サマーバケーション2 影使い

ご主人様　レトルトと一緒に買って来たそれ　なんですか？

これか？商品名はヒートパックだ
レトルト食品とか温めたい飲み物とかを入れてあっためる燃料要らずの非常用パックだな
停電しても温かいご飯が食べられる訳だ

なんかレトルト食品も色々買ってましたね？

まあ　これは普段から食べられるからな
遅くなったけど昼飯にしようか

はぁい

誠も手伝って持ち帰りの食べ物を並べた
珈琲を飲む頃には窓を大粒の雨が叩き始めた

わぁ　ギリギリでしたね？

ああ　怜子から大丈夫か　とメッセージが入ったよ

俺は怜子と遥と理音に気をつけるようにと　メッセージを作って送った

誠は早送りのように動く雨雲を見つめていた
部屋は光が差さず薄暗くなっている

誠　ブラインド下ろしてカーテン　引くぞ？

…あ　はい

白昼色の灯りが部屋に満ちる
ついでにアップテンポのラテンジャズを流す

はぁ…凄いエネルギーですねぇ

誠はソファーの背に乗り出して窓を見ていた体勢から身体を戻してボソッと呟いた

台風か？

う…ん　台風も含めた地球のエネルギー　…かな？

あ〜　凄い勢いで空が動いてたよな？

はい　見てたらどっちが動いてるのか分からなくなりました

ドーン　と言うほどの風の圧力が窓全体を震わせている

コレはまだ前哨戦なんだけどな
直撃だとヤバい

ですよね

誠は物憂げにソファーに寝転がる
計画していた夏休みに合わせて昨日は事務所を閉めて梓やかなめと別れてそのまま　ウチに泊まりに来ている
梓は撮影したデータの整理　かなめも画像の編集ソフトの勉強をするらしい
誠はそのままスマホを弄り始めたので俺もパッドの資料を読んで過ごした
そのうち誠が身体を起こしてキッチンへ行き　珈琲を2杯　淹れて来て俺の前に一つ置き　またスマホを見ながら飲んでいる
ラフな部屋着のパイル織りの半袖シャツとショートパンツを着た誠
さすがにマンション自体が揺れる事は無いが窓からの圧は感じる
パッドで気象図を確認すると台風の渦の影響をまともに受ける位置関係で進路もシャレにならない

こりゃあ…

どうしたんですか？

いや　早めに風呂に入った方が良さそうだな

そんな酷いんですか？

ヘッドピンの右側から抉るように入って来てるよ

わあ！