飾り窓24 影使い

バスに乗り換え10分ほどで美術館下のバス停だ
上り坂を5分ほど歩けば敷地内の公園に入る
美術館の入り口を目指して歩きながら途中のベンチを指差して

あのベンチに座って誠と雑談してたんだ

誠さんは？トランク？

そう　スマホのブルーツゥースのマイク　使ってな
そしたらそこへ由香が来て　初期のキトゥンズの仕事に繋がったんだ

その時は由香さんは？

まだお堅い潔癖症の学芸員だよ
…可哀想に
ブレーキの壊れた古いトラックみたいな性格だったからな
まともに美希に突っ込んで返り討ちにあったんだ

あまり　詳しくは聞かれたくない案件なんですね？

うん　最初の方は俺も絡んでるから言いたくないな

そうなんですか？

ああ　今でもあの時　会わなければ良かったんじゃないかな？と考える事もある
ま　ウチのペット達の考えは違うようだけど

チケット売り場でチケットを買い　静かな館内をのんびり回る
アートカフェなる飲食コーナーもあるので後で寄って園庭を見渡せるカフェで一服する事にする
現代絵画コーナーを見ているとスッと誰かが寄って来る気配がしてそちらを向けば由香だった
スッキリしたパンツスーツで首から写真入りの学芸員証を下げている

お　由香
おめでとう　今年も宜しくな

おめでとうございます
今日は飛鳥ちゃんとデートですか？

そう　正月早々　不健全な遊戯にハマってな
毒気を抜きにアートを見に来たんだ

あら　興味深いお話ですね
新年の特別展は近代芸術に於ける裸体　と言うテーマですから良かったら見て回って下さい

あ〜　ボヤいてた企画の？

県の方針で決まった企画ですから　手抜きは無いですけど　ね

とは　横に連れている後輩の学芸員への言い訳だろう

じゃあ　また連絡するよ

と　会釈で別れた

(…木島さん　どなたですか？

大学の同級生とお連れはモデルさんよ

やっぱり！実業家だったりするんですか？

さあ　どうだったかしら…)

遠ざかるヒソヒソ声を聞きながら飛鳥は笑いを堪えていた

ミーハーな学芸員の方もいるんですね
でも由香さんて　いつ見ても控えめでとても…

変態ペットだなんて思えないだろ？
人は見た目で分からない
壊れる前は超絶潔癖症の暴走トラックだったし　今は

と　飛鳥の耳に口を寄せて小声で

俺が今　裸になれ　って言ったらホントに全裸になるよ

ウソ　︎

ホント!

アートカフェは珈琲はまあまあだったがケーキは有名店のものらしく美味しかった

トランク詰めの誠さんともカフェには来たんですか？

いや　アイツはスウェットで寛いでた所を詰めて来たんで人目には晒せなかった

え？じゃあ？

公園の奥にトイレとか四阿があるんだ
遊歩道沿いに
そこで　まあ　な

んん？
　
まあ　常識の範囲内で可愛がったのさ

常識って…もう　トランクから出してる時点で非常識なんですけど…

飛鳥はコロコロ笑い続けた

じゃ　そこ　行きましょうか

んん？そこ？四阿か？

はい　常識の範囲内って事で

風こそ無いけど　やはり日差しは弱い冬の日差しだ
四阿に座って飛鳥は期待に満ちた目で俺を見た

それからどうしたんですか？

やりにくいな　
誠は膝に股がらせて胸を出させて可愛がったんだが…

ふふ

と　笑うと飛鳥はコートを着たまま　前ボタンのカーディガン　前ボタンのシャツのボタンを順に外し　白いハーフカップのブラを肌けた

どうですか？

と　座った俺の前に立ち　立ったまま膝を跨いで後ろの背もたれに両手をついた

貪欲に学習するなぁ

俺は脇から背中に手を回しホックを外して乳房を露出させた
コロンとかでは無い飛鳥の良い香りがした