を洗浄し、切開した部分をすべて外科医療魔法で接合した。そしてそのままぐったりと横になった。
(そういえば、転移って、レカサから人前で使うなって言われていたっけ)
ロビは幼少の頃、魔法は叔父であるケリに習っていたが、なぜかもう一人、レカサという家庭教師が住み込みで魔学史や一般教養、言語、生き残る術を教えていた。レカサは魔法を使えなかったが、魔法には詳しかった。
ロビは、家庭教師のレカサとの会話を思い出した。
「ロビ、今、何をしたんですか?」
レカサは慌ててロビのそばに走ってきた。
「転移です」
「そんな馬鹿な……もしかして、これを読んで導入してしまったのですか?」
「うん、すごく長いから読み上げるの、大変でした」
ロビのそばには開きっぱなしになっている魔術式書が置いてあり、それを見たレカサの顔色が変わった。
「ロビ、これは一人で導入してはいけない魔法式です。六十ページありましたよね」
「はい、それぐらいだったと思います」
「普通、魔道士が二ページずつ導入をして、三十人の魔道士で発動する魔法です。身体に異常はないですか?痛みは?」
「全然、平気です」
「ロビ、あなたはもしかしたら三十人分の魔力保持力、いえ、それ以上の魔力を持っているのかもしれません」
「よくわからないですが、まだできそうです」
レカサは考え込んだ。
「この魔法は自分のために魔法式導入するのではなく、魔道士達が集団で導入し、重要人物を逃がしたり、敵地に潜入兵を送り込んだりする時に使います」
「すごいですね」
「自分自身を転移させたのは、恐らくロビが初めてです」
「自慢してもいいですか?」
「ダメです。もし、あなたの魔力保持力が知られたら、解剖されてしまうかもしれません」
「先生、解剖ってなんですか?」
「身体を切ってバラバラにして、色々な場所を調べることです」
「怖いです。先生、僕、どうなっちゃうんですか?」
ロビを抱き上げたレカサは、ロビの目を見ながらゆっくりと優しく話しかけた。
「転移も含めて、あまり強力な魔法を人前で使わないようにしてください。そうすれば大丈夫ですよ」
「はい、わかりました」
「まだ余裕があるのなら、その小石を手に持って、別の場所に転移させてみてください」
「はい……あれ?できません」
「そうですか。もしかしたら一人で全部の魔法式を導入すると、発動者と一緒にしか転移できないのかもしれませんね」
気が付くと、木にもたれて座っているハルカがロビを抱きかかえていた。もう、ブルフィグトはいなかった。
「ロビ様、大丈夫?」
(いつの間にか眠っちゃったみたい。そういえば、ハルカ、さっき、魔法を発動した時も普通にしゃべった。それに少し、発音が違う)
「君は誰?もしかして、ネネ?」
「はい、アタシはネネ」
「ハルカはどうなっちゃったの?」
「わからない。でも記憶はある」
「ネネは、ネネはハルカがいた時、どうしていたの?」
「見ていた」
「どうして、ネネが現れたのかな」
「わからない。でも、ハルカ、呼んだ」
=== ✽ ✽ ✽ ===
ロビは自分の身体を起こし、ハルカ、いや、ネネの横に座った。
「ネネは自分のことを思い出せる?」
「ハルカと同じ。何か無いと思い出せない」
「今までのハルカと同じように振る舞える?」
「できる。ハルカがしたこと、全部、わかる。ハルカの記憶も、何かあれば見える」
ネネは、ロビの方へ身体を傾けた。
「ロビ様、アタシ、捨てる?」
「捨てないよ。守り切れなくてごめん」
「ロビ様、ネネ、どう思う?」
「大切だよ」
「ハルカじゃないネネ、どう思う?」
「うん、とても大切」
「どうして?アタシ、ロビ様に会う、初めて」
「ネネもハルカも、僕のために命がけで魔法を発動したんだろ?大切にする」
「うれしい」
「でも、魔法、もう使わないで」
「約束、できない」
「次は死んじゃうかもよ」
「アタシ、ロビ様、好き。ロビ様、守る」
「じゃあ、僕がもっとがんばるよ」
「はい」
ロビはマントを脱ぎ、上着をひっくり返した。上着は血で真っ赤に染まっている。
「ロビ様、大丈夫?」
「うん、前にセバスさんと勝負した時と同じだよ。ズボンも血でべたべただ」
「前よりひどい」
「ネネは美しい。普通の治癒魔法だと骨が太くなっちゃうから、他の魔法も使ったせいかな」
「アタシ、そんな、アタシ、奴隷」
「ネネ、君は奴隷じゃない。美しい召使い兼格闘練習相手だよ」
「言葉がよくわからない。でも、ロビ様、ありがとう」
ネネはロビを抱きしめながら泣いた。ロビは、頭をなでてあげたかったが、自分の手が血で汚れているのを見ると、そのままされるがままにしていた。
「ネネ、君の服まで汚れちゃうよ」
「大丈夫」
=== ✽ ✽ ✽ ===
「じゃあ、ネネ、一旦、山頂まで戻って帰ろうか」
「わかった」
「そうだ、念話の練習しておこう。今からは念話、いい?」
<はい>
<うん、いい調子。しゃべる時はハルカみたいに、『ロビ様』とかだけね>
<はい、そうする>
貧血気味のロビ、そして全身の骨の治療が終わったばかりのネネ、二人は思うように動かない身体を震わせながら山頂に戻った。
<やっと着いた、いつもとは調子が違ってきついね>
<はい、アタシも同じ>
<ネネ、ネネはハルカが頭の中に入ってきたこと、どう思っている?>
<気持ちいい。ハルカは、アタシに幸せ、くれる。ハルカの思い出、幸せ>
<悪いけど、しばらくはハルカのふりをしてくれる?>
<大丈夫。できる>
<とりあえず、何か食べよ>
二人は、大きな岩のそばに座り、ロビはバッグからビスケットとジャーキーを取り出した。
<ネネ、君もお腹が空いているだろう。食べなよ>
<いい?>
<いいよ、回復したばかりだから、お腹、減っているでしょ?>
<はい、お腹、減ってる>
<なんなら全部食べていいよ>
ネネは、ビスケットをひとつ取り、ロビの口に押し込んだ。
<二人、食べる、幸せ>
<うん、わかった。ネネ、そういうところ、可愛いよ>
<可愛い、ない>
<いや、可愛いよ。そうだ、ハーブティーも飲もう。水分補給も大事だからね。あ、ブルフィグトの治療の時に魔法で浄化して全部、使っちゃった……ごめんね>
<大丈夫>
<ネネが奴隷商に捕まったのはいつ?>
<わからない。ネネ、名前、捕まってからの名前>
<そっか。ネネも大変だったんだね>
<ハルカ、呼んで欲しい>
<ネネよりハルカがいいの?>
<ハルカ、名前、好き>
<うん、わかったよ、ハルカ>
(ハルカ、大丈夫かな。ネネはハルカの存在に同意しているのに、どうしてハルカは戻ってこないんだろう?)
(何だろ?何か取り出して地面に投げつけた。あ、すごい、これ、欲しい)
急にマナの量が増え、ロビ達は数メートルほど一気に押し戻された。
「ちょ、ちょ、ちょっとまずい、すごい力だ」
「『増強筋肉能力』」
魔法を発動したのはハルカだった。
<ハルカ、止めるんだ!君の身体が持たない、危険すぎる>
「アタシ、ロビ様、皆、助ける!」
「ハルカ?」
ロビは、ハルカの胸に残っていた外科手術の跡を思い出した。心臓の中央に魔法文様を描き込んだ魔石を埋め込み、魔力がある限りその魔法を発動できるようにする手術である。
<ハルカ、それがもしヒト族のために作られた魔法なら、君の骨は折れてしまうよ。それに心臓が止まっちゃうかも。すぐに止めて!>
獣人族の筋肉はヒト族の三倍、骨格の強度は二倍程度、ヒト族が使う筋肉強化はヒト族の骨格強度に合わせて調整されている。獣人族が同じ魔法を発動させると、獣人族の骨格強度の限界を超えてしまう。さらに、魔石からの魔力放出により血圧の上昇を起こし、心肺組織にダメージを与える。
ロビとハルカは金色の男との距離を一気に五メートルほどまで縮めた。
(特大のやつ行くよ。『発動空気圧縮』)
金色の男の男は弾き飛んだ。しかし、落ちることなく、そのまま空を飛んで逃げ去った。
(あれ、あいつ、空を飛べるんだ、すごいな。それにしても痛いな……)
ロビとハルカは精霊力で荒れた森林の中で倒れていた。ロビは、最初に自分の身体の状態を確認し始めた。
(これなら三十秒で治せる)
ハルカが魔法を使ったことで危機を脱出することはできたものの、その力により、ロビの腕の骨にはひびが入っていた。患者には残酷な話だが、まずは医者自身の身体を正常にしなければ、まともな治療もできない。ロビは自分の腕の治療を終えると、起き上がった。
(『走査断面肖像』)
ロビは、倒れているハルカを撫でるように、頭部から足元までゆっくりと手を動かした。
「まずい、心肺停止している。それに身体中の骨にひびがはいっている。このまま移動させるしかない……」
(『発動全方位発光』、痛てっ、転移)
ロビは、ブルフィグトを治療していた場所に戻るため、ハルカと一緒に三回、転移した。
「ハルカ、しっかりして」
ロビはハルカが着ている服のボタンを外し、胸をはだけさせた。
(まずは心臓を動かさないと……最初は、こいつ、『魔力衝撃』、痛てて……どうだ?)
ハルカの身体が痙攣したかのように跳ねた。ロビはハルカの胸に耳を当てた。
(良かった、一発で蘇生した。後は骨を治癒しよう。『発動麻酔睡眠』……痛た……つ、次は……)
ロビはいくつかの魔法を発動させ、ハルカの骨が太くならないよう、ひびの入った骨に圧力をかけながら治癒魔法をかけていった。ロビの服の袖から血がしたたり落ちた。
「ブルフィグトの仕上げもしなくちゃ」
ロビは、意識がもうろうとする中、なんとか魔法で温水を作ってブルフィグトの腹部を洗浄し、切開した部分をすべて外科医療魔法で接合した。そしてそのままぐったりと横になった。
(そういえば、転移って、レカサから人前で使うなって言われていたっけ)
ロビは幼少の頃、魔法は叔父であるケリに習っていたが、なぜかもう一人、レカサという家庭教師が住み込みで魔学史や一般教養、言語、生き残る術を教えていた。レカサは魔法を使えなかったが、魔法には詳しかった。
ロビは、家庭教師のレカサとの会話を思い出した。
「ロビ、今、何をしたんですか?」
レカサは慌ててロビのそばに走ってきた。
「転移です」
「そんな馬鹿な……もしかして、これを読んで導入してしまったのですか?」
「うん、すごく長いから読み上げるの、大変でした」
ロビのそばには開きっぱなしになっている魔術式書が置いてあり、それを見たレカサの顔色が変わった。
「ロビ、これは一人で導入してはいけない魔法式です。六十ページありましたよね」
「はい、それぐらいだったと思います」
「普通、魔道士が二ページずつ導入をして、三十人の魔道士で発動する魔法です。身体に異常はないですか?痛みは?」
「全然、平気です」
「ロビ、あなたはもしかしたら三十人分の魔力保持力、いえ、それ以上の魔力を持っているのかもしれません」
「よくわからないですが、まだできそうです」
レカサは考え込んだ。
「この魔法は自分のために魔法式導入するのではなく、魔道士達が集団で導入し、重要人物を逃がしたり、敵地に潜入兵を送り込んだりする時に使います」
「すごいですね」
「自分自身を転移させたのは、恐らくロビが初めてです」
「自慢してもいいですか?」
「ダメです。もし、あなたの魔力保持力が知られたら、解剖されてしまうかもしれません」
「先生、解剖ってなんですか?」
「身体を切ってバラバラにして、色々な場所を調べることです」
「怖いです。先生、僕、どうなっちゃうんですか?」
ロビを抱き上げたレカサは、ロビの目を見ながらゆっくりと優しく話しかけた。
「転移も含めて、あまり強力な魔法を人前で使わないようにしてください。そうすれば大丈夫ですよ」
「はい、わかりました」
「まだ余裕があるのなら、その小石を手に持って、別の場所に転移させてみてください」
「はい……あれ?できません」
「そうですか。もしかしたら一人で全部の魔法式を導入すると、発動者と一緒にしか転移できないのかもしれませんね」
気が付くと、木にもたれて座っているハルカがロビを抱きかかえていた。もう、ブルフィグトはいなかった。
「ロビ様、大丈夫?」
(いつの間にか眠っちゃったみたい。そういえば、ハルカ、さっき、魔法を発動した時も普通にしゃべった。それに少し、発音が違う)
「君は誰?もしかして、ネネ?」
「はい、アタシはネネ」
「ハルカはどうなっちゃったの?」
「わからない。でも記憶はある」
「ネネは、ネネはハルカがいた時、どうしていたの?」
「見ていた」
「どうして、ネネが現れたのかな」
「わからない。でも、ハルカ、呼んだ」
=== ✽ ✽ ✽ ===
ロビは自分の身体を起こし、ハルカ、いや、ネネの横に座った。
「ネネは自分のことを思い出せる?」
「ハルカと同じ。何か無いと思い出せない」
「今までのハルカと同じように振る舞える?」
「できる。ハルカがしたこと、全部、わかる。ハルカの記憶も、何かあれば見える」
ネネは、ロビの方へ身体を傾けた。
「ロビ様、アタシ、捨てる?」
「捨てないよ。守り切れなくてごめん」
「ロビ様、ネネ、どう思う?」
「大切だよ」
「ハルカじゃないネネ、どう思う?」
「うん、とても大切」
「どうして?アタシ、ロビ様に会う、初めて」
「ネネもハルカも、僕のために命がけで魔法を発動したんだろ?大切にする」
「うれしい」
「でも、魔法、もう使わないで」
「約束、できない」
「次は死んじゃうかもよ」
「アタシ、ロビ様、好き。ロビ様、守る」
「じゃあ、僕がもっとがんばるよ」
「はい」
ロビはマントを脱ぎ、上着をひっくり返した。上着は血で真っ赤に染まっている。
「ロビ様、大丈夫?」
「うん、前にセバスさんと勝負した時と同じだよ。ズボンも血でべたべただ」
「前よりひどい」
「ネネは美しい。普通の治癒魔法だと骨が太くなっちゃうから、他の魔法も使ったせいかな」
「アタシ、そんな、アタシ、奴隷」
「ネネ、君は奴隷じゃない。美しい召使い兼格闘練習相手だよ」
「言葉がよくわからない。でも、ロビ様、ありがとう」
ネネはロビを抱きしめながら泣いた。ロビは、頭をなでてあげたかったが、自分の手が血で汚れているのを見ると、そのままされるがままにしていた。
「ネネ、君の服まで汚れちゃうよ」
「大丈夫」
=== ✽ ✽ ✽ ===
「じゃあ、ネネ、一旦、山頂まで戻って帰ろうか」
「わかった」
「そうだ、念話の練習しておこう。今からは念話、いい?」
<はい>
<うん、いい調子。しゃべる時はハルカみたいに、『ロビ様』とかだけね>
<はい、そうする>
貧血気味のロビ、そして全身の骨の治療が終わったばかりのネネ、二人は思うように動かない身体を震わせながら山頂に戻った。
<やっと着いた、いつもとは調子が違ってきついね>
<はい、アタシも同じ>
<ネネ、ネネはハルカが頭の中に入ってきたこと、どう思っている?>
<気持ちいい。ハルカは、アタシに幸せ、くれる。ハルカの思い出、幸せ>
<悪いけど、しばらくはハルカのふりをしてくれる?>
<大丈夫。できる>
<とりあえず、何か食べよ>
二人は、大きな岩のそばに座り、ロビはバッグからビスケットとジャーキーを取り出した。
<ネネ、君もお腹が空いているだろう。食べなよ>
<いい?>
<いいよ、回復したばかりだから、お腹、減っているでしょ?>
<はい、お腹、減ってる>
<なんなら全部食べていいよ>
ネネは、ビスケットをひとつ取り、ロビの口に押し込んだ。
<二人、食べる、幸せ>
<うん、わかった。ネネ、そういうところ、可愛いよ>
<可愛い、ない>
<いや、可愛いよ。そうだ、ハーブティーも飲もう。水分補給も大事だからね。あ、ブルフィグトの治療の時に魔法で浄化して全部、使っちゃった……ごめんね>
<大丈夫>
<ネネが奴隷商に捕まったのはいつ?>
<わからない。ネネ、名前、捕まってからの名前>
<そっか。ネネも大変だったんだね>
<ハルカ、呼んで欲しい>
<ネネよりハルカがいいの?>
<ハルカ、名前、好き>
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