離婚したので冒険者に復帰しようと思います。
7
「では、簡単に要点だけをお伝えしますね」
マスターは涼しい顔をしながら、事務的に話しだす。
「昨日のモンスターの件ですが、イルシア君とあなたが共同で討伐したとして、各所に報告をあげています。それと、モンスターの討伐はあなたの冒険者証の発行前でしたが、冒険者として依頼を受けたときと同様の報酬をきちんとお出しします。後ほど受付に申し出てください」
「あら、ありがとう。気が利くじゃない」
ライラは両手を合わせて微笑んだ。
見返りを期待していたわけではないが、報酬が得られるならば素直に嬉しい。
「それから、この男は中央のお偉方にあなたの動向を調べるように命令を受けているのでお知らせしておきますね」
マスターのこの一言に、黙って壁際に佇んでいた男が咳き込んだ。
ライラはいきなりそんな話を聞かされて、驚きで目を丸くしてしまう。
「──っちょ、トリグヴィ様!? いきなりなにを仰るのですか!」
「ライラさんが本調子になれば、アナタがこそこそ探っていることなどすぐにバレますよ。ご本人に気がつかれる前に言っておいた方が、あとでこじれないでしょう?」
軍服の男が慌てた様子でマスターに食ってかかっている。しかし、マスターは涼しい顔をしながら、男の抗議をあっさりと受け流してしまう。
二人はなにやら重要そうなことを言い争っているのだが、ライラの耳に会話の内容は入ってこない。そんなことを気にしている場合ではなくなっていたのだ。
「ちょっと待って。トリグヴィって名前、聞いたことがあるわ……」
軍服の男が呼んだマスターの名前を聞いて、ライラは徐々に記憶が蘇ってきた。
以前、クロードに士官学校の同期だという者を紹介されたことがある。
それが目の前にいるマスターだということをようやく思い出した。
ライラはおもわず立ち上がり、マスターを見ながらあんぐりと口を開けてしまう。
「も、もしかして……、あなたはあの人と士官学校の同期だったりするのかしら?」
「おや、ようやく私のことを思い出してくれましたか」
マスターが嬉しそうに笑う。
その顔を見てライラは力が抜けてしまった。その場にふらふらとへたりこんでしまった。
「待って待って、だって伯爵家の跡継ぎって聞いたはずだわ。冒険者組合のマスターって、そんなわけがないわよ」
「私は家を出たのですよ。勘当されていますから、爵位は弟が継ぐでしょうね」
「──なによそれ! よりによってあの人の友人がマスターをしている組合に来てしまうなんて、そんなことってあるの?」
ライラは頭を抱えてうずくまった。
マスターは涼しい顔をしながら、事務的に話しだす。
「昨日のモンスターの件ですが、イルシア君とあなたが共同で討伐したとして、各所に報告をあげています。それと、モンスターの討伐はあなたの冒険者証の発行前でしたが、冒険者として依頼を受けたときと同様の報酬をきちんとお出しします。後ほど受付に申し出てください」
「あら、ありがとう。気が利くじゃない」
ライラは両手を合わせて微笑んだ。
見返りを期待していたわけではないが、報酬が得られるならば素直に嬉しい。
「それから、この男は中央のお偉方にあなたの動向を調べるように命令を受けているのでお知らせしておきますね」
マスターのこの一言に、黙って壁際に佇んでいた男が咳き込んだ。
ライラはいきなりそんな話を聞かされて、驚きで目を丸くしてしまう。
「──っちょ、トリグヴィ様!? いきなりなにを仰るのですか!」
「ライラさんが本調子になれば、アナタがこそこそ探っていることなどすぐにバレますよ。ご本人に気がつかれる前に言っておいた方が、あとでこじれないでしょう?」
軍服の男が慌てた様子でマスターに食ってかかっている。しかし、マスターは涼しい顔をしながら、男の抗議をあっさりと受け流してしまう。
二人はなにやら重要そうなことを言い争っているのだが、ライラの耳に会話の内容は入ってこない。そんなことを気にしている場合ではなくなっていたのだ。
「ちょっと待って。トリグヴィって名前、聞いたことがあるわ……」
軍服の男が呼んだマスターの名前を聞いて、ライラは徐々に記憶が蘇ってきた。
以前、クロードに士官学校の同期だという者を紹介されたことがある。
それが目の前にいるマスターだということをようやく思い出した。
ライラはおもわず立ち上がり、マスターを見ながらあんぐりと口を開けてしまう。
「も、もしかして……、あなたはあの人と士官学校の同期だったりするのかしら?」
「おや、ようやく私のことを思い出してくれましたか」
マスターが嬉しそうに笑う。
その顔を見てライラは力が抜けてしまった。その場にふらふらとへたりこんでしまった。
「待って待って、だって伯爵家の跡継ぎって聞いたはずだわ。冒険者組合のマスターって、そんなわけがないわよ」
「私は家を出たのですよ。勘当されていますから、爵位は弟が継ぐでしょうね」
「──なによそれ! よりによってあの人の友人がマスターをしている組合に来てしまうなんて、そんなことってあるの?」
ライラは頭を抱えてうずくまった。
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