無崎くんは恐すぎる ~~見た目だけヤクザな無能男子高校生の無自覚な無双神話~~

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41話 天才たちと魔王の出会い。


 41話 天才たちと魔王の出会い。

 ――五回目の勝負が終わった。
 結果は、Aのスリーカードで沢村の勝ち。

「……沢村、てめぇ、ポーカーが無駄に強くねぇ? 工藤と違って、表情からはまったく手が読めねぇ。そんな良い手が来てたっつーのに、一切、そんな雰囲気はなかった」

「どんなに苦しい場面でもマウンドで不敵に笑っているのがエースっていう生物だからな」

「あー、はいはい。すげー、すげー。流石、全球団ドラ一候補。未来のスーパースター」

「幸田。ほめなくていいから、さっさと、野究カードを渡してくれ」

「ちっ。これで、プロ級を三枚も失っちまった……来るんじゃなかったな」

「幸田、お前は表情にこそ出ていないが、運が悪すぎる」

「くぅ、ちぃっ! おい、赤羽。まさか、イカサマこいてねぇだろうな」

「沢村に勝たせて、わたしに何の得があるっていうのよ。だいたい、あんた、いつも、バカみたいに運が悪いじゃない」

「たまにいい手が入っても、それより若干強い手が、他の人に入っているという事も多いですよね」

「うっせぇ、工藤。てめぇは黙ってろ! 先輩をイジってんじゃねぇよ、二年坊が。ちっ……あーあ、くそっ」

 吐き捨てながら、幸田は自身のカードホルダーから一枚の野究カードを取り出して、沢村に投げ渡した。

 彼らが賭けているのは現金やチップではなく、野究カード。
 時々この交流室で行われている、野究カードを賭けたギャンブル。
 会議のついでに、交流も深めようという、赤羽の提案で行われている。

 六回目の勝負が始まる直前、沢村が、

「……みんな、そろそろ本題に入ろうか」

「そうですね。無崎をどうするか考えましょう」

 工藤の返事に、他の三人もうなずいた。
 ――赤羽が、カードをシャッフルしながら、

「みんな、龍名の話は聞いているかしら?」

「ああ、聞いたぜ。ロキと契約した直後に、しっかりと脅しつけられたんだろ?」

「まさしく、機(き)を見るに敏(びん)。見た目どおりの破格のスペック。正直、恐ろしいです」

「この会議も、実は筒抜けだったりしてなぁ」

「それはないだろう。今回の招集では、どこにも情報が漏れないよう慎重に行動した」

「ですね」

「で、どうすんだぁ? ロキからの休戦協定を受け入れるのはいいとして、どうやって、あのヤクザを始末する?」

「ロキがやると言っているのだから、大事な所は全て彼女に任せて、僕らは後ろから援護すればいい。至極、簡単な話だ」

「問題は、援護の仕方ということですね」

「――あぁ? ミリア、何? ちゃんと耳元で喋れ、聞こえん。ん?」

「作戦とか。いらない。数の暴力で。圧殺すればいい。余裕で。つぶせる」

「まあ、俺もその意見には賛成だな。下手に小細工しなくても、物量で抑え込めばいいんじゃね? 龍名は戦意喪失したみたいだが、超特待は全部で二十人いる。『上位二人(佐々波と上品)』がヤクザ側だが、残りは基本的にこっち側。そして、そのほぼ全員がPマシンを持ってんだから、ぶっちゃけ、楽勝だろ」

「相手は、編入後のたった数日でランキング首位になった怪物――魔王・無崎朽矢よ。その配下には、1年でありながらランキング2位(現在3位)にまで駆け上がった佐々波と、元序列4位(現在5位)の上品がいる。油断はするべきじゃないわ」

「赤羽の言うとおり。無崎は、最上位の才女二人を従えているランキング首位の超人。破格の化け物。どんな手を打ってくるかわからない。慎重に慎重を重ねて、確実に潰そう」

「どいつもこいつも怯えすぎなんだよ。確かに諸々鬱陶しいヤンキーだが、所詮は、超特待でもねぇ、ただのチンピラだろ? つぅか、一般特待ですらねぇって話じゃねぇか。ぶっちゃけ、俺らからすれば、ただのゴミ――」





「ここっすよ、センセー」
 ((おぉ、ここが噂の交流室か。何というか、凄ぇな。うわ、カラオケまである。やっべぇ。これぞ、まさに格差社会だな。俺も天才として生まれてきたかったなぁ。
「……へぇ、交流室ってこんな感じなんや……随分と豪華やなぁ」
「あれ? 上品センパイ、来た事ないんすか?」
「これまでは、誰かと交流する気なんか毛ほどもなかったからなぁ」





(無崎に佐々波に上品?! ぁ、あいつら、なぜ……まさか、僕らの邪魔をしに……くっ……いったい、どこから情報が漏れた…………ぃ、いや、というか……こ、怖ぁあああああああああああああ! はぁあ?! なんだ、あの顔面! 本当に人間か?!)

 そこにいたのは、地獄の悪鬼羅刹。
 一目で生存本能が悲鳴をあげる、暴悪の具現。

 『無崎から発せられている邪悪なオーラ』に背筋を冷やしている沢村に、
 佐々波は、

「ん? おっと、今日は五人でお楽しみ中っすか。いいっすねぇ。楽しそうで何よりっす。やっぱり、こうして、天才同士、仲良くしないといけないっすよねぇ。で、今のところは誰が負けている感じっすか?」

 ノリよくそう言うと、
 赤羽が、冷静さを保ちながら、

「ぃ……今のところは、幸田が連敗しているわ」

「幸田センパイ、ほんとギャンブル弱いっすねぇ。え、てか、総合的には工藤センパイにも負けてんすか? ヤバいっすよ、幸田センパイ。工藤センパイみたいな、自分が何のカードを持っているか、常に大声で叫んでいるような人に負けるとか、人としてどうかと思うっす」

「ぅ、うるせぇよ……」

 無崎の顔面にビビっているのか、いつもより声が小さい幸田。

「つぅか、てめぇ……一度もここに来た事ないのに、なんで、そんなに、俺らについて詳しいんだ」

「ん? ああ、調べたんすよ。それだけっす」

(さ、サラっと言いやがって……いきなりカマしてきやがった)

(なるほど、これが無崎のチーム『輝く狂乱』ですか。確かに、色々と……酷い)


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