ちょっとHぃショートショート

双樹\u3000一

メタモルフォーゼ3 影使い

1度目の碧の伝授を済ませて飛鳥は奥義の準備にかかる頃合いで 漸く郷のホスピスの付属施設も職員が揃い 基幹メンバーが穴埋めに走り回る事も無くなった
当初の性被害たちも同時募集したシングルマザーや技能を持ちながら職場で弾かれて行き場を求めていた者たちが一族の老若男女に混じって馴染んでいる
郷から戻って事務所に入るとかなめが

あ お帰りなさい
社長宛にお客様です
お綺麗な方でしたよ

と それで俺の勤労意欲が上がるかのように付け足した
誠がファイルを手にすっと俺に近寄ると

あの 多分 お姉さんです

と囁いて離れた
俺は片眉を上げて執務室に入った
正しく 姉貴だった
誠が声を潜めたのは姉貴の外見が二十歳そこそこだったからだ

あら 久しぶり陽司

と まるでこの間 会ったかのような挨拶をする

ホントに久しぶりだな
家を出て以来だ

あら アンタの結婚式で会ったじゃない

影 とな

それにしてもみっともない格好してるのね?
何とかならないの?

歳なりの外見だよ
仕事してるんだから仕方ないじゃないか!
で 今日は何?

お茶くらい出してよ

誠!珈琲!3つだ おまえも来い

誠が秘書然と珈琲を並べ俺の横に立つのを座らせて

さあ 結婚式で会ってて覚えてると思うが 誠だ
…3番目の妻だ

あ〜 覚えてる
だいぶ 大人になったね?

え?外見は変わらないと思いますけど?

そう思ってるのは本人だけってね
陽司?

そうだな
成長してる 老けてないだけだ

へへ
 
と 笑って台無しだ

ごめんね 誠さん
愚弟の変態趣味に巻き込んだ挙句 いわくつきの一族にまで取り込まれちゃって

そんな事より今回は何なんだ?
姉貴が降りて来るって事は?

見返り山の使いっ走りよ 勿論

姉貴の言う“使いっ走り“はウチの分家の立ち位置に由来する
元々 大陸の一族が流れ流れて日本の細かい入江の多い海岸から険峻な山塊を背景に持つ土地に根付いて能力の研鑽をその山中で努め やがて修験道の形を借りて周囲に修験者の聖地のように見せて修験の道も極めた
麓の里山の山頂に本家を置き周囲に一族の邑を作ったが中長距離に分家を分けて安全を図った
所謂 分家四家の成り立ちである
ただ筆頭四家の四席であった我が家は本家のそばに置かれいざと言う時の盾 影武者の役割に置かれた訳だ
それだけに姉貴の言う使いっ走りと言うのは本家の名代 全権大使と言う事でもある
 
親父やお袋でなく姉貴と言うのがきな臭いな

あんたのせいよ
枝の分家とは言え四家の枝なんだし あんたのせい癖を知ってる身内の者にして見たらあんたがハグレになるんじゃないかって
そうなった時の始末をどうするかまで 四家で会合が持たれたんだから

物騒だな
 
周りから見たら能力を使って女を囲い込んで好き勝手やってるように見えるんだから仕方無いじゃない
特に世間的にそう見えるってのが問題なのよ

姉貴は誠を見透かすような目で暫く見ていたが

使ってはないのね

と言った

当たり前だ
それで?なんかペナルティか?

何もやってないのにペナルティなんてないわよ
しかもあんた百年から前にロストしていた支族を見つけて本家に戻した功績まであるのに

じゃあ ご褒美でももらえるのか?
そっちの支族からはもう嫁さん1人 贈られているんだが?

らしいわね
何?本家からも年頃の娘が欲しいの?

とんでもない!もうすでに9人もいるんだ
持て余すわ!

9人?
聞いてたより2人 増えてるみたいなのは気のせい?

正確には3人 増えて1人減ったのが正解だ

は〜 弟よ 
詳しく話せ

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