追放騎士のダンジョン探索記
2話
「──さて……今日も今日とて行くか……『地界の迷宮』」
見慣れた洞窟の入口に視線を向け、ケインは気怠そうに歩みを進める。
そんなケインに気づいたのか、『地界の迷宮』の近くに立っているテントのような物から一人の女性が飛び出してきた。
「──ケインさん! お疲れ様です! 今日はどうされました?! 今日も『地界の迷宮』に──って、また一人ですか?! 何かあったらどうするつもりですか?!」
灰色の長髪を揺らしながら、髪と同じく灰色の瞳を細めて女性はケインに問い詰めた。
──『探索者補助隊』。『探索者組合』の組織に属する部隊だ。
『探索者補助隊』の仕事は、主に探索から無事に帰ってきた『探索者』を護衛したり、その功労を『探索者組合』に伝える事だ。
飛び出してきた女性は、もちろん『探索者補助隊』の隊員だ。名前はエルファ・ドーンズという。
寝起きでボーっとする頭にエルファの大声が響き、ケインは心底面倒臭そうにため息を吐いた。
「……また出てきたのか」
「当たり前です! ケインさんは『二種魔法師』なんですよ?! その気になればっ、一緒に『地界の迷宮』に潜る『探索者』だって見つかるはずなのに!」
「あーあーはいはい……つっても、今までだって無事に帰って来ただろ? 今回も大丈夫だって」
「その慢心が命取りなんですよ?! そもそもなんで命懸けで『地界の迷宮』に行くんですか?! そんな危険を冒す必要はないんです! とっ、とくにっ、ケインさんはっ、その……だって……だっ、てぇ……」
顔を赤らめるエルファが、もじもじと体を左右に揺らす。
その言葉に、その動作に、不覚にもケインの心臓が跳ねてしまった。
声にならない空気を漏らす赤面のエルファが、濡れた視線をケインに向け──大きく息を吸い込んだ。
「わ、わたしっ、ケインさんがっ……そのっ、ケインさんが──」
「おーうまた来たのかボウズ! ああ? またいつもと変わらず一人なのか? ったく、今の『地界の迷宮』は四階層の魔獣のせいでお前さんの探索範囲でも危険充分だってのに……おら、行くんだろ?! とっとと行って無事な姿ぁ見せろッ!」
「いっ──づぁッ?! わ、わかってます、わかってますから。いつも通りチマチマと日銭を稼いできますって」
突如、ケインとエルファに間に現れた巨躯に肩を叩かれ──激痛により我に帰ったケインは、思い出したかのように『地界の迷宮』へと向かっていく。
その背中を巨躯の男は腕を組んでうんうんと見守り──やがてケインが完全に見えなくなった時、エルファはその場に膝を突いた。
「はっっっ──ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
「おうどうしたエル! 『探索者』を見送っただけだろ?! なんでしょげて──」
「お父さんのせいです! 今日こそっ、今日こそケインさんに好きだって言う予定でしたのにっ! なんでいつもいつも邪魔ばかりするんですか父さんはぁ?!」
「は、はぁ?! んな事オレが知るかよッ! 大体、告白するのに予定だのつもりだの言う奴が、惚れた男の前でそれが言えるかってんだッ!」
「言いました! 言いましたからねっ?! それなら次のわたしの告白っ、黙って見ていてくださいよ?!」
すっかり見慣れてしまった光景に、『探検者補助隊』の総員は大きくため息を吐いた。
──はぁ……大旦那が絶妙なタイミングで声を掛けたせいで、女性陣はエルファの慰め、男性陣はそんなエルファに怒られた大旦那の慰めだ。今日一日は酒場からは抜け出せないだろう。
意図せぬ酒盛りの予定に、思わず一人の男がエルファに声を掛けた。
「え、エルファさん……そんなにさっきの奴の事が……そ、の……好き、なんですか……?」
当然の疑問だ。彼のように最近この『探索者補助隊』に入った者にとっては、疑問も疑問だろう。
だが──答えは、単純であった。
「………………好き、なんです……」
「な、なんで?!」
「……一目惚れ……と、言うんですかね……」
「っかー! なーにが一目惚れだ! 恋愛ってのは、一緒に話したり出掛けたりして、少しずつ距離を縮めていくもんだろ?!」
そう、エルファはケインに一目惚れしていた。
『地界の迷宮』に消えてしまったケインの姿を脳裏に思い描き──エルファは小さく呟く。
「──今日も、いつも通り、無事に帰って来て」
─────────────────────
ジンジンと痛む右肩を回しながら、ケインは今日も一人『地界の迷宮』に来ていた。
「いってぇ……ったくエルファの親父、叩くならもうちょっと優しくしろっての……」
舌打ち混じりの悪態に、当然反応を返す者はいない。
いつも通り、この日々を変えないために、ベテラン『探索者』が見逃し、新人『探索者』が見落とした小さな小さな副産物を拾い集める──そんないつも通りの日々を変えないために、ケインはここにいる。
「いつも通りを、変えない……」
『地界の迷宮』に入ったケインにとって、それはスタンスであった。
欲しがらず、驕らず、飢えず、媚びず、必要以上を望まず、必要以下を良しとせず。
──それは、普通の『探索者』から見れば異様な在り方であった。
強き者は、弱き者のために副産物を分ける。
いつの日か──弱者を肉盾にする日を幻視して。
弱き者は、強き者に副産物を強請る。
いつの日か──強者を助ける日を夢見て。
そうして『探索者』という職業は成り立っている。
そう──ケインという『探索者』としての在り方は、ケインという存在は、他の者から見て異様としか言えない不純物であった。
「……いつも通りで、今日を生き抜く……」
ケインがパーティーを組まれない理由として、その考え方が理由として挙げられる。
強者が率いるパーティーは──さらに深くへ行こう、さらに強いモンスターを倒そう、誰も知らぬ階層へ行こう。皆が口を揃えてこう言う。
弱者が率いるパーティーは──これ以上はやめておこう。これ以上強いモンスターが出てきたら困る。ここより下の階層なんて誰かが潜った後だ。皆が口を揃えてそう言う。
一方でケインは──潜るのは十階層まで。知っているモンスターなら戦う、知らないモンスターなら逃げる。副産物が落ちているかも知れないから、階層の隅々まで見て回る。
根本的に『探索者』と考え方が異なるケインは──どこのパーティーにも馴染む事ができず、こうしてソロで『地界の迷宮』に潜っている。
「つっても……低階層で魔獣が発見されたって言うんなら、どこかのパーティーに入れてもらう方が安全かもな……」
そんな事を言いながら探索していると──通路を抜けた先に、下層へと続く階段を発見した。
現在ケインがいるのは──『地界の迷宮』の二階層。
この階段を下れば、魔獣がいると噂される四階層──その直上である三階層に着く。
「参ったな……もう階段を見つけちまったぞ……」
──『地界の迷宮』の内部構造は、日付が変わると同時に変化する。
昨日まで階段があった所に、今日は何もない──というのも毎日だ。
一瞬、三階層に向かうか迷うケインだったが──バタバタとした足音を聞いて、意識を階段に向けた。
「──『イリュージョン』」
自分を幻で覆い隠し、姿を隠す。
──モンスターか?
いつでも魔法を放てるように構えるケイン──そして階段から現れたのは、四人組の『探索者』パーティーだった。
「なっ──」
その『探索者』パーティーは、ケインでも知っている者たちだった。『探索者』の中ではそれなりに有名で、中堅『探索者』と呼ばれる者たちだった。
しかし、今ケインの前に現れた『探索者』四人は──満身創痍の状態であった。
一人の男は、右肩から先が何かで斬り落とされたかのように無くなっており、斬り口から大量の血を流している。
一人の男は、着ている装備や服が黒焦げに焼かれ、顔面の左半分が真っ黒になっている。
一人の女は、パーティーの中では後衛の『魔法師』と思われる人物であるが、左腕が異様な方向に曲がってしまっている。
そして──黒焦げの男に抱き抱えられる女は、その腹部に大きな穴が空いており、意識もなくぐったりとしている。
『探索者』パーティーは『幻魔法』で隠れるケインに気づく様子もなく、そのまま一階層へ続く階段のある方向へと走り去って行った。
「……………」
足音が遠くなるのを聞きながら、ケインは『幻魔法』を解除した。
──人の体には、魔力が存在する。
この魔力を消費し、魔法を放つのだ。
人より魔力の保有量は多いケインであるが、長時間『幻魔法』を使用したままでは、魔力不足で倒れてしまう。『地界の迷宮』内で魔力不足になるのは、それだけで死を意味する。
故に、少しでも魔力の消費を減らすため、『幻魔法』を解除したケインは──三階層に続く階段を下り始めた。
「……いつも通りを、変えない」
先ほどの『探索者』パーティーは、おそらく四階層にいるという魔獣にやられたのだろう。
しかし、ケインだって魔獣と遭遇した事はある。それも、一度や二度ではない。
ケインが余裕を持って安全に探索できる十階層──そこで、十一階層から上がってきた魔獣と、何度も一人で対峙した。
その度に、ケインは『土魔法』と『幻魔法』で逃げ帰ってきた。
そう──いつも通りを、変えない。
欲しがらず、驕らず、飢えず、媚びず、必要以上を望まず、必要以下を良しとせず──自分よりも強い相手には、真っ先に逃走を考える。
このスタンスを崩さなければ──死ぬ事はない。
「さて……三階層には副産物が残ってるといいけどなぁ……」
そんな言葉を呟きながら、ケインは三階層に足を踏み入れた。
見慣れた洞窟の入口に視線を向け、ケインは気怠そうに歩みを進める。
そんなケインに気づいたのか、『地界の迷宮』の近くに立っているテントのような物から一人の女性が飛び出してきた。
「──ケインさん! お疲れ様です! 今日はどうされました?! 今日も『地界の迷宮』に──って、また一人ですか?! 何かあったらどうするつもりですか?!」
灰色の長髪を揺らしながら、髪と同じく灰色の瞳を細めて女性はケインに問い詰めた。
──『探索者補助隊』。『探索者組合』の組織に属する部隊だ。
『探索者補助隊』の仕事は、主に探索から無事に帰ってきた『探索者』を護衛したり、その功労を『探索者組合』に伝える事だ。
飛び出してきた女性は、もちろん『探索者補助隊』の隊員だ。名前はエルファ・ドーンズという。
寝起きでボーっとする頭にエルファの大声が響き、ケインは心底面倒臭そうにため息を吐いた。
「……また出てきたのか」
「当たり前です! ケインさんは『二種魔法師』なんですよ?! その気になればっ、一緒に『地界の迷宮』に潜る『探索者』だって見つかるはずなのに!」
「あーあーはいはい……つっても、今までだって無事に帰って来ただろ? 今回も大丈夫だって」
「その慢心が命取りなんですよ?! そもそもなんで命懸けで『地界の迷宮』に行くんですか?! そんな危険を冒す必要はないんです! とっ、とくにっ、ケインさんはっ、その……だって……だっ、てぇ……」
顔を赤らめるエルファが、もじもじと体を左右に揺らす。
その言葉に、その動作に、不覚にもケインの心臓が跳ねてしまった。
声にならない空気を漏らす赤面のエルファが、濡れた視線をケインに向け──大きく息を吸い込んだ。
「わ、わたしっ、ケインさんがっ……そのっ、ケインさんが──」
「おーうまた来たのかボウズ! ああ? またいつもと変わらず一人なのか? ったく、今の『地界の迷宮』は四階層の魔獣のせいでお前さんの探索範囲でも危険充分だってのに……おら、行くんだろ?! とっとと行って無事な姿ぁ見せろッ!」
「いっ──づぁッ?! わ、わかってます、わかってますから。いつも通りチマチマと日銭を稼いできますって」
突如、ケインとエルファに間に現れた巨躯に肩を叩かれ──激痛により我に帰ったケインは、思い出したかのように『地界の迷宮』へと向かっていく。
その背中を巨躯の男は腕を組んでうんうんと見守り──やがてケインが完全に見えなくなった時、エルファはその場に膝を突いた。
「はっっっ──ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
「おうどうしたエル! 『探索者』を見送っただけだろ?! なんでしょげて──」
「お父さんのせいです! 今日こそっ、今日こそケインさんに好きだって言う予定でしたのにっ! なんでいつもいつも邪魔ばかりするんですか父さんはぁ?!」
「は、はぁ?! んな事オレが知るかよッ! 大体、告白するのに予定だのつもりだの言う奴が、惚れた男の前でそれが言えるかってんだッ!」
「言いました! 言いましたからねっ?! それなら次のわたしの告白っ、黙って見ていてくださいよ?!」
すっかり見慣れてしまった光景に、『探検者補助隊』の総員は大きくため息を吐いた。
──はぁ……大旦那が絶妙なタイミングで声を掛けたせいで、女性陣はエルファの慰め、男性陣はそんなエルファに怒られた大旦那の慰めだ。今日一日は酒場からは抜け出せないだろう。
意図せぬ酒盛りの予定に、思わず一人の男がエルファに声を掛けた。
「え、エルファさん……そんなにさっきの奴の事が……そ、の……好き、なんですか……?」
当然の疑問だ。彼のように最近この『探索者補助隊』に入った者にとっては、疑問も疑問だろう。
だが──答えは、単純であった。
「………………好き、なんです……」
「な、なんで?!」
「……一目惚れ……と、言うんですかね……」
「っかー! なーにが一目惚れだ! 恋愛ってのは、一緒に話したり出掛けたりして、少しずつ距離を縮めていくもんだろ?!」
そう、エルファはケインに一目惚れしていた。
『地界の迷宮』に消えてしまったケインの姿を脳裏に思い描き──エルファは小さく呟く。
「──今日も、いつも通り、無事に帰って来て」
─────────────────────
ジンジンと痛む右肩を回しながら、ケインは今日も一人『地界の迷宮』に来ていた。
「いってぇ……ったくエルファの親父、叩くならもうちょっと優しくしろっての……」
舌打ち混じりの悪態に、当然反応を返す者はいない。
いつも通り、この日々を変えないために、ベテラン『探索者』が見逃し、新人『探索者』が見落とした小さな小さな副産物を拾い集める──そんないつも通りの日々を変えないために、ケインはここにいる。
「いつも通りを、変えない……」
『地界の迷宮』に入ったケインにとって、それはスタンスであった。
欲しがらず、驕らず、飢えず、媚びず、必要以上を望まず、必要以下を良しとせず。
──それは、普通の『探索者』から見れば異様な在り方であった。
強き者は、弱き者のために副産物を分ける。
いつの日か──弱者を肉盾にする日を幻視して。
弱き者は、強き者に副産物を強請る。
いつの日か──強者を助ける日を夢見て。
そうして『探索者』という職業は成り立っている。
そう──ケインという『探索者』としての在り方は、ケインという存在は、他の者から見て異様としか言えない不純物であった。
「……いつも通りで、今日を生き抜く……」
ケインがパーティーを組まれない理由として、その考え方が理由として挙げられる。
強者が率いるパーティーは──さらに深くへ行こう、さらに強いモンスターを倒そう、誰も知らぬ階層へ行こう。皆が口を揃えてこう言う。
弱者が率いるパーティーは──これ以上はやめておこう。これ以上強いモンスターが出てきたら困る。ここより下の階層なんて誰かが潜った後だ。皆が口を揃えてそう言う。
一方でケインは──潜るのは十階層まで。知っているモンスターなら戦う、知らないモンスターなら逃げる。副産物が落ちているかも知れないから、階層の隅々まで見て回る。
根本的に『探索者』と考え方が異なるケインは──どこのパーティーにも馴染む事ができず、こうしてソロで『地界の迷宮』に潜っている。
「つっても……低階層で魔獣が発見されたって言うんなら、どこかのパーティーに入れてもらう方が安全かもな……」
そんな事を言いながら探索していると──通路を抜けた先に、下層へと続く階段を発見した。
現在ケインがいるのは──『地界の迷宮』の二階層。
この階段を下れば、魔獣がいると噂される四階層──その直上である三階層に着く。
「参ったな……もう階段を見つけちまったぞ……」
──『地界の迷宮』の内部構造は、日付が変わると同時に変化する。
昨日まで階段があった所に、今日は何もない──というのも毎日だ。
一瞬、三階層に向かうか迷うケインだったが──バタバタとした足音を聞いて、意識を階段に向けた。
「──『イリュージョン』」
自分を幻で覆い隠し、姿を隠す。
──モンスターか?
いつでも魔法を放てるように構えるケイン──そして階段から現れたのは、四人組の『探索者』パーティーだった。
「なっ──」
その『探索者』パーティーは、ケインでも知っている者たちだった。『探索者』の中ではそれなりに有名で、中堅『探索者』と呼ばれる者たちだった。
しかし、今ケインの前に現れた『探索者』四人は──満身創痍の状態であった。
一人の男は、右肩から先が何かで斬り落とされたかのように無くなっており、斬り口から大量の血を流している。
一人の男は、着ている装備や服が黒焦げに焼かれ、顔面の左半分が真っ黒になっている。
一人の女は、パーティーの中では後衛の『魔法師』と思われる人物であるが、左腕が異様な方向に曲がってしまっている。
そして──黒焦げの男に抱き抱えられる女は、その腹部に大きな穴が空いており、意識もなくぐったりとしている。
『探索者』パーティーは『幻魔法』で隠れるケインに気づく様子もなく、そのまま一階層へ続く階段のある方向へと走り去って行った。
「……………」
足音が遠くなるのを聞きながら、ケインは『幻魔法』を解除した。
──人の体には、魔力が存在する。
この魔力を消費し、魔法を放つのだ。
人より魔力の保有量は多いケインであるが、長時間『幻魔法』を使用したままでは、魔力不足で倒れてしまう。『地界の迷宮』内で魔力不足になるのは、それだけで死を意味する。
故に、少しでも魔力の消費を減らすため、『幻魔法』を解除したケインは──三階層に続く階段を下り始めた。
「……いつも通りを、変えない」
先ほどの『探索者』パーティーは、おそらく四階層にいるという魔獣にやられたのだろう。
しかし、ケインだって魔獣と遭遇した事はある。それも、一度や二度ではない。
ケインが余裕を持って安全に探索できる十階層──そこで、十一階層から上がってきた魔獣と、何度も一人で対峙した。
その度に、ケインは『土魔法』と『幻魔法』で逃げ帰ってきた。
そう──いつも通りを、変えない。
欲しがらず、驕らず、飢えず、媚びず、必要以上を望まず、必要以下を良しとせず──自分よりも強い相手には、真っ先に逃走を考える。
このスタンスを崩さなければ──死ぬ事はない。
「さて……三階層には副産物が残ってるといいけどなぁ……」
そんな言葉を呟きながら、ケインは三階層に足を踏み入れた。
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