かずは9 影使い

寝過ごしたかと思ったけれどまだ暗い
でも　7時前だった
データは手応えのあるものが多くて興奮した
今日の撮影は別口だ

おはようございます

と　着替えて居間へ出て行く
誠さんはまだだったけど　出来過ぎ紳士のご主人様は朝食の用意をしていた

昨夜は遅かったみたいだな

と　ご主人様

ええ　かずはさんのおかげでいい作品が出来そうですよ

楽しみだわ

たのしみ！

と　双葉ちゃんも嬉しそうだ

皆んなが始めたくらいに誠さんが着乱れた浴衣で起きて来てご主人様に前を直され　双葉ちゃんに

おじさん　ママみたい

と言われて凹んでいた

皆んなで朝食の片付けをしてかずはさんに

じゃ　お願いします

と言って仏間に来て貰い　誠さんが双葉ちゃんを　預かってくれた

仏間の鴨居に掛かっている純白のドレスを見てかずはさんは息を呑む

これって　織田くん？

はい　預かって来ました
ご主人様は知ってたみたいですね
慣れないドレスは大変だったようだって言ってました
ご主人様からだったら？どうしました？

そんな悪趣味なの　思い出と一緒に火をつけてこの家ごと　燃やしちゃうわよ

凄い！おんなじ事　言ってる　ご主人様と

でしょ？さすがだわ

じゃ　メイクして行きますね？

メイクして　ミニ丈の肩出しウェディングドレスの上から透けた白い長袖　ロングスカートを羽織って肌は見えているのにシックな装いとなった
襖の前に人形の台座のような艶のある長板を敷いてハイヒールを履いて貰っていると双葉ちゃんが同じデザインの白いドレスを着て入って来た

ママ！綺麗！プリンセスみたい！

まあ　双葉もプリンセスね！
…コレは？

織田さんにご主人様が何か足りないだろ！ってやっとドレス仕上げてヨレヨレな織田さんのお尻を叩いたそうです

あははは
らしい！らしいわ！

と言うかずはさんの目は光っていた

プリンセス２人の写真は可愛かった
和室の襖の前のプリンセス
大正浪漫とは少し違うけれど　不思議な落ち着きがあった
着物に袴編み上げブーツは使いどころが無くてお蔵だったけれど　撮れるならカフェかずはの店で撮りたい

最後にかずはさんに小さい方の猫の面をそっと見せて

コレは村井さんからなんですけど…
どうしましょうね？

あらあ　村井くん…ちょっと　ねぇ…

悪趣味…ですよねぇ

あはは　彼は猫のエピソード　知らなかったのね
２つとも置いて行くわ　この家に

わかりました！

2人は観光タクシーが来て乗り込み　ご主人様がかずはさんに封筒を渡して

結婚祝いだから２人で思う様　使ってくれれば良いからな
ゆっくり楽しんで来てくれ
じゃあ　いってらっしゃい双葉

いってきます　おじさん