愛のカタチ

木ノ葉丸

子犬が紡ぐ恋


その春、街角でふたりの出会いがあった。不良少年・悠介は、捨てられた子犬を見つけ、優しく拾い上げていた。その姿に目を奪われたのは、清楚で華奢な少女・真綾だった。

「ねえ、その子犬、大丈夫?」真綾は悠介に声をかけた。

「ああ、見ての通りだろ。お前、犬に興味あるのか?」悠介は、いつもの無愛想な態度で答えた。

「うん、実は私も犬が好きで。手伝いたいと思って声をかけさせてもらったの。」真綾は微笑みながら言った。

それから、ふたりは子犬の世話をするようになった。最初は、悠介は真綾に対して素っ気なかったが、次第に彼女の純粋さに触れるうちに、心の中に変化が訪れた。

ある日、真綾が子犬に話しかけているのを見た悠介は、どこか切ない気持ちに襲われた。

「おい、真綾。お前、どうしてこんな俺に優しくしてくれるんだ?」悠介が聞くと、真綾は瞳を潤ませた。

「だって、悠介くんがあの子を助けてくれた時、素敵だと思ったから。」彼女はそう言って、悠介の手を握り締めた。

悠介は、真綾の瞳の奥にある愛情に気づいて、自分も彼女に惹かれていることに気づいた。

悠介は不良から足を洗うことを決めた。

二人は子犬とともに、幸せな日々を過ごした。

やがて季節は巡り、秋が訪れた。

子犬も成長し、彼らの恋もまた、新しいステージへと進んでいった。

ある日、悠介は真綾に告白を決意し公園で彼女を待ち受けた。

真綾は子犬を連れた悠介の目の前で立ち止まった。

「真綾、お前が好きだ!」 

「俺たち、ずっと一緒にいよう。お前がいるだけで、俺は強くなれる。」

悠介は、真剣なまなざしで真綾に告げた。

真綾は、涙を浮かべながら悠介に微笑んだ。「うん、私もずっと悠介くんと一緒にいたい。ありがとう。」

悠介は真綾を抱きしめた。

悠介と真綾の愛は、一匹の子犬を拾った瞬間から始まった。

二人を結びつけた子犬として、後世に語り継がれていくことになるのだった。

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