サマーバケーション11 影使い

"ご主人様！誰が誠さん　撮ってるんですか？ひかり？若狭さん？美和さん？"

いや　かなめだよ
停電が怖くてウチに避難して来たのはいいんだが　ポーチ間違えてカメラ持って来たんでな

"ズルい！台風の街をバックにヌードなんて！"

いやいや　成り行きだよ
狙って撮れるもんじゃ無いし

"も〜　私も泊めて貰うんだったぁ！"

無茶を言うなよ
…台風が過ぎたら来てもいいけど今は危険だから来ちゃ駄目だぞ？

"もう！"

電話が切れた様子にかなめがオドオドと俺に聞く

え？梓さん　怒って…？

誠はニヤッと笑っている

あ〜　いや単なるジェラシーだ
ほっとけば自分の作品のエネルギーに変えるさ
な？誠

なんだか私にとばっちりが来そうな勢いでしたけどねぇ〜

ソファーに胡座をかいて座り込んでいる誠は

でも　外も随分ひどい事になって来てますし　お昼済ませません？
私　お腹空きました

そうだな
じゃ　支度するか
誠　手伝ってくれ

はぁい

まあ　半分くらいは出来合いを温めるだけだったがご飯も食べられて満足だった

かなめは自分が撮った写真を見返している
俺と誠は慣れたものでソファーで寛いでいる
早々にブラインドを下ろしてカーテンも引いてあるから却って室内は明るい
テレビは音量を絞ってニュースチャンネルだ
明日には台風の影響は弱まって普通の雨らしい

ああ　誠
明日には怜子たち　帰って来れると言って来たぞ

はぁ〜　やっとですか
病院って大変ですよね

まぁな　2人とも入院病床があるから休みが無いからなぁ

ウチも夏休みなのに台風直撃でついてませんね

と　かなめ

まあ　誠はモデル要員だったから変わらないよな

梓は撮影に集中すると結構　酷いですからね
海の中で何　やらされるか

日焼けと脱水は心配　したな

あ〜　撮影合宿でしたっけ？

そう　離島貸切で…
今頃　台風でなければ大変だったろうなぁ

誠は付き合いの長い分　色々想定出来るので震えるフリをする

まあ　仕上がりはいつも　想像以上に素敵だから許せちゃうんだけど

誠　そんなハードな撮影に付き合った経験　あったか？

と　突っ込んでやる

私はまだ…
でも　かずはママの撮影とか　過酷だったじゃないですか

まあ　確かに

かなめも写真談義にはノって来たのでお陰で台風の不穏な雰囲気は気にせずに過ごせた