メタモルフォーゼ　影使い

これからは私も　ご主人様　って呼べばいいのかしら？

と　早朝　高速をはしる車の中で先輩に聞いた

後部座席では誠さんと梓さんが寝ている

なんでもいいよ
怜子と遥には言わせたんだけど　後は強制してないし　最近では俺に願い事をする為のワード扱いだからな

ふふふ

施設の食堂に無理を言って賄いを回して貰い朝から温泉に浸かって眠気が来る

ついたぞ　と声が掛かったら会社の前だった

車　戻して来るから珈琲　四つな

と　先輩は車を出した

7時30分

応接セットでモーニング珈琲を頂きながら目を上げて先輩を見る

まあ　碧も秘密を共有する家族だ
この事務所ではかなめ以外　家族と一族だからそのつもりで

そうなの？

碧の事務所の相澤さん　相澤理恵さんも一族だから

あ　あの先輩のお嫁さんになり損ねた？

誠さんと梓さんが笑う

…あのオヤジは　なあ
まあ　忍びの技も修験の技も達者だし敵わないがなぁ
あ　時々　あのオヤジたち　覗きに来てるからな

え？

と　誠さんたち

あ　言って無かったからな
あそこを視察しに行った時からだぞ
余所者を警戒するのは当然だ

…まだ　私たち　余所者なんですか？

いや　今は単に覗きだな

誠さん達は苦笑いをし合っている
その程度の問題なのか…

まあ　あんまり大勢で来るようなら由美に叱らせる
今のところ　長老たちくらいだからな

え〜　おじいちゃん達？

誠さんがさすがに声を出す

そうさ　長老の平均年齢が94だからな
元気なもんさ

そんなに高齢者でしたっけ？

ああ　まだ数十年は現役だよ
あ　碧　また例の伝授の予定は連絡する
飛鳥のがひと段落してからになるが　な

分かりました

赤ちゃんが持てるかも　と言う喜びが修太の居ない穴を埋めて少し後ろめたい

あれ？そう言えば先輩って歳の割には若いけど二十歳代には見えませんよね？

仕事であまり若いとやりにくいんだ
時間くれれば大学時代の姿には戻せるけどカロリー使うからな

あ　私が痩せて締まって来たのって？

まだ伝授に至らないけど前段階ではあるんだが気持ちいいもカロリーは使うだろ？

おはようございます

と　かなめさんの声

あ　いいなあ！

と　執務室を覗く頃には由美さん始め　調査部の皆さんも出社されたので私も仕事に下のフロアに降りた
現金なもので寂しくて堪らなかった気持ちが軽くなって明日を楽しみに生きていけるようになった
木曜日の夕方　希子ちゃんが

碧さん　社長がおいでですよ！

と執務室をノックした

あ　先輩？
仕事ですか？

いや　相澤さんの事を覗くついでに夕飯　誘おうと思ってな

あ〜　いいな

希子はまた今度な？
彼氏と一緒に行こうか？

いいんですか？ありがとうございます
期待して待ってます

ああ
相澤さん　慣れた？

はい　ありがとうございます
…由美から色々　聞いてます

ははは　碌な話じゃないだろ？

聞く分には楽しいです

他人事だからな
あ〜　確かに由美の友達だ

ふふふ

お待たせ
行けますよ　希子ちゃんごめん
あと　頼みます

はい　社長　待ってますからね？

了解　じゃ行くか