かずは11

ご主人様は会社で出すと言ったけれど今回の写真集は自費出版にして最大限　思い通りに作った
大判の判型
紙質
ハードカバーで化粧箱入り
A4 の美麗プリントも内扉に挟んだ
限定500部のうち　100部はキトゥンズ関係者に贈って後の400部も噂が回って写真展の告知前には大半が売れてしまった
撮影機材費として貯めていた貯金を吐き出して作った写真集だったけれど　出版社から出版の話が来た
キトゥンズの顧問弁護士事務所の人に代理人で入って貰って話を進めて貰った
写真展の準備の見通しが立ったところだったのにまた写真集の編集作業が始まってしまった
自費出版の写真集と同じタイトル　"かずは"  
織田さんには悪いけど　このストーリーは女が恋の為に自分を捨て去り　最後には猫になる　と言う　かずはさんの昔の恋の話を下敷きに作品にしたものだからだ
季節が夏ならもっとやりようがあっただろうけど　やれる事は全部やった
知らないでお腹の新しい命まで一緒に撮れた
出版社版は自費出版版では選べなかった写真を出来るだけ入れる為に紙質を薄くした
カット数を増やしてかずはさんの恋をくっきりとさせた
ご主人様は出版社版のセレクトを見て　真剣な目で最後まで通して見て　頷いてファイルをわたしに戻して　ニヤッと笑った
会社がひけてからカフェかずはに出掛けて行った
席に座って飲み物をメイドさんに頼んでかずはママを呼んで貰った

いらっしゃい　梓さん

こんばんは　忙しい時間にごめんなさい

いいわよ　でも誠さんに暇な時は手伝って欲しいって言っておいて

はい　分かりました
今日は出版社から出す分の写真を確認して貰いに来ました
置いて行きますからゆっくり見ておいて下さい

あら　ありがとう
前の写真集も双葉が綺麗　綺麗！って言ってプリンセス２人の写真額の横にプリントのわたしのヌード並べて飾ってるのよ
ママと同じ猫の面が欲しいの　って言って
困るわぁ

と　わたし達は笑い合った

わたしの恋がこんなに綺麗にして撮って貰えるなんて幸せだわ
旦那も出来たし　旦那もわたしの恋の思い出に理解があるし

いいですね

まあ　あの人も恋のきっかけに引っかかってるし　恋の結末にも引っかかってるから　まるで知らない恋でも無い訳だしね

それはそれで複雑だけど　織田さんの恋のベクトルは同じ向きだったんですから他のカップルとは違う訳ですからね

それよ　それ
まあ　そう言うと振られた同士とも言えるし…

成就した同士とも言える　でしょ？

あら　かなめさんとは違って大人な意見ね

大人　ですから

笑う２人

わたしのスマホに通知があった
見ると　"ボス"  とある

ご主人様です

…はい　あ　そうです　カフェかずはです
…いえ　済んでます　ママとお話ししてただけです
え？隣りですか？はい、はい、いいえ
じゃあ　後で

柳くん　何ですって？

用事がすんだら　隣りのラウンジに居るからおいで、って

ははあ　じゃあ　多分　旦那も居るわ
行ってらっしゃい
宜しく言っておいてね

マスターに会釈すると席を指差してくれたので　そっちへ行くと　ご主人様が織田さん村井さん斉木さんと座って居た

あ　驚いた

どうした？

と　ご主人様が聞くので

織田さん　奥様が宜しく　との事です

なるほど
バレてる訳か

と　織田さんが苦笑いした

まあ　座って　梓
取り敢えず　写真展の成功を祈る会　兼　写真集の成功を祝う会　と　樋口　いや旧姓樋口の恋の関係者の報告会　だな

長いよ　柳

と　村井さんが突っ込んだ

今日は村井さんまで巻き込まれてるんですか？

と　村井さんに聞く

ああ　まるで知らない訳じゃないし　誰の味方でも敵でもないし　ね

と　村井さんにしては意地の悪い顔で笑った

ホントにおまえは維持が悪いな

と　ご主人様が言う

わたしは関係ないだろうが！

と　斉木さんが誰に言うともなく言い放ち　皆んなが苦笑いするのと　わたさはが　え？　っと言う顔をするのを見て斉木さんも

え？

と言う顔になった