ちょっとHぃショートショート

双樹\u3000一

飛鳥7 影使い

クラシックバレーのバレリーナのように真っ直ぐに立った裸のわたしはクロスした腕で胸を隠して後ろの社長を見上げている
腰に巻いた青のグラデーションの薄布は腰周りでは濃紺で足元では足首が透けて見えるほど薄いブルー
社長の右手はわたしのお腹から腰を抱き 左手は胸元からわたしの右肩を掴んでわたしは固く抱き締められている
2枚目の写真ではクロスした腕のまま 抱き上げられてお姫様抱っこされたわたし
幼い子どものようには見えない
恋する乙女の様子で身を任せている
裸の社長は少し脚を開いて立ち 黒布で腰周りを巻いている
3枚目の写真では降ろされて社長に向き直ったわたしはカメラに背中を見せて両手で社長の首に抱きついている
左足を爪先立てて一本足で立ち社長の右手で腰を支えられ 右足は社長の左手で太腿を持ち上げられて両脚を大きく割られている
腰に巻いた薄布も捲れ上がり白い太腿の付け根を晒してとてもエロティックだ
社長の体に密着したわたしの裸はとても熱かった
社長の体の冷たさが気持ち良かった
それなりに恋愛経験もあるしバージンでもないけど初めての時のようにドキドキした
理音が言っていた事が分かった気がする
わたしは自分に自信が無かった
胸が無いから とか背が高いからとかは自分への言い訳だった
なんだろう 今は社長に抱かれた自分 と言うのを梓さんの作品の中で客観的に見せて貰って 素敵だと思えた自分が居て 腑に落ちた と言うか自分を肯定出来た
と言うか評価出来た
この素敵な裸の女の子が自分だと言うのが素直に嬉しい

あ〜 また見てる飛鳥!

と エミリが後ろからわたしのスマホを取り上げた
久しぶりに来たキトゥンズの事務所で偶然 遊びに来ていて一緒になった

も〜 ひかりも怒ってたよ 黙ってお姫様抱っこ 撮ったって

だってあなた達 冷やかすからだよ
恥ずかしいのに

え〜 だって一緒に盛り上がりたいじゃない

盛り上がるのはあなた達2人だけじゃない!もう!

でもでも 凄い雰囲気出てるじゃない 社長と2人
何かいい事 あったの?

内緒です!

わたしが笑って言うとエミリが

あ!誠さんみたいな笑い方!絶対 何かあったでしょ!飛鳥
教えてよ!

梓さんにA4プリントファイルで作品写真 いっぱい貰った!
データも送って貰ったの
もういいでしょ

と スマホを取り返した

え〜 何か飛鳥 変わった!
理音みたいな感じだし 誠さんみたいな感じ!何よ?

わたしは立ちながら
碧さんに

お邪魔しました 碧さん 帰りますね

と言ってエミリの耳にこっそり囁いた

…社長とキスした

ドアを閉めて足早に階段を上がると後ろからエミリの

ええ〜!

と言う声が響いて来た

こんにちは!

ドアを開けるとかなめちゃんの

あ 飛鳥さん いらっしゃい!

に 被せて 誠さんの

もう直ぐ昼休みだから執務室で待ってて
珈琲淹れるから

と乱暴な案内が重なった
気にせずに執務室のドアを開けて社長のデスクの前のカウチに腰を下ろす
社長は辿々しい電卓の指を休めずに左手をヒラヒラ振ってカウチで休むように指示した

お待たせ 飛鳥
ご主人様も珈琲 どうぞ

うお〜 と社長が頭を抱えて電卓を投げた

誠さんは動ぜずに笑って

領収書溜めちゃうからですよ ご主人様
梓はホンキですからね?

と 珈琲を置いて出て行った

大丈夫ですか?社長?

…あと 2枚だったのに!

どうしたんですか?

…合わないんだ 合計

エクセルでやらないんですか?

…今までは梓がやってくれてたんだが かなめが入って示しが付かないからケジメって言って "俺がやるべき書類は俺が"ってやらされてる訳だ

わたしは笑ってしまった
今までなら 笑えなかったけれど社長も等身大で見る事が出来る

ちょっと貸して下さい

と 社長から合計表シートと伝票類を貰ってチェックした

ああ 伝票1枚記入漏れがあるのと数字の記入ミスが2箇所ありますね
何回やっても合いませんよ これ

どれ?どこだ!

社長に教えて上げると凄く感謝されてもの凄いスピードで修正して電卓を叩き 事務所のドアを開けて梓さんに

そら 出来たぞ 梓!

と 宣言した

ええ〜 と声が上がるのに構わず ドアを閉めた社長はわたしを拝んだ

何だったんですか
梓さんのホンキって?

昼休みまでに書類を回さないとペナルティを食うところだったんだ

わたしはクスクス笑って

じゃ 社長 わたしに借りですね?

うん?ああ そうだな

今度 デートして下さい で お茶とキス お願いしますね?

と 笑って言うと
呆れたように社長は

飛鳥 おまえ誠に似て来たな?

と言った

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