メグルユメ
15.邪悪なる樹
枯れ木のように見えても魔物だ。元よりそういう擬態なのだろう。油断できない。先ほども蔦を切られながらもコストイラを弾き飛ばしていた。簡単に断てないし、体がでかく的は大きくとも致命に至れる攻撃を繰り出せるかは別だ。
「森に配慮できないわ」
「仕方ありません。燃やしましょう」
アストロはアレンの言葉が終わる前に炎を出していた。どうやら許可取りではなく、フォローしろという命令だったようだ。
何かを感知したのか、ディケイドスが蔦をしならせる。アシドが体を張り蔦を弾くと、身を回転させて木の幹に着木する。2本目の蔦はレイドが防ぐ。レイドは弾かれず、その蔦の上をシキが走っていく。ディケイドスは辿り着かせないように自ら切り離す。
急激に落ち、シキはバランスを崩しそうになるが、構わず走る。シキは父の教えにより、どんな足元でも走れるように仕込まれていた。シキは端まで走ると見事な跳躍を見せ、ディケイドスの幹にナイフを刺す。口の中に爆弾を仕込むとすぐに離脱する。
しかし、爆弾は口の中からころりと落下する。口の中に穴が開いているのだ。落ちた白瓏石はグチャリと柔らかい何かに埋まった。
肉だ。ディケイドスに咀嚼されたホーリードラゴンの肉が口内にある穴から落ちたのだ。肉は腐っているようでだが、蠅や蛆がたかっていない。本能で恐怖してしまって近づけないのだろう。
アストロがタイミングよく炎魔術を放つ。巨木の魔物に火が付き燃える。
木は燃える。それは間違いなく事実だ。しかし、生木は燃えづらい。表面は燃え焦げるが、内部までは燃えない。表面には炭化層が形成され、熱が伝わりにくくなると同時に内部まで酸素が供給されず、燃焼が抑えられる。さらに生木には水分がある。そのせいで温度が上がりづらく、燃えづらいというものもある。加え、ディケイドスは魔物だ。枯れ木の見た目とはいえ、魔物だ。枯れ木ではない。ゆえに水分があり、燃えづらい。
ディケイドスは表面が焦げたが、それだけだ。致命にも決定打にもならない。
ディケイドスの蔦がしなり、怒りのストンピング。その時、蔦が白瓏石の爆弾を砕き、爆発する。蔦が2本吹き飛ばされる。爆風により、霧の一部が晴れる。
視界が完全に通る。シルエットだけで戦うのには限界があったのでありがたい。
パチリと水分が弾けた。ディケイドスの体は燃えていない。では、どこで何が燃えているのか?
ギョロリと目を動かすと、赤毛の男が炎を纏っていた。空気が燃え、水蒸気が破裂したのだと理解したときにはこちらに駆けだしていた。
『ゴォア!』
迎撃しようとした蔦が何かに当たる。ナイフだ。爆弾付きの。爆発し、蔦が吹き飛ぶ。傷口に槍が刺さる。ディケイドスの本能が硬直を選ぶ。どちらを先に対処する。その硬直は致命傷になった。
コストイラは刀を振り下ろし、中からも燃やす。
『ゴォオアッ!』
ディケイドスは蔦を荒く振るい火を消そうと必死になる。ディケイドスの体に蔓が巻き付いていく。抱え込み酸素を取り込まないようにしているのだろうか。いつの間にか暴れ狂っていた蔦が少なくなっていた。力が付き始めたのか。
パキ。パキ。
何か、枯れ木がこすれ、空気が破裂する音がした。ブチリ、バキリと枝や幹が折れる音が次いで鳴る。ズズとディケイドスが何かに引っ張られるように後ろに引き摺られる。
「後ろ、奥に何かいるな」
「デカいですね。今戦っていた魔物よりデカい」
幅は30mはあろうか大きさの枯れ木のような魔物だ。違いは眉間だ。こちらの巨木の方は眉間がぐるぐると螺旋状になっていた。
グパァと幹が開く。ディケイドスを取り込むように中に押し込んでいく。ディケイドスはもう抵抗していない。抵抗する余力さえないようだ。
パキグチャと潰されていく。木の幹は完全に閉じてしまい、ディケイドスは姿を消した。
パキパキと音を鳴らし、蔓をこちらに伸ばそうとしてくる。コストイラは合わせるように居合する。蔓と刀が合わさり、交わり、コストイラは弾き飛ばされる。コストイラは再びホーリードラゴンに突っ込んだ。
「森に配慮できないわ」
「仕方ありません。燃やしましょう」
アストロはアレンの言葉が終わる前に炎を出していた。どうやら許可取りではなく、フォローしろという命令だったようだ。
何かを感知したのか、ディケイドスが蔦をしならせる。アシドが体を張り蔦を弾くと、身を回転させて木の幹に着木する。2本目の蔦はレイドが防ぐ。レイドは弾かれず、その蔦の上をシキが走っていく。ディケイドスは辿り着かせないように自ら切り離す。
急激に落ち、シキはバランスを崩しそうになるが、構わず走る。シキは父の教えにより、どんな足元でも走れるように仕込まれていた。シキは端まで走ると見事な跳躍を見せ、ディケイドスの幹にナイフを刺す。口の中に爆弾を仕込むとすぐに離脱する。
しかし、爆弾は口の中からころりと落下する。口の中に穴が開いているのだ。落ちた白瓏石はグチャリと柔らかい何かに埋まった。
肉だ。ディケイドスに咀嚼されたホーリードラゴンの肉が口内にある穴から落ちたのだ。肉は腐っているようでだが、蠅や蛆がたかっていない。本能で恐怖してしまって近づけないのだろう。
アストロがタイミングよく炎魔術を放つ。巨木の魔物に火が付き燃える。
木は燃える。それは間違いなく事実だ。しかし、生木は燃えづらい。表面は燃え焦げるが、内部までは燃えない。表面には炭化層が形成され、熱が伝わりにくくなると同時に内部まで酸素が供給されず、燃焼が抑えられる。さらに生木には水分がある。そのせいで温度が上がりづらく、燃えづらいというものもある。加え、ディケイドスは魔物だ。枯れ木の見た目とはいえ、魔物だ。枯れ木ではない。ゆえに水分があり、燃えづらい。
ディケイドスは表面が焦げたが、それだけだ。致命にも決定打にもならない。
ディケイドスの蔦がしなり、怒りのストンピング。その時、蔦が白瓏石の爆弾を砕き、爆発する。蔦が2本吹き飛ばされる。爆風により、霧の一部が晴れる。
視界が完全に通る。シルエットだけで戦うのには限界があったのでありがたい。
パチリと水分が弾けた。ディケイドスの体は燃えていない。では、どこで何が燃えているのか?
ギョロリと目を動かすと、赤毛の男が炎を纏っていた。空気が燃え、水蒸気が破裂したのだと理解したときにはこちらに駆けだしていた。
『ゴォア!』
迎撃しようとした蔦が何かに当たる。ナイフだ。爆弾付きの。爆発し、蔦が吹き飛ぶ。傷口に槍が刺さる。ディケイドスの本能が硬直を選ぶ。どちらを先に対処する。その硬直は致命傷になった。
コストイラは刀を振り下ろし、中からも燃やす。
『ゴォオアッ!』
ディケイドスは蔦を荒く振るい火を消そうと必死になる。ディケイドスの体に蔓が巻き付いていく。抱え込み酸素を取り込まないようにしているのだろうか。いつの間にか暴れ狂っていた蔦が少なくなっていた。力が付き始めたのか。
パキ。パキ。
何か、枯れ木がこすれ、空気が破裂する音がした。ブチリ、バキリと枝や幹が折れる音が次いで鳴る。ズズとディケイドスが何かに引っ張られるように後ろに引き摺られる。
「後ろ、奥に何かいるな」
「デカいですね。今戦っていた魔物よりデカい」
幅は30mはあろうか大きさの枯れ木のような魔物だ。違いは眉間だ。こちらの巨木の方は眉間がぐるぐると螺旋状になっていた。
グパァと幹が開く。ディケイドスを取り込むように中に押し込んでいく。ディケイドスはもう抵抗していない。抵抗する余力さえないようだ。
パキグチャと潰されていく。木の幹は完全に閉じてしまい、ディケイドスは姿を消した。
パキパキと音を鳴らし、蔓をこちらに伸ばそうとしてくる。コストイラは合わせるように居合する。蔓と刀が合わさり、交わり、コストイラは弾き飛ばされる。コストイラは再びホーリードラゴンに突っ込んだ。
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