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魔法外科医は癒やし系少年

綿串天兵

涼波ハルカの喪失-18 ☸ ハルカの初酒

  === ✽ ✽ ✽ ===


 ロビは自分の部屋にハルカを残してリビングに向かった。リビングでは、買い物を終えたダリアが買ってきた衣類を整理していた。

「ダリア、お帰り。ご苦労様」
「ロビ様、獣人族用の服は売っていませんので、今から尻尾を通す穴を作ります」
「ああ、頼むよ。じゃあ、僕の部屋に行こう」
「あの、ロビ様、ハーブの香りがします」
「あ、ハルカに薬を塗ってあげたんだ」

(一応、さっき、手を洗ったんだけどな。さすが狼獣人族、嗅覚もすごい)

 狼獣人族の嗅覚は鋭い。ロビの部屋に入ると、ダリアはロビの腕を上に大きく伸ばし、ハルカの裸体を隠していた布を持たせた。

「あの、ダリア、どうしたの?」
「ロビ様、ハルカは女の子です。紳士としてそこは気遣わないといけません」
「いや、別に、僕、部屋の外で待っていればいいだけじゃないの?なんか、腕が辛いんだけど」
「それでいいんです。ハルカの股間から何やら白い……」
「わ、わかった、がんばるからそれ以上、言わないで」
「あっ」

 ハルカがなまめかしい声を出した。

「ダリア、どうしたの?」
「拭いただけです。白い……」
「わ、わかったよ」

(やっぱりダリア、怒ってる……)

「ロビ様、尻尾の位置の確認は終わりましたので、今から服を直してきます」
「うん、よろしく頼むよ」
「時間は、小一時間ほど頂きます」
「うん」
「小一時間より短いかもしれません」
「う、うん」
「もしかしたら、再確認のためにすぐ戻ってくるかもしれません」
「う、うん、わかったよ、よろしくね」

 ロビはハルカの肩から布を被せようとした時に、ハルカが上半身だけは既に服を着ていることに気が付いた。尻尾の部分を直すだけなので、ダリアは下着とスカートだけを持って行ったのだった。

(うわ、なんか、普通に裸よりいやらしいかも)

 ハルカも自分の姿を見下ろし、顔を赤らめていた。なんとなく気まずくなり、ロビは自分の椅子に、ハルカはソファに座った。

(今度は、終わったらちゃんと拭こう)

 十五分ほどして、ダリアがロビの部屋に戻ってきた。

「ロビ様、下着はどうしましょうか?」
「え、どういうこと?」

 ダリアはモジモジしだした。

「獣人族の場合、発情期中はこまめに拭く必要があるため、スカートの場合、下着をつけないことがほとんどです」
「じゃ、じゃあ、今、ダリアも履いてな……」

 ダリアは獣人族ならではの猛スピードでロビに近づき、人差し指でロビの唇を押さえた。獣人族の筋力はヒト族の三倍、骨格強度は二倍を誇る。

「改めて言わないでください、恥ずかしいです」
「う、うん、ごめんね。下着は無しで。じゃあ獣人族ばかりの場所だとどうしているの?」
「そのままだそうです。その方が雄が、いえ、男性が寄ってくるので。それに、獣人族は簡単な服を被るように着るだけで、下着ははかないそうです」

(そっか、ダリアはクルーガ家で生まれたから、伝え聞いた話しか知らないんだ)

 ダリアはメイド服のスカートより短い膝上十センチぐらいのスカートをはかせた。ウエストから尾てい骨部分まで切れ目が入っており、そこから尻尾を通した。

(お、かわいい)

 尻尾は、感情に合わせて動いてしまうので、このようにスカートの外に出しておかないと、不意に尻尾がスカートを持ち上げてしまう。

 そして、ウエスト部分に縫い付けられた大きなリボンで縛った。ウエストから尾てい骨の部分まではリボンで隠れ、ロビは、なるほどと思いつつその様子を見ていた。

 そして、ロビにハンカチを渡した。

「ロビ様、さっきのことをハルカにお伝えください」
「うん、わかった」

 ロビは接触念話コンタクトカムを使って、ハルカに説明し、ハンカチを渡した。ダリアは、ハルカの手を握り、スカートにポケットがあることを教えた。


  === ✽ ✽ ✽ ===


 ドアをノックする音がした。

「ウグルスです。もうすぐ夕食の準備ができますので、ダイニングへいらしてください」
「うん、今行くね」

 ロビはダイニングに移動すると、どこに座っていいのかわからないハルカをエスコートし、ロビの隣に座らせた。この席は元々空いており、四人で座るとウグルスとダリアからハルカが見える位置になる。

 ウグルスは、料理を並べ始めた。

「あれ?ウグルス、今日の夕食はちょっと豪華だね」
「はい、今日か明日には新しく獣人が来るというので、食材を仕入れておきました」
「気が利くね、さすがだよ。あ、ワインもある。じゃあ、まずは祈りからだね」

 そして、神と精霊への感謝の言葉が始まった。

「ハルカは大陸公用語を話せないが、別の言語を話せるんだ。しかも文化レベルが高い。恐らく、オリシス家に売られる前は、別地方で良い生活をしていたと思う。食事をする様子をさりげなく見ていて」

(……ということにしておこう。今度、ハルカにも伝えておかなくちゃ)

 ハルカの食事マナーは、ロビの言うとおりだった。お皿を持ち上げるなど、作法の違いはあれど、ハルカは大きな音を立てることもなく、フォークやスプーンを使ってサラダやシチューを食べ、また、パンも手に取ってちぎって口に運んでいた。

「なるほど、ロビ様のおっしゃる通りです。確かに奴隷として育てられた獣人ではありません」
「だから、最初は念話を使って言葉の基本を教える方が早く学習できると思うんだ」
「なるほど、教育のためなんですね。私はてっきり、ロビ様がもう……私、恐らく、今年が最後なので……」
「う、うん、それはちゃんと配慮するよ、大丈夫、大丈夫」

 ロビはハルカにワインを勧めた。ハルカはロビが飲む様子を見て安心したのか、ワインを飲んだ。この世界では十歳のころからワインを飲む。ウグルスとダリアも食事をしながら一緒に飲んでいる。

 食事が終わるころには、ハルカはすっかりいた。

「今週は休みが三日あるので、基本的な読み書きは僕がハルカに教える。その後、交代で大陸公用語と仕事や文化について教えてあげほしい」

 ハルカはロビの横で顔を赤くしてウトウトしていた。

「ダリア、ハルカを僕の部屋に運んでくれる?」
「はい、わかりました」

 ダリアはハルカを抱きかかえると、ロビと一緒に部屋に戻り、ハルカをロビのベッドに寝かせた。そして、ダリアはロビをソファに座らせた。

「ロビ様、ハルカとは今日が初めてですか?」
「え、あの、ね?」
「怒りませんから、ちゃんと教えてください」

 ダリアは少し怒りながらロビを問い詰めた。

(ダリア、もう既に怒っているよ)

「オリシス家の監禁部屋で、ちょっとね」
「オリシス家では監禁部屋に入れられたのですか?やっぱりオリシス家でひどいことをされたんですね?」
「ダリア、大丈夫だから落ち着いて」

 ダリアはロビの服を脱がし、まだ形成手術の済んでいない傷跡を舐め始めた。

「ねえ、ダリア、夕方、話していた、獣人族だけの時は発情期でも股間を拭かないって話の続き、聞きたいな」

 ロビは、ダリアの頭をなでながら話し始めた。

「強い男性ならそのまますぐに事を致すそうです」
「へえ、そうなんだ、すぐにしちゃうんだね?」
「ええ。でも獣人族の雌、いえ女性にはヒト族にない能力があります。それは、体内に入った白い液体を捨てることです。三日程度、より強い異性に出会わなかったらそのまま妊娠します」

 ダリアはロビのズボンを脱がし、股間を優しく触り始めた。

「ロビ様、実演して差し上げます」
「う、うん」
「失礼します」
「あ、ダリア、気持ちいいよ」

 ダリアは最初はゆっくり腰を前後に、やがて激しく腰を上下に動かし始めた。五分ほど経過してダリアがロビを抱きしめた。

「ロビ様、ま、まだですか?」
「うん、もう少し」

 ロビはダリアの上から覆いかぶさった。

「ロビ様、今、敏感なので、ちょっとゆっくりめに……」

 今度はロビがダリアに抱き着いた。

「ダリア、果てたよ」
「はい。じゃあ、お見せしますね」

 再びダリアは上になり、膝立ちでロビの身体を跨いだままスカートをめくりあげた。白い液体が少し垂れてきた。

「ここまでは、ヒト族も獣人族も同じです。まだ、私の中に半分以上白い液体が残っています。では、見ていてください」

 ダリアは少し腹筋の辺りに力を入れたようだ。白い液体が、透明の液体で押し出されて糸を引きながらロビのお腹の上に落ちた。

「へー、これでもう妊娠しないんだ」
「いえ、もう一段階あります。まだ、白い液体はほんの少し体内に残っています。指を奥まで挿し込んでみてください」
「う、うん」

 ロビは、ダリアの体内を傷つけないよう、慎重に指を押し込んでいった。

「そこです、その、お腹側です」
「なにか、プリっとしたものがある。そうか、これ赤子門だね」

 ロビは魔法外科医なので、内臓の構造にも詳しい。でも、実際に触ったのは初めてだ。

「発情期なので、赤子門は下がってきています。そのまま触っていてください」
「あ、指先が熱くなった。何?これ」
「獣人族にもどんなものかはよくわからないのですが、白い液体の中にある赤子の元を無効化する働きがあるようです」
「へー、すごいや、こうやって強い子孫を残すんだね」
「そうです。でも、一回の発情期で二回しか使えません」
「なるほど、それはそれで結構、大変だね」
「はい。あの、ロビ様」
「何?ダリア」
「触られていたら、また事を致したくなってしまいました」
「うん、しようね、ダリア」

 横を見ると、ハルカはぐっすり眠っている。起きる様子はなさそうだ。

(監禁部屋暮らしはあまり快適じゃなかったから、だいぶ疲れているんだろうな)

セロナファオモウリカオムライスをたべたい

 ハルカは寝言を呟いた。

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