拗らせファーストラブ〜アラサー女は死んだ初恋相手を助けるためにタイムリープする〜
第3話-1「crossroad2010」
子供の頃に購入した木の勉強机、小学生のときに使用した教科書は本棚に放置。
紙のマンガに、少し汚れたぬいぐるみ。
過去から時を止めた女の子の部屋で私はへそを出して眠っていた。
小鳥のさえずりが聞こえる。
陽の光が射し込んで、中学生のときに着ていた芋ジャージをパジャマにしている。
すぐにぴょんぴょん跳ねる髪をおさえるように結び、前髪はヘアピンでとめていた。
「ぐぅ……」
バァンと破壊力のある音が部屋に響く。
キラキラしたプラスチックの宝石がついたカチューシャをして、鎖骨までの長さの髪をまとめるキリッとした顔立ちの女がいた。
女は眠る私の布団を剥ぎ取り、大声を出す。
「おいコラ起きろ、芽々!!」
「ぴゃあーっ!?  何事!?」
「早く起きないと遅刻するよ!!」
その言葉にモゾモゾとスマートフォンを探す、が見当たらないので枕元の目覚まし時計を見る。
時間は7時50分を指していた。
「えっ!? やばい遅刻する! えー、化粧どうしよっ!?」
「普通にすっぴんで行きなさいよ」
「いやいやすっぴんで会社行くとか無理すぎる!」
「はぁ?」
「……あれ?」
私は身体を起こし、眉間に深いシワを寄せ険しく怒る姉・時森  百々を見る。
私より顔立ちのはっきりした華やか女子大生だ。
(なんでお姉ちゃんいるの? しかもなんか若い!  髪、伸びた?)
「金ないと騒いでたくせにヒアルロン酸でも注入したのか?  ふざけんなよ!」
謎めいた私の暴言に百々は呆れてため息をつく。
「あんた何言ってるの? 勉強のしすぎで頭おかしくなった?」
勉強というワードが懐かしい。
私は若い姉の百々を見ながら少しずつ頭をクリアにしていった。
「とにかく早く学校行きなよ? 遅刻してもしらないからね」
百々は唇を尖らせて荒々しく部屋を出ていく。
「学校……」
私は慌ててベッドから飛び降り、全身鏡を見る。
木魚を三回叩くほどの長さの沈黙のあと、私は夢なのだと思い出す。
寝て起きてをするとはリアルすぎる夢だ。
そして全身鏡に写るはまさに高校生のときの自分であった。
「えっ!? うそ、私若い!!」
割りそうな勢いで鏡を叩き、指紋をこびりつける。
(夢じゃなかった?)
古典的にも頬をひっぱって確認する。
痛かった。
「ファンタジーかよ。それとも走馬灯?」
軽口に冗談を言いながらも私は鏡に映る若い自分に夢中になった。
(ってか私ちょー若~い。ほうれい線ないじゃん!! ニキビ……もなんか違うぞ?)
大人のあれはもうニキビではない。
吹き出物だ。
頬を触るとザラザラボコボコ、プチプチ感よりボッコリ感。
地味に不快で気にするものだ。
(毛穴きれーい。ファンデーション詰まってない)
そして大学生になり色気付き、一斉にメイクをはじめる。
だんだんマンネリ化粧となり、肌ノリも悪くなり、やがてメイク落としで落としきれなかったファンデーションが毛穴に詰まり黒くなっていく。
毛穴パックで一時的に喜ぶも結局変わらない。
そんな悲劇を知らない滑らかな肌。
高校生とはそれだけで素晴らしい!!
私は高校生という生き物であることに春を感じていた。
「ん?」
ケータイ電話が着信を鳴らす。
たしかこの音楽はメール用だったはず。
着うたと呼ぶものだ。
当時流行った金髪歌姫の友達を想う歌。
田舎には絶対にいないビジュアルのお姫様みたいな人だった。
「えーっと、メール……」
里穂からだった。
絵文字いっぱいのデコデコメールに早く学校来いと寂しさを訴えてきている。
「って、遅刻するじゃーん!」
私は歯を磨き、顔洗ってヘアピンを外し前髪だけアイロンで整えるとそのまま着替えて家を出た。
髪はいつか結び跡が消えると信じて、ひたすらに走った。
紙のマンガに、少し汚れたぬいぐるみ。
過去から時を止めた女の子の部屋で私はへそを出して眠っていた。
小鳥のさえずりが聞こえる。
陽の光が射し込んで、中学生のときに着ていた芋ジャージをパジャマにしている。
すぐにぴょんぴょん跳ねる髪をおさえるように結び、前髪はヘアピンでとめていた。
「ぐぅ……」
バァンと破壊力のある音が部屋に響く。
キラキラしたプラスチックの宝石がついたカチューシャをして、鎖骨までの長さの髪をまとめるキリッとした顔立ちの女がいた。
女は眠る私の布団を剥ぎ取り、大声を出す。
「おいコラ起きろ、芽々!!」
「ぴゃあーっ!?  何事!?」
「早く起きないと遅刻するよ!!」
その言葉にモゾモゾとスマートフォンを探す、が見当たらないので枕元の目覚まし時計を見る。
時間は7時50分を指していた。
「えっ!? やばい遅刻する! えー、化粧どうしよっ!?」
「普通にすっぴんで行きなさいよ」
「いやいやすっぴんで会社行くとか無理すぎる!」
「はぁ?」
「……あれ?」
私は身体を起こし、眉間に深いシワを寄せ険しく怒る姉・時森  百々を見る。
私より顔立ちのはっきりした華やか女子大生だ。
(なんでお姉ちゃんいるの? しかもなんか若い!  髪、伸びた?)
「金ないと騒いでたくせにヒアルロン酸でも注入したのか?  ふざけんなよ!」
謎めいた私の暴言に百々は呆れてため息をつく。
「あんた何言ってるの? 勉強のしすぎで頭おかしくなった?」
勉強というワードが懐かしい。
私は若い姉の百々を見ながら少しずつ頭をクリアにしていった。
「とにかく早く学校行きなよ? 遅刻してもしらないからね」
百々は唇を尖らせて荒々しく部屋を出ていく。
「学校……」
私は慌ててベッドから飛び降り、全身鏡を見る。
木魚を三回叩くほどの長さの沈黙のあと、私は夢なのだと思い出す。
寝て起きてをするとはリアルすぎる夢だ。
そして全身鏡に写るはまさに高校生のときの自分であった。
「えっ!? うそ、私若い!!」
割りそうな勢いで鏡を叩き、指紋をこびりつける。
(夢じゃなかった?)
古典的にも頬をひっぱって確認する。
痛かった。
「ファンタジーかよ。それとも走馬灯?」
軽口に冗談を言いながらも私は鏡に映る若い自分に夢中になった。
(ってか私ちょー若~い。ほうれい線ないじゃん!! ニキビ……もなんか違うぞ?)
大人のあれはもうニキビではない。
吹き出物だ。
頬を触るとザラザラボコボコ、プチプチ感よりボッコリ感。
地味に不快で気にするものだ。
(毛穴きれーい。ファンデーション詰まってない)
そして大学生になり色気付き、一斉にメイクをはじめる。
だんだんマンネリ化粧となり、肌ノリも悪くなり、やがてメイク落としで落としきれなかったファンデーションが毛穴に詰まり黒くなっていく。
毛穴パックで一時的に喜ぶも結局変わらない。
そんな悲劇を知らない滑らかな肌。
高校生とはそれだけで素晴らしい!!
私は高校生という生き物であることに春を感じていた。
「ん?」
ケータイ電話が着信を鳴らす。
たしかこの音楽はメール用だったはず。
着うたと呼ぶものだ。
当時流行った金髪歌姫の友達を想う歌。
田舎には絶対にいないビジュアルのお姫様みたいな人だった。
「えーっと、メール……」
里穂からだった。
絵文字いっぱいのデコデコメールに早く学校来いと寂しさを訴えてきている。
「って、遅刻するじゃーん!」
私は歯を磨き、顔洗ってヘアピンを外し前髪だけアイロンで整えるとそのまま着替えて家を出た。
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