バーバリアン3 影使い

で　あの美人はどこの誰だ？

と　クラフト屋の織田が俺に聞いた
今日は弟子のエミリのバーバリアンコスプレのテスト撮影日だ

気分転換に怜子に誘わせて理音を連れて来させた
初めて紹介されて驚いた
誠みたいなタイプだと言うから　てっきり小柄なイメージだったんだが　飛鳥ほど身長があるショートカットの均整の取れたプロポーションの美人だった
ただ　暗く猫背で姿勢は悪い
よく見るとハーフと見紛うほど鼻筋の通ったメリハリのある顔で172センチの身長にモデル並みの身体つき
あのクズに目をつけられたのも分かるし　それまでだって悪い男から被害を受けているだろう

怜子の後輩なんだが　見学って事で　付いて来てるんだ
キトゥンズ志望じゃ無いから構うなよ？

俺は岡じゃないよ
弟子の方が大事だからな

親戚だっけ？

ああ　従兄弟の娘だ　今はフランス在住だから親代わりみたいはもんだからな
おまえも　手を出すなよ？

馬鹿言うな　ウチの子だけで手一杯だよ

織田は笑っただけだった

梓が美和と相談しながらバックの光を調整している
綺麗な筋肉のついたエミリは自作の皮アーマーの具合を試すように大きな両刃剣を両手で握って振り回した
なかなか　様になっている

理音が何か呟いたみたいで　怜子が顔を近づけて　理音は何か言ったようだ

さり気なく理音とは逆から怜子の側に寄って

何だって？　と　囁いた

うん　理音ちゃん　良いなあって
あんな風に叩き切って壊してやりたいって

ほお　うん　ちょっと待ってて

俺は織田に近づいて

今日はエミリのアーマーだけ持って来たのか？
武器も？

いや　後でバリエーションつけるのに師匠自慢の逸品をニ領　積んで来てるぞ
武具はハンマー　ソード何でも来いだ

なるほど

梓とエミリ　美和と手早く相談して　怜子を手招きして理音を連れて来て貰う

理音は本人が承諾の意思を示すか　示さないかのうちに美和と梓にドレスルームに連れ込まれて　あっという間にバーバリアンになって出て来た

エミリは　目を見開いた

凄〜い！羨ましい！
理音さん身長あるから師匠のアーマー　引立つ！
ちょっとハンマー振って下さい
あ　あ　両手で握った方が　そうそう　思い切って振って！

理音を最初　なんでこんな事　と言うような表情だったけどハンマーを持ち上げ
グルッと振り回すと表情が変わり頭上高くグルグルと振り回し　叫びを上げて振り下ろした

あ　あ　すみません…

…理音さん　私と合わせコス　やりましょう！是非！

エミリも両手で剣を振り回し　大声を出した

理音も紅潮した顔でハンマーを取り上げた
背筋を伸ばしモデル並みのボリュームのある身体は美しいバーバリアンだった

梓も美和もさすがで　素早くセッティングしてシャッターを切り続けていた
俺はこっそりムービーを撮った

別れ際　エミリにお礼と詫びを言って　織田にアーマー整備してウチに請求書と一緒に送るように言った

事務所宛てか？

いや　あの子はキトゥンズじゃないから俺個人宛てに頼む

じゃ　おまけにハンマー付けとくよ
いいもん見せて貰った礼だ

社長　後であの人の連絡先　教えて下さいよ？

ああ　またな

で　理音は何て言ってた？　と　怜子に聞いた
理音を駅に送った帰りだ

楽しかったって

そりゃ　良かった
また　誘って遊びに来たいなら連れて来な
織田からアーマー買い取ったから　プレゼントするよ
帰り　また　ちょっと猫背に戻っていたしな

はい！
怜子は嬉しそうに笑った