ついのすみか
最短! 半年で
また新年度が始まる。また職員が異動する。半年前に入った若い男性が辞めた。
なぜ?
妻帯者だ。子供はまだ。
私は途中2ヶ月休んだので、一緒に組んだのはここ2ヶ月。入って、独り立ちするまでには、経験者でも1ヶ月はかかる。
独り立ちした新人が何人辞めていったことか? リーダーも教えるのに疑問を持たないか? この職員は、果たして続くだろうか? と。
今回の男性はやりやすかった。このばあさんの娘より若い。明るく、入居者さんにも優しく、親しみやすく、仕事も速かった。
なぜ? とは聞かないし言わない。やりやすかったのに……とだけ最後に言った。
半年ごとの虐待防止に関する面談があった。虐待はない、が……
ユニットの雰囲気がずいぶん変わってしまった。常勤が定着しないから、超勤が増える悪循環。
朝出勤すると、夜勤さんはピリピリしていて声もかけづらい時がある。
入居者はますます高齢になり、反応がなくなってくる。職員に暴力的なことをする。引っ掻かれても記録に残すだけだ。辞めた女性職員は、半袖では介助できないと言っていた。
ユニットの方向が、職員が大変にならないように……に変わってきている。
なあなあ、と何度も呼ぶネコヤナギさんはおとなしくなってしまった。バカヤローが口癖だったのに。言える雰囲気でなくなってしまったことはわかるのか。
ばあさんが出勤のときはいくらかうるさくなる。行って、なに? どうしたの? と声をかけたいが、躊躇する。
甘やかさないで、と言われそう。職員が大変なのは、甘やかしたからなのだ、と。
でも、無視も虐待ですよ。
コデマリさんへの対応も冷たい。確かにわがままで、うるさい人だけど。自分が1番じゃないと気が済まない……
かつては、職員はご機嫌を取っていた。頭はしっかりしているし、機嫌を損ねれば施設長に直訴する。携帯で家族に電話する。
でも最近は適当に聞き流されている。
確かにわがままだけど……
ここのところ続けて入居者さんが亡くなり、新しい方が入ってきた。親しかった方ふたりも亡くなった。
リンドウさんは心臓病で何度も入退院を繰り返していた。救急車で搬送される2日前の朝、食事のあと、早く横になりたい、とナースコールが鳴った。
起きているのが辛いのだ。しかし食後すぐには横にできない。ナースコールが2度鳴ったが、
「お待ちください」
と、あとまわし。
仕方ないのだ。別の方の食事介助中だったから。パートの私が様子を見に行く雰囲気ではなかった。
次に出勤した時には入院していて、そのまま亡くなった。パート仲間からメールがあったが、それっきり。話題にもならず.サイボーズでのお知らせもない。
何事もなかったように過ぎていく。
コデマリさんはある意味すごいと思う.こんな状況でも元気だ。話し相手がいなくなった。(亡くなったと察しているだろう)
職員は教えない。何か言えば、慇懃無礼な態度を取られ、食事のほかは部屋に籠るのに。
だから、面談の時、主任に少し言いました。
雰囲気が変わりました。
よくないです。
仕事が速い、遅いよりも、明るく楽しく仕事をしたい。この6年間は楽しかった。
今までいろいろ書いたけど、皆優しい職員だった。話しやすかった。
今は、話そうとし、躊躇し、やめる。
たかだか2時間のパート、自分の仕事だけすればいいか、と。
理想も理念もどこへやら。
朝なのに、部屋のカーテンを開けていない。服の着せ方が、ひどすぎませんか? 髪も……
忙しいのはわかるのです。工程を省きたくなるのも。
主任も言いにくいだろう……  
でも新人が育ちません。
今度異動してくるのは、3年目の若い男性。
大丈夫だろうか?
ここはキツイよ……ばあさんだって辞めたくなる。
ここ3年、ユニットに面会人は入ってこられない。面会が再開されたらどうなるのだろう? この3年で皆、衰えた。それは当たり前のこと。
部屋にもリビングにも、折り紙や毛糸で作った飾り物がたくさん。家庭的な雰囲気。
時間の長いパートさんが作ってくれる。紙で作った素晴らしい花やマスコット。まるで手芸屋さんみたい。午後の時間に座って作っているらしい。
それも仕事……??
でも、シーツ交換が残っていて、私に回ってくるのですが。
なぜ?
妻帯者だ。子供はまだ。
私は途中2ヶ月休んだので、一緒に組んだのはここ2ヶ月。入って、独り立ちするまでには、経験者でも1ヶ月はかかる。
独り立ちした新人が何人辞めていったことか? リーダーも教えるのに疑問を持たないか? この職員は、果たして続くだろうか? と。
今回の男性はやりやすかった。このばあさんの娘より若い。明るく、入居者さんにも優しく、親しみやすく、仕事も速かった。
なぜ? とは聞かないし言わない。やりやすかったのに……とだけ最後に言った。
半年ごとの虐待防止に関する面談があった。虐待はない、が……
ユニットの雰囲気がずいぶん変わってしまった。常勤が定着しないから、超勤が増える悪循環。
朝出勤すると、夜勤さんはピリピリしていて声もかけづらい時がある。
入居者はますます高齢になり、反応がなくなってくる。職員に暴力的なことをする。引っ掻かれても記録に残すだけだ。辞めた女性職員は、半袖では介助できないと言っていた。
ユニットの方向が、職員が大変にならないように……に変わってきている。
なあなあ、と何度も呼ぶネコヤナギさんはおとなしくなってしまった。バカヤローが口癖だったのに。言える雰囲気でなくなってしまったことはわかるのか。
ばあさんが出勤のときはいくらかうるさくなる。行って、なに? どうしたの? と声をかけたいが、躊躇する。
甘やかさないで、と言われそう。職員が大変なのは、甘やかしたからなのだ、と。
でも、無視も虐待ですよ。
コデマリさんへの対応も冷たい。確かにわがままで、うるさい人だけど。自分が1番じゃないと気が済まない……
かつては、職員はご機嫌を取っていた。頭はしっかりしているし、機嫌を損ねれば施設長に直訴する。携帯で家族に電話する。
でも最近は適当に聞き流されている。
確かにわがままだけど……
ここのところ続けて入居者さんが亡くなり、新しい方が入ってきた。親しかった方ふたりも亡くなった。
リンドウさんは心臓病で何度も入退院を繰り返していた。救急車で搬送される2日前の朝、食事のあと、早く横になりたい、とナースコールが鳴った。
起きているのが辛いのだ。しかし食後すぐには横にできない。ナースコールが2度鳴ったが、
「お待ちください」
と、あとまわし。
仕方ないのだ。別の方の食事介助中だったから。パートの私が様子を見に行く雰囲気ではなかった。
次に出勤した時には入院していて、そのまま亡くなった。パート仲間からメールがあったが、それっきり。話題にもならず.サイボーズでのお知らせもない。
何事もなかったように過ぎていく。
コデマリさんはある意味すごいと思う.こんな状況でも元気だ。話し相手がいなくなった。(亡くなったと察しているだろう)
職員は教えない。何か言えば、慇懃無礼な態度を取られ、食事のほかは部屋に籠るのに。
だから、面談の時、主任に少し言いました。
雰囲気が変わりました。
よくないです。
仕事が速い、遅いよりも、明るく楽しく仕事をしたい。この6年間は楽しかった。
今までいろいろ書いたけど、皆優しい職員だった。話しやすかった。
今は、話そうとし、躊躇し、やめる。
たかだか2時間のパート、自分の仕事だけすればいいか、と。
理想も理念もどこへやら。
朝なのに、部屋のカーテンを開けていない。服の着せ方が、ひどすぎませんか? 髪も……
忙しいのはわかるのです。工程を省きたくなるのも。
主任も言いにくいだろう……  
でも新人が育ちません。
今度異動してくるのは、3年目の若い男性。
大丈夫だろうか?
ここはキツイよ……ばあさんだって辞めたくなる。
ここ3年、ユニットに面会人は入ってこられない。面会が再開されたらどうなるのだろう? この3年で皆、衰えた。それは当たり前のこと。
部屋にもリビングにも、折り紙や毛糸で作った飾り物がたくさん。家庭的な雰囲気。
時間の長いパートさんが作ってくれる。紙で作った素晴らしい花やマスコット。まるで手芸屋さんみたい。午後の時間に座って作っているらしい。
それも仕事……??
でも、シーツ交換が残っていて、私に回ってくるのですが。
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