メグルユメ
1.端の森
河童の里を出発する際、世界樹のある方角を教えてもらった。東にまっすぐ進めばいいらしい。途中には古代の遺跡があるらしい。なんか面倒事の臭いがするが、遺跡と聞いてコストイラとアシドが目を輝かせていた。きっと寄ることになるだろう。
「世界樹か」
コストイラが少し上を向き、考えるような姿勢を見せる。何か心当たりがあるのだろうか。
「知らんなァ」
知らないんかいとアレンが心の中でツッコミを入れる。
「誰か知っている人いるか?」
「えっと、え、せ、せ、世界樹は天を、そ、そ、空を支えている巨大なじゅ―樹木です。そ、そ、その根はめ、めい、め、冥界に通じているとき、聞いたことがあります」
回答がアストロから来ると思っていたコストイラは、エンドローゼから来たことに驚いた。
「あら、エンドローゼも知っているのね」
「こ、こ、子供の頃に、よ、読んだことがあったんです」
そういえば、皆が15年以上生きているのに、誰の過去も知らない。8年の付き合いのあるコストイラ、アシド、アストロも互いのことを出会う前は一切知らない。誰も触れようともしていない。繊細なものでもかかわるかのように、扱わない。
「天を支えるってこったぁ、天まで届いてるってことだろ? こっから見えてもおかしくないんじゃね?」
コストイラの疑問ももっともだ。それについてはどう説明されているのだろう。皆の視線がエンドローゼに向く。
「え、あ、え、えっと、えっと」
急に視線が集まり、慣れないエンドローゼは慌ててしまう。
「何も書いてないわ。遠くから見た描写は載ってないわよ」
「じゃ、オマエでも分かんねェんだな」
「お前って言うな。まぁ、案外魔力か何かで光が屈折して、見えないようになっているのかもしれないわね」
「もっと見てみたくなったわ」
コストイラがわくわくした足取りで歩く。
「つか、無視しちゃったけど、根っこは冥界につながってんの?」
コストイラは想像できず、首を傾げてしまう。アレンも分かっていない。根がトンネルのようになっているのだろうか。それとも、数千mの幹に対応して数百mの根っこがあるのだろうか。
「見えてきたぞ、森だ」
東方の地域、妖怪の山の端の森に辿り着く。山にあった森の様子とは少し違うものとなっていた。山の森は生い茂る紅葉の樹木の森だったが、ここは緑々した森だ。木漏れ日の溢れている様子は幻想的に見えた。
「どんな魔物が出ると思う?」
すでに魔物が出ることが前提になっているが、誰も突っ込まない。当たり前になっているからだ。
「明るめな森だからな、植物系、アルラウネだな」
「鳥系もね。シーグルかアックスビークかな」
「妖精も住んでいそうだな。フェアリーアーチャー」
アシド、アストロ、レイドが思い思いに予想する。正直全部ありそうだ。
「答え合わせといこう。行くぜ」
結論から言おう。
魔物が出てこなかった。滅茶苦茶に身構え、意気揚々と臨んだにもかかわらず、出てこなかった。
最初は、オルトロスのようにどこからか観察しているのだと思っていた。警戒を解かず、慎重に歩み、奥へと進んでいった。すると、どういうことだろう。森の奥の洞窟に辿り着いてしまったではないか。洞窟に入ったら後ろから奇襲のパターンへの警戒にシフトした。後ろからへの警戒を絶やさず、洞窟を見る。
でかい。万年氷洞よりもでかい。高さは8mはあるのではないだろうか。人工的な洞窟ではないが、ここまで大きな洞窟ができるものなのか。
「どうする。また予想するか?」
「やめとこう。悲惨な結末が見える」
コストイラが、そろーっと後ろを見る。魔物の気配はない。がっくりと肩を落とし、洞窟内に入っていく。
結局、この森には魔物はいなかった。
「世界樹か」
コストイラが少し上を向き、考えるような姿勢を見せる。何か心当たりがあるのだろうか。
「知らんなァ」
知らないんかいとアレンが心の中でツッコミを入れる。
「誰か知っている人いるか?」
「えっと、え、せ、せ、世界樹は天を、そ、そ、空を支えている巨大なじゅ―樹木です。そ、そ、その根はめ、めい、め、冥界に通じているとき、聞いたことがあります」
回答がアストロから来ると思っていたコストイラは、エンドローゼから来たことに驚いた。
「あら、エンドローゼも知っているのね」
「こ、こ、子供の頃に、よ、読んだことがあったんです」
そういえば、皆が15年以上生きているのに、誰の過去も知らない。8年の付き合いのあるコストイラ、アシド、アストロも互いのことを出会う前は一切知らない。誰も触れようともしていない。繊細なものでもかかわるかのように、扱わない。
「天を支えるってこったぁ、天まで届いてるってことだろ? こっから見えてもおかしくないんじゃね?」
コストイラの疑問ももっともだ。それについてはどう説明されているのだろう。皆の視線がエンドローゼに向く。
「え、あ、え、えっと、えっと」
急に視線が集まり、慣れないエンドローゼは慌ててしまう。
「何も書いてないわ。遠くから見た描写は載ってないわよ」
「じゃ、オマエでも分かんねェんだな」
「お前って言うな。まぁ、案外魔力か何かで光が屈折して、見えないようになっているのかもしれないわね」
「もっと見てみたくなったわ」
コストイラがわくわくした足取りで歩く。
「つか、無視しちゃったけど、根っこは冥界につながってんの?」
コストイラは想像できず、首を傾げてしまう。アレンも分かっていない。根がトンネルのようになっているのだろうか。それとも、数千mの幹に対応して数百mの根っこがあるのだろうか。
「見えてきたぞ、森だ」
東方の地域、妖怪の山の端の森に辿り着く。山にあった森の様子とは少し違うものとなっていた。山の森は生い茂る紅葉の樹木の森だったが、ここは緑々した森だ。木漏れ日の溢れている様子は幻想的に見えた。
「どんな魔物が出ると思う?」
すでに魔物が出ることが前提になっているが、誰も突っ込まない。当たり前になっているからだ。
「明るめな森だからな、植物系、アルラウネだな」
「鳥系もね。シーグルかアックスビークかな」
「妖精も住んでいそうだな。フェアリーアーチャー」
アシド、アストロ、レイドが思い思いに予想する。正直全部ありそうだ。
「答え合わせといこう。行くぜ」
結論から言おう。
魔物が出てこなかった。滅茶苦茶に身構え、意気揚々と臨んだにもかかわらず、出てこなかった。
最初は、オルトロスのようにどこからか観察しているのだと思っていた。警戒を解かず、慎重に歩み、奥へと進んでいった。すると、どういうことだろう。森の奥の洞窟に辿り着いてしまったではないか。洞窟に入ったら後ろから奇襲のパターンへの警戒にシフトした。後ろからへの警戒を絶やさず、洞窟を見る。
でかい。万年氷洞よりもでかい。高さは8mはあるのではないだろうか。人工的な洞窟ではないが、ここまで大きな洞窟ができるものなのか。
「どうする。また予想するか?」
「やめとこう。悲惨な結末が見える」
コストイラが、そろーっと後ろを見る。魔物の気配はない。がっくりと肩を落とし、洞窟内に入っていく。
結局、この森には魔物はいなかった。
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