ティータイム9 影使い

見た目地味で背も低いわたしは大学入学でイメージを一新しようと思ったけどそんなに上手くは行かなくて　一回生　二回生とそれぞれ　お付き合いした人も出来たけど長続きしなかった
何故　すぐにセックスを求めるのだろう　
初めての人とは興味もあったから人間性とかあまり考えずに色々　試して一緒に過ごしたけど　俺専用の夜用の人形　みたいな扱いが気に障って人前で思い切り平手打ちをして別れた
大学生なら少しは大人か　と期待したけど透けて見える軽薄さに長続きせずに三回生の時は同性の友達と過ごす方が良かった
中でも斉木は変わっていて自分の魂は男なんだけど　たまたま女の身体に今生は生まれついたし　なかなか見た目もいい感じだから女を楽しむ！　と公言していて　あまり仲の良く無い同性からはやっかみ半分　陰口を叩かれていた
レズビアンと言う訳でもなく　一緒に居ても気が置けないので仲良くしていた

偶にキャンパスで好みの男性を言い合って　あの子が可愛いだのあの人　格好いいだの　言っている中で　一般教養で同じ講座の柳くんや織田くんが居た

彼女　居るんだろうなぁ　あの人たち…

何？柳？

うん　柳くん

…内緒だよ？樋口

と言って斉木が教えてくれたのは　びっくりするような事だった
柳くんの入っている日本サブカルチャー研究会と言うのは主にアンダーグラウンドな日本の文化や演劇の鑑賞　資料収集　研究と言う事で　古くはあぶな絵や春画の研究で有名な倶楽部だったらしいけれど　柳くんの代は緊縛の研究と実践と称して女の子をホントに縛っているらしい

と言うか　わたし　本人に確認して体験して来たんだ

と　斉木がシレッと告白する

え？何　言ってるの？

うん　色々　聞いて柳の性癖も聞いて　で　セックスとかにはならないし覚書も交わすって内容も見せて貰って柳と体験前に交わした契約書がコレ

と　斉木の字で書かれた覚書を見せて貰った

柳とコレコレのプレイを自分の意思で行います　と言う内容と　セックスはしません　と言う追記
後は斉木の母印が3個

え？　ホントにコレ　やったの？

うん　やった
やられた　気持ち良かった

うわ　止めて
生々しい…

と言うか　樋口さ
縛られてるわたしと先週　お茶しているからね？此処で

何　それ？
縛られて？

そう　下着無しで縛られたまま　服とスカート履いてあんたとお茶してからまた柳の所　戻ったんだ　わたし

斉木が裏返したポラロイドをわたしに渡して来たから掌の中でそっと見ると全裸の斉木の身体が首から太腿まで縄で綺麗に編まれて縛られた写真だった
マジマジ　目を離せずに居ると斉木が笑った

あんたも好きだね
やって貰う？柳に
サークルで　って言うより柳個人でやってるから他人には内緒だから

一度　話は聞いてみたい

だって　柳
話してやってくれる？

え？　なんで　柳くん？

いや　斉木が俺に手を振って　こっち来いってするからさ
何？俺に話しって？

斉木がさっきのポラロイドをヒラヒラ振って見せた

あ〜　で？樋口さん　だよね？興味がある訳？

…興味　って言うか…

あ　この子が興味あるのは柳個人ね
男はすぐ女見るとセックスセックス言う奴ばっかで　この子ちょっと男に不信感持ってるんだ

え？俺だと余計　悪い印象持たないか？
変態だぞ？

でも　セックスは嫌　って言ったらセックスはしないでしょ？

嫌って言ったら誰でもやらなくないか？

そうじゃないからの　不信感じゃない　
柳　馬鹿だね？

柳くんには悪いけど笑ってしまった

や　樋口さんは笑うと可愛い目になるね
やっぱり男性不信の表情か

と　柳くんに可愛い　と言われて赤くなる
柳くんになら身体触られてもいいかも知れない

話しだけでも聞かせてくれる？

と　言うと地下カフェにしようか　と３人で移動した