CrazyDoll-クレイジードール
悪魔と天使が舞い降りた
4「悪魔と天使が舞い降りた」
16月23日
12時35分
シルバニア国北東部
フィナーレ・ルチア
アスチルーベ学園
サンデイはソワソワとしながら学園の中庭を歩いていた
女の子に告白しろと無茶振りを言われたサンデイは、とりあえず女の子が居そうな場所を探して歩き回ってみたのだが、好きでもない女の子を相手に告白をしなければいけないと言う状況に、どうしたら良いのだろうかと、頭を抱えていた
最初は誰でも良いから適当に告白をして、とりあえず不良4人組を納得させようと考えていたのだが、お昼休みに一人で過ごしている者は意外と少なく、必ずと言っていい程、周りに他のドールの目が存在していた
告白に失敗するだけならまだ良いが、告白をして断られる瞬間を色々なドールに見られるのは、サンデイにとって屈辱的であり、出来れば避けたい事柄であった
それに、告白が失敗すると十中八九周りに噂が広まる
人形達は皆、色恋沙汰の話題が大好物なのだ
誰が誰を好きで、誰が誰と付き合っていて、誰が誰に振られて、誰が誰と浮気していると、人形達は常日頃から色恋について話し合っている
そんな世界で告白が失敗しようものなら、すぐに晒し上げられて話題のタネになってしまう事は友達の居ないサンデイすらも理解している事であった
二次災害を避ける為に、一人で行動している人形にターゲットを絞り、探していく
しばらく中庭を歩いていると、一人の女性型ドールが木陰で読書をしている姿が目に入る
彼女の名前は、ジェニファー・ローレンス
紫色の瞳の下にある大きな隈が特徴的な彼女は、黒で構成された上下一体型の服を着ており、スカートの裾には透明なフリルが施されている
胸元には白い前掛けがあり、黒い縦線が細く伸びている
襟から胸元にかけて紫色の大きなリボンが二つ伸びているが、これはカチューシャと一体型になっている、シルバニアで流行中のファッションである
頭のてっぺんには、カチューシャがあり、黒をベースに作られたそれにも、白いフリルが付けられており、頭の左右には紫色の大きいリボンが結ばれている
素足を隠すような長い灰色の靴下は膝の下まで伸びて来ており、靴下の縁には紫色のフリルが付いていて、黒い靴は今シルバニアで流行している、ローリングシューズと呼ばれる特殊な靴であった
靴のシュータンにはワンポイントとして、紫色のリボンが飾られている
伸びた髪は真っ黒で、後ろ髪は膝に付きそうな程に長く、前髪は胸元まで伸びているが、正面の顔にかかる部分は眉毛の辺りで綺麗にカットされていた
サンデイは周りに他の人形が居ない事を確認すると、ジェニファーに向かって声をかけた
「あの、ずっと前からす」
「あああああもおおおおお!うるさい!!うるさい!!うるさいのよ!!!!」
ガン!ガン!ガン!
ジェニファーは本を閉じると、叫びながら、上空に向かって銃を3発発砲した
サンデイはなにが起きたのか分からないと言った様子で彼女の事を見つめている
大声を上げた彼女はサンデイに向かって罵声を浴びせてくる
「私の邪魔をするんじゃないわよ!このカス!!」
サンデイは何の事か分からず困惑する
ジェニファーは構わずに続けた
「あんたら私になんの恨みがあるのよ?言ってみなさい?聞いてあげるわ、早く言いなさいよ、早く!!」
「ごめん、分からないよ、いったい何の話をしているの?」
「分からないですって!?さっきから私にちょっかいかけてるじゃない!あんた達まとめて殺すわよ…」
「殺すってそんな物騒な…」
「物騒?なにが物騒なのよ?こんな銃火器をぶっ放せる学園で」
ジェニファーはサンデイに向かって銃口を向ける
「ちょっと落ち着いてよ、この学園だって無法地帯じゃない、君だって僕を撃ったら学園側から糾弾されて、楽園に送られるよ」
「良いじゃない、楽園…上等よ…私は楽園の奴らも血祭りに上げてやるわ」
話の通じない彼女を落ち着かせる為に、サンデイは言った
「楽園の飯は1日1食、しかもパン一つだけ」
「なによそれ…」
「知らない?楽園に行くとそんな生活を送る事になるんだ」
「それが何って言ってるのよ…私はね、1週間水だけで生活した事もあるのよ!」
そう言うと、ジェニファーはサンデイに向かって発砲した
バン!
銃弾はサンデイの頬の横を通過して、後ろに落ちていた、空き缶に当たる
空き缶はそのまま宙を舞い、近くにあった屑籠の中に入った
「ゴム弾よ!全く、世界を汚すんじゃないわよ…」
サンデイは発砲された事に驚き尻餅をつく
ジェニファーはめんどくさそうな顔をしながら、サンデイの元から去って行った
サンデイは、ゴム弾を撃つ事も世界を汚す行為ではないかと、そんな事を考えていた
15時00分
ピーン!!!
15時を告げる電子音が学園に鳴り響いた
アスチルーベ学園では15時から30分間、休憩が設けられている
人形人の生産性を上げるには、この時間に仮眠を取る事が良いと、シルバニアの科学者達は口を揃えて言っており、アスチルーベ学園でも、この時間に仮眠を取る事が推奨されていた
しかし、素直に仮眠を取る生徒は少なく、午後のティータイムや雑談を楽しんでいる生徒がほとんどである
先程ジェニファーに発砲されて、腰が抜けてしまったサンデイは、しばらくその場から動く事が出来ず、誰かに告白をすると言う無茶振りを、実行する余裕がなかった
このまま放課後になれば、告白を録音出来なかった罪で、サンデイは不良達に殴られる事になるだろう
そうならない為の最後のチャンスが15時、まさにこのタイミングであった
サンデイは急いで教室から出ると、一人で行動している女の子を探す
しばらく探すと、書類の束を持ち、一人で歩いている女性型ドールの姿を見つけた
彼女は普段学園では見かけない花柄の衣装を着ており、少しだけ目立つ見た目をしている
出来るだけ地味な子に告白をしたかったが、もう贅沢は言っていられない
時間と言うのは有限なのである、これを逃せば次のチャンスは来ないかもしれない
サンデイは決意を固めてから、気合いを込めて告白をした
「あの、すみません、ずっと前から好きでした!」彼女の黒い瞳を見つめながら、愛を伝える
彼女は一瞬だけ驚いた表情をしたが、すぐに平静を取り戻すと、サンデイに言った
「あの、多分ですけど、勘違いだと思います」
「勘違い?」
「はい、私、先週この学園に編入して来たばかりなんですよ…だから、前から好きと言われても、それは勘違いだと思います…」
「なるほど…」
「はい、すみません」
サンデイは、懐から出した録音機を、鶴子に見せてから、電源を落として言った
「すみません、実は罰ゲームでやらされていたんです」
「そうなんですか…それで録音していたのですね」
「そうです、いきなり告白されてびっくりしちゃいましたよね」
「驚きはしましたが、気分は悪くなかったですよ?」
鶴子の言葉にサンデイは、頬を赤らめる
「所で、職員室を探しているのですが、どこにあるか分かりますか?」
鶴子の質問にサンデイは、丁寧に答える
「職員室なら、ここから真っ直ぐ行って、Dクラスを過ぎてから左に曲がると、飲み物が買える販売機があるので、そこから真っ直ぐ行けば着くと思います」
「ありがとうございます、それでは失礼します」
鶴子はお礼を言うと、職員室に向かって歩いていく
彼女はDクラスを超えてからも、曲がる事なく、ずっと奥の方にまで進んで行く
サンデイはそんな鶴子を見て、彼女の元へと走った「あの、そっちじゃなくて、向こうです!」 
「あら、間違えていましたか、申し訳ないのですが、職員室まで案内して貰えませんか?」
鶴子のお願いに、サンデイは頷き、彼女を職員室まで案内した
「ありがとうございました、これも何かの縁です、お礼にお茶をご馳走するので、放課後、近くのカフェに行きませんか?」
鶴子の申し出に、サンデイは一瞬だけ目を丸くしたが、すぐに彼女の提案を承諾し、自身の教室へと戻った
16月23日
12時35分
シルバニア国北東部
フィナーレ・ルチア
アスチルーベ学園
サンデイはソワソワとしながら学園の中庭を歩いていた
女の子に告白しろと無茶振りを言われたサンデイは、とりあえず女の子が居そうな場所を探して歩き回ってみたのだが、好きでもない女の子を相手に告白をしなければいけないと言う状況に、どうしたら良いのだろうかと、頭を抱えていた
最初は誰でも良いから適当に告白をして、とりあえず不良4人組を納得させようと考えていたのだが、お昼休みに一人で過ごしている者は意外と少なく、必ずと言っていい程、周りに他のドールの目が存在していた
告白に失敗するだけならまだ良いが、告白をして断られる瞬間を色々なドールに見られるのは、サンデイにとって屈辱的であり、出来れば避けたい事柄であった
それに、告白が失敗すると十中八九周りに噂が広まる
人形達は皆、色恋沙汰の話題が大好物なのだ
誰が誰を好きで、誰が誰と付き合っていて、誰が誰に振られて、誰が誰と浮気していると、人形達は常日頃から色恋について話し合っている
そんな世界で告白が失敗しようものなら、すぐに晒し上げられて話題のタネになってしまう事は友達の居ないサンデイすらも理解している事であった
二次災害を避ける為に、一人で行動している人形にターゲットを絞り、探していく
しばらく中庭を歩いていると、一人の女性型ドールが木陰で読書をしている姿が目に入る
彼女の名前は、ジェニファー・ローレンス
紫色の瞳の下にある大きな隈が特徴的な彼女は、黒で構成された上下一体型の服を着ており、スカートの裾には透明なフリルが施されている
胸元には白い前掛けがあり、黒い縦線が細く伸びている
襟から胸元にかけて紫色の大きなリボンが二つ伸びているが、これはカチューシャと一体型になっている、シルバニアで流行中のファッションである
頭のてっぺんには、カチューシャがあり、黒をベースに作られたそれにも、白いフリルが付けられており、頭の左右には紫色の大きいリボンが結ばれている
素足を隠すような長い灰色の靴下は膝の下まで伸びて来ており、靴下の縁には紫色のフリルが付いていて、黒い靴は今シルバニアで流行している、ローリングシューズと呼ばれる特殊な靴であった
靴のシュータンにはワンポイントとして、紫色のリボンが飾られている
伸びた髪は真っ黒で、後ろ髪は膝に付きそうな程に長く、前髪は胸元まで伸びているが、正面の顔にかかる部分は眉毛の辺りで綺麗にカットされていた
サンデイは周りに他の人形が居ない事を確認すると、ジェニファーに向かって声をかけた
「あの、ずっと前からす」
「あああああもおおおおお!うるさい!!うるさい!!うるさいのよ!!!!」
ガン!ガン!ガン!
ジェニファーは本を閉じると、叫びながら、上空に向かって銃を3発発砲した
サンデイはなにが起きたのか分からないと言った様子で彼女の事を見つめている
大声を上げた彼女はサンデイに向かって罵声を浴びせてくる
「私の邪魔をするんじゃないわよ!このカス!!」
サンデイは何の事か分からず困惑する
ジェニファーは構わずに続けた
「あんたら私になんの恨みがあるのよ?言ってみなさい?聞いてあげるわ、早く言いなさいよ、早く!!」
「ごめん、分からないよ、いったい何の話をしているの?」
「分からないですって!?さっきから私にちょっかいかけてるじゃない!あんた達まとめて殺すわよ…」
「殺すってそんな物騒な…」
「物騒?なにが物騒なのよ?こんな銃火器をぶっ放せる学園で」
ジェニファーはサンデイに向かって銃口を向ける
「ちょっと落ち着いてよ、この学園だって無法地帯じゃない、君だって僕を撃ったら学園側から糾弾されて、楽園に送られるよ」
「良いじゃない、楽園…上等よ…私は楽園の奴らも血祭りに上げてやるわ」
話の通じない彼女を落ち着かせる為に、サンデイは言った
「楽園の飯は1日1食、しかもパン一つだけ」
「なによそれ…」
「知らない?楽園に行くとそんな生活を送る事になるんだ」
「それが何って言ってるのよ…私はね、1週間水だけで生活した事もあるのよ!」
そう言うと、ジェニファーはサンデイに向かって発砲した
バン!
銃弾はサンデイの頬の横を通過して、後ろに落ちていた、空き缶に当たる
空き缶はそのまま宙を舞い、近くにあった屑籠の中に入った
「ゴム弾よ!全く、世界を汚すんじゃないわよ…」
サンデイは発砲された事に驚き尻餅をつく
ジェニファーはめんどくさそうな顔をしながら、サンデイの元から去って行った
サンデイは、ゴム弾を撃つ事も世界を汚す行為ではないかと、そんな事を考えていた
15時00分
ピーン!!!
15時を告げる電子音が学園に鳴り響いた
アスチルーベ学園では15時から30分間、休憩が設けられている
人形人の生産性を上げるには、この時間に仮眠を取る事が良いと、シルバニアの科学者達は口を揃えて言っており、アスチルーベ学園でも、この時間に仮眠を取る事が推奨されていた
しかし、素直に仮眠を取る生徒は少なく、午後のティータイムや雑談を楽しんでいる生徒がほとんどである
先程ジェニファーに発砲されて、腰が抜けてしまったサンデイは、しばらくその場から動く事が出来ず、誰かに告白をすると言う無茶振りを、実行する余裕がなかった
このまま放課後になれば、告白を録音出来なかった罪で、サンデイは不良達に殴られる事になるだろう
そうならない為の最後のチャンスが15時、まさにこのタイミングであった
サンデイは急いで教室から出ると、一人で行動している女の子を探す
しばらく探すと、書類の束を持ち、一人で歩いている女性型ドールの姿を見つけた
彼女は普段学園では見かけない花柄の衣装を着ており、少しだけ目立つ見た目をしている
出来るだけ地味な子に告白をしたかったが、もう贅沢は言っていられない
時間と言うのは有限なのである、これを逃せば次のチャンスは来ないかもしれない
サンデイは決意を固めてから、気合いを込めて告白をした
「あの、すみません、ずっと前から好きでした!」彼女の黒い瞳を見つめながら、愛を伝える
彼女は一瞬だけ驚いた表情をしたが、すぐに平静を取り戻すと、サンデイに言った
「あの、多分ですけど、勘違いだと思います」
「勘違い?」
「はい、私、先週この学園に編入して来たばかりなんですよ…だから、前から好きと言われても、それは勘違いだと思います…」
「なるほど…」
「はい、すみません」
サンデイは、懐から出した録音機を、鶴子に見せてから、電源を落として言った
「すみません、実は罰ゲームでやらされていたんです」
「そうなんですか…それで録音していたのですね」
「そうです、いきなり告白されてびっくりしちゃいましたよね」
「驚きはしましたが、気分は悪くなかったですよ?」
鶴子の言葉にサンデイは、頬を赤らめる
「所で、職員室を探しているのですが、どこにあるか分かりますか?」
鶴子の質問にサンデイは、丁寧に答える
「職員室なら、ここから真っ直ぐ行って、Dクラスを過ぎてから左に曲がると、飲み物が買える販売機があるので、そこから真っ直ぐ行けば着くと思います」
「ありがとうございます、それでは失礼します」
鶴子はお礼を言うと、職員室に向かって歩いていく
彼女はDクラスを超えてからも、曲がる事なく、ずっと奥の方にまで進んで行く
サンデイはそんな鶴子を見て、彼女の元へと走った「あの、そっちじゃなくて、向こうです!」 
「あら、間違えていましたか、申し訳ないのですが、職員室まで案内して貰えませんか?」
鶴子のお願いに、サンデイは頷き、彼女を職員室まで案内した
「ありがとうございました、これも何かの縁です、お礼にお茶をご馳走するので、放課後、近くのカフェに行きませんか?」
鶴子の申し出に、サンデイは一瞬だけ目を丸くしたが、すぐに彼女の提案を承諾し、自身の教室へと戻った
「CrazyDoll-クレイジードール」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
1,254
-
944
-
-
5,170
-
2.6万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
12
-
6
-
-
442
-
726
-
-
23
-
2
-
-
6,646
-
2.9万
-
-
359
-
1,684
-
-
9,386
-
2.4万
-
-
8,170
-
5.5万
-
-
9,691
-
1.6万
-
-
2,492
-
6,724
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
98
-
15
-
-
86
-
30
-
-
7,460
-
1.5万
-
-
986
-
1,509
-
-
3
-
1
-
-
611
-
1,139
-
-
238
-
1,829
-
-
78
-
2,902
-
-
3,202
-
1.5万
-
-
63
-
43
-
-
28
-
46
-
-
2,858
-
4,949
-
-
6,207
-
3.1万
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,691
-
1.6万
-
-
9,542
-
1.1万
-
-
9,386
-
2.4万
-
-
9,166
-
2.3万
コメント