ちょっとHぃショートショート

双樹\u3000一

影使い 転換2

困ったよなぁ と俺は頭を抱えた
各ホームページのリニューアルは好評で リンクを繋いである関係でウチへの仕事依頼も増えた
また 岡の所にも仕事が入り 写真集の件で膨れていた奴が笑顔になり 次に疲れた顔で愚痴を言いに来たので追い返した
この辺りまでは良かったんだがリンク先にもモデルの情報に関する問い合わせが入り始め それをウチに回し始めたものだから 肝心の調査依頼や問い合わせのメールを確認するのに膨大な手間が掛かり始めた

困ったよなぁ
本末転倒だ どうするか 問い合わせの一本化 あとはモデルたちの意思の確認 
後は時間稼ぎの言い訳 かぁ

モデルの素性の件は今回でっち上げる事務所に押し付けよう  ウチやリンク先は知らない で押し通す
で モデル事務所だよなぁ 押し付けるにしても誰かが代表にならないと言い訳も出来ないし
まずは言い訳か
ウチのオーダーでモデル事務所は業界ズレていない素人を選抜 都合で事務所と同じグループ名を付けた
だから 素性の公表は無い とするか
しかし 気の早いメディアからの問い合わせも放置中だしな
取り敢えず岡にキトゥンズテイルスのホームページを突貫で作らせて 問い合わせメールは集約させて放置した
画面トップにメンバー体調不良につき活動停止中のアナウンスとお詫び 過去画像集をそれらしく配置して 物販としてレザークラフト屋と仮面屋のリンクを貼った

だいたい モデル活動が出来るメンバーが居ないんだから仕方ない
怜子たちは看護師だし 誠はともかく梓はウチと専門学校の掛け持ちだ
誠だって抜けられると 既に俺では事務仕事を回せない

と 思っていると梓が簿記二級資格を取得した
時間が出来たと思うやキトゥンズテイルスのメーラーに溜め込んでいた問い合わせメールに対して一括に定例文ではあるが俺がチェックした文章を何種類か自動送信するプログラムをメーラーに組み込んで対応させて 実際に返答の要る分だけ 俺がチェックできるように仕上げた

たまげた! と俺はパソコンの前でメーラーを見て言った

誠さんから聞いてますよ ご褒美に2人一緒に可愛がってくれるって と言って誠みたいにニカッて笑う梓に 俺は 分かった分かった と上の空で返したみたいだ

一瞬 妙な間が空いたな?と思ったら梓が執務室のドアから事務所の誠に向かって 誠さん!ご主人様 ご褒美ホントにくれるって!と叫んだ後だった

ホントですか!と誠まで飛び込んで来たので 後にも引けず 期待してろ と安請け合いをしてしまった

まいったなあ と梓の均整のとれた身体を抱きながら思った
誠と梓 「2人一緒に可愛がる」と言うのを怜子と遥の事を想定していたのが間違いだった
まず 美希の所の例のウェアの着用は拒否 前回 ソフト調教ごっこで散々 快感を高められ悶えさせられたのが楽しめなかったらしい
ノーマルに可愛がって欲しい と言うのが2点目
絶対 誠さんと一緒にと言うのが3点目
まあ バージンだし最初の性行為が美希の所の調教だった事を思えば頷ける

だが だが 想定を上回る梓の飽くなき快感に対する欲望だった
誠と2人がかりで一度 昇天させた後 誠とはアヌスで繋がって体位を色々試し満足させた頃に梓が復活した
真正バージンの梓は到達点を求めて骨のないような柔らかさで俺に纏わりついた
今はヴァギナとアヌスに親指と人差し指を差し込まれ乳首を吸われて喘ぎ震えている
梓の願望が満たされて眠ったのは俺の腹の上で俺から離れないように手足でしがみついた形でだった
誠が俺の横で寝そべりながら お疲れ様と言って ニカッと笑った

W'photostudioの若狭から正式に梓にモデルの打診があった
梓は俺と一緒なら とオッケーを出した
俺は知らないウチにセットで売られていた

コンセプトは 解放
俺は拘束の象徴

白いショートボブのウィッグに仮面 首肩鎖骨に至るまで白く塗られた身体は胸元から白いボンデージで巻かれて仰向ちた口に赤い薔薇の長い茎を咥えさせるところだった

次のカットは 膝を抱えた身体をテープで巻かれ 青向いた口に茎を短めにカットされた薔薇を咥え まるで先程の薔薇を花瓶のように挿されたように見える

横たえられた梓は枯れた薔薇を胸元に挿され 白塗りの顔に半ば開いた赤い口紅の唇

横顔のアップでは黒革の手袋の手が顎を掴み 赤い唇を開けさせている上向きの顔

赤い粘性が高い塗料の水溜まりを踏み抜いている梓の足跡

梓の後ろ姿の白い裸身に黒い俺の半身

肩甲骨からお尻のアップ 片手に仮面を提げているラスト

若狭のコンセプトと技術 梓の存在感の成した傑作だった

撮影終了の声で白塗りの裸のまま 黒スーツ黒革手袋の俺に梓が抱きついたラストショットがあるのは秘密だ

若狭の個人展で発表された作品の内 梓のモデルとなった作品は衆目を集め話題となりまたもやキトゥンズテイルスに問い合わせメールが集中した
取材は皆 拒否
モデル依頼はいわゆるグラビアものは全て拒否
作品モデルは マネージメントスタッフが不在の今は 受ける訳にはいかない
正直にキトゥンズテイルスが異業種交流プロジェクトで立ち上げた素人の集団である事 モデルも素人で今のところ職業としては考えていない事 別に仕事に就いている為 詮索は無用にして欲しい事などを公開して取材攻勢を止めて貰った
メディア的には旬に扱いたいのとスポンサーとの兼ね合いで潮が引くように静かになった

困ったよなあ とボヤいていると梓が珈琲を持って来てくれた

どうしたんですか?

梓を見上げる 撮影中は別人にも見えたが今は普段の梓だな

ん〜 モデル依頼がなぁ
若狭の知り合いや真面目な作品制作に君の指名がまだまだ多いんだ
被写体としての梓の評価だけに 無碍に断り辛いんだが モデル事務所じゃないからマネジメントがなぁ と言っていると 誠が

わたしがやりましょうか?マネージャー
と 顔を出した

あのな おまえにも指名 入ってるんだぞ?

え?わたしも?

そ!ウェディングドレスの4人って人気があるんだ
今は若狭の個人展のせいで梓に指名が偏ってるけど 断った奴からまたボチボチ メールが来てるんだ

はあ まいった

でも 楽しかったあ この間の撮影

あ ご主人様と一緒の奴?どうだったの?

身体 首から下 座った姿勢でテープでぐるぐる巻きに固められて 動けないのをご主人様に触られて…

あ いいなあ

こら 正確に言え!顎を上向けて支えただけだろうが!

なんか 誠さんの言う事 分かったかも?

でしょ?でしょ?なんか 扉 開いた?

開いたかも?

爆笑している2人を追い出して 冷めてしまった珈琲のお代わりを頼んだ

まあ 素人のする事だ 本人たちが楽しんでいるうちはたまにモデル稼業もいいだろう
そのうち 怜子と遥にも被写体の仕事を取ってくるか と考えた

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