ちょっとHぃショートショート

双樹\u3000一

仮称梓3 影使いから

半年と少しで簿記3級を取得し 退社後専門学校へ通い始めた梓はウチの業務に馴染んで たまに誠と一緒にウチにご飯を食べに来るようにもなった
女4人は賑やかで姦しい
あれからペットにしろ とも言い出さずいい関係で仕事もプライベートも付き合っていた
突然 嵐が来た
梓の両親が離婚に同意したらしく いまさら梓の不在に気づいたらしい
唯一の接点である梓のスマホを辿り事務所へ到来した梓の親たちが口々に喚くのを黙って聞いてやった
娘をたぶらかした
若い娘をどうした 云々
世間的な評判が 云々
裁判に訴えて 云々
要は黙ってやるから金を積め と言う事らしい
赤くなったり青くなったりする梓を押さえて
会社借り上げの住宅の不動産資料と 給与明細の住宅補助 光熱費の会社負担 簿記の通信教育費用の会社負担と梓の簿記3級資格証明 簿記専門学校の身分証 改名手続きの為の裁判資料のファイルに通称使用の実績証明の証拠のファイルを積み上げ
横に目の前の大人2組分の浮気調査報告書を拡げて投げ出し 熱に浮かされたように繰り広げられている痴態の写真をばら撒いた

黙り込んで目を飛び出す程 見開いているアホぅ2組に 大声で怒鳴りつけた

出て行け!畜生ども!
2度と現れるな!
次に来るなら梓の未成年時に遡って保護責任者遺棄と虐待の資料を以って仮称梓の名前で裁判に訴える!社会的に息が出来なくなるのがどっちか 体験して貰うぞ!
分かったら 出て行け!
と 追い返して以来 接触は無い
梓の為に馬鹿どもの動静は掴んでいたし 金を強請ろうと言う企みは笑える程 元夫婦は同じだった
その後の動静もある程度は追っているから悪さをするようなら嵌めてスジ者に渡す事だって考えている
荒ぶる親猫の心意気だった

すみませんでした
ありがとうございました
と 下げた頭を梓はなかなか上げなかった
俺は頭をポンポンして資料をキャビネットに戻しながら

珈琲 美味いの淹れてくれ と 言った

梓はそれから考えがちになり なんと無く気がつくと俺と目が合うようになった
事務所での依頼者との対応 専門学校での色々な世代との交流 最初はカルチャーショックにも似た自分の常識の無さに衝撃を受けていたが次第に慣れて同世代の知り合いも出来たようで安心していた
夏が来て 簿記2級資格試験は11月の受験を目指してまだ余裕がある
お揃いのタンクトップとジーパンに透け感のある上着を羽織って誠と梓は執務室のカウチでお茶をしていた
怜子はケースの中で素顔を晒して座っている
この頃は慣れて非番の調教も再開したが緊張感も背徳感も薄いあっけからんとした明るい雰囲気になってしまった
ケースの怜子から空になったカップを受け取った誠に梓は

まこさんも休みの日は入ってるの? と聞いた

うん ね?ご主人様

と 俺にパス

ああ この頃は減ったけどな おまえが外に出たがるから

だってデートもしたいじゃ無いですかあ

…いいなあ わたしもダメですか

ん?と3人の目が梓に集まった

それは俺とデートをしたい と言う理解でいいのか?

まこさんと同じはダメですか?

それはプレイを含めてって事だよな?

梓がコクッと頷くのを見て誠に 聞いた

おまえ 梓から色々聞いてたんだろ?

はいまぁ この間ご主人様が華々しく梓の親を撃退してから なんかキュンキュンしてたみたいで いいないいな 言ってました

おまえそりゃ 俺は縄張り荒らしに子猫攫いに来た敵を撃退する親猫の心意気だったからなあ
梓 君はでもノーマルだよな?
 
試してみないと分からないです そんなの

いやぁ その言葉が出る時点で被虐趣味じゃ無いんだよなあ

でも ご….社長 奥さんの前で浮気の相談してていいんですか

俺は怜子に出てきて座るように合図した

聞いてたか 怜子

はい まこちゃんからもちょくちょく聞いてましたし 梓ちゃん わたしはご主人様に助けて貰ってまこちゃんのお姉さんの遥さんも同じ境遇から助けられてご主人様と結婚する時 ふたりでお嫁さんにして貰ったの

うん?そうなのか?

あなたは黙って
まこちゃんが来た時もわたし達3人で共有したの だからまこちゃんはわたし達3人のもの
梓ちゃん あなたはわたし達と結婚する気はありますか

梓は頷いた

なんだかカルト集団みたいになって来たな
と言ったら誠が笑って梓を俺の膝に押し出して自分は怜子に口付けた
梓は3人と結婚すると言う考えをロマンティックと捉えたのか納得した
休みの日に執務室で誠が着替え支度するのを手伝って俺がケースに鍵を締めた後 誠を放置して 1時間ほどカフェでごく普通のデートした 
ゲストルームでお泊りして遥同伴で初めての調教体験をした
と 言っても美希の最終プロトタイプのウェアを着せ 両手をハンドカフで拘束しベッドの骨組みのパイプにワイヤーで万歳の格好で固定しただけ
後はウェアで敏感になった性感を処女の感性の許容出来る範囲で高め焦らし悶えさせただけだ
何処へ連れて行かれるか分からない快感の昂まりに翻弄されて梓は意識を薄れさせた
梓が気づいた後 手の拘束はそのままに横で俺と遥は愛し合った ごくノーマルなセックスで 梓の快感の辿り着く先を見せる為に
遥が果てた後 梓はおずおずと脚を開いたが俺が秘所を撫でると最初より遥かに早く達してしまい気を失った

そんなこんなで梓はウチの事務所にいる
まだバージンのまま ピアスもして居ないが ウチの子だ
ソフトSMごっこが精々のノーマルなバージンだが本人はプライベートでは誠と同じように ご主人様ご主人様と懐いてくる
怜子や遥と違い 異常な体験のトラウマも無く誠と違い拗らせた被虐趣味も無い
何にも無かった思春期の穴埋めをまた違った意味での異常な体験で埋めているだけだけれど本人は気づいていない
俺たちはそれを知っているから本人には分からないようにそれとなく守っている
俺たちの巣に彷徨い込んだ取り換え児のようなこの娘がいずれ巣立つのを見送る為に

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