メグルユメ
6.虹色の洞窟
崖を越えると道幅が広くなっていき、安心できるようになってきた。アレンは尻餅を搗き、エンドローゼは四つん這いでぜーはー言っている。エンドローゼの背をレイドが擦り、アストロが話しかけている。対してアレンには誰もいない。悲しくなってくる。邪険に扱われていたエンドローゼが人気者になっているのは嬉しいことだが、周りに人がいないのは許容量を超えそうだ。
コストイラとアシドは先を見に行っている。もうすぐ日が暮れそうなので寝床を探してもらっている。手の空いているシキはどうして介抱してくれないのだろう。さっきからシキはアレンのことをずっとジィーっと見つめているだけだ。何も言わず、何もしてこない。その半眼の奥で何を考えているのだろう。
コストイラとアシドが帰ってくる。
「この先に洞窟があったぞ。少ししか覗いていないからわからんが、魔物の気配はしなかったぞ。眠れそうだな」
報せを聞いてアレンは立ち上がる。エンドローゼは咄嗟に顔を上げ、アストロの顎とぶつかって両者ともに痛む場所を押さえていた。本当に仲いいな。
辿り着いた洞窟は大きく、そして広かった。入り口は小屋が一つ入りそうなほど大きく、中は入り口からでは奥が見通せなかった。
「魔素が溜まっているわ」
アストロが呟いた。
「溜まっている、ですか?」
「ええ、魔素というより、そうね、魔術の残滓ね。魔術を放って残ったものが長時間ここにあり続けているって感じね。起きうることだけど、滅多に拝めないわ」
「どうして滅多に拝めないんですか?」
「魔術後の魔素は長時間とどまらず、1日2日で霧散するわ。でも、おそらくこの洞窟には魔素が逃げないような地形だったのかもね。自然で滅多に起きない。だから滅多に拝めないのよ」
説明を聞いても、いまいち想像できない。生き物やモノが出入りすることで風が起き、残滓は霧散してしまい消えてしまうらしい。逆説的にこの洞窟には出入りがなく風が起きていなかったということになる。
「まぁ、私達が来たから消えてしまうかもしれないわね」
「それを聴くと、何か勿体ない気もしますね」
アストロの見解では少なくても5年、長くても50年以上前の残滓の可能性があるらしい。
洞窟の中にはガビガビの何かがべっとりとついていた。指でなぞったがこそぎ取れない。もう乾いているのか。ぬめぬめしたものの表面が乾くのは意外と早い。その割に内部は固まりづらい。しかし、この何かにナイフを刺してみたが、内部までしっかりと乾いている。水分が少ない証拠だ。ぬめりの元となったものは姿が見えない。どこに行ったのだろう。
「突っ立ってないで、こっちを手伝いなさい」
思考を加速させようとしているとアストロに睨まれてしまった。いけない。今は夜を越す準備をしなければいけない。公正な判断の結果、見張りはアレンとレイドになった。
塔の中にいる青髪の青年は研究の疲れを誤魔化すように伸びをする。パキパキと骨が鳴る。ずっと座っていたことの弊害が生じたか。首を傾けても、腰を捻っても骨が鳴る。骨が鳴る仕組みはいまいち分かっていない。しかし、骨だけの魔物は鳴らせないのを見ると、骨が鳴っているわけではないのだろう。
一説には関節の中は粘り気のある液体で満たされているのだとか。骨と骨が擦れて傷つかないようにするためのクッションとして存在しているのだろう。その中でスパークリングワインのように気泡が発生した時に音が鳴るという。
その話を知らない青年は、今度骨の魔物でも捕まえて実験でもしてみようと考えた。
『はっ?』
何となく窓の外を眺めたとき、炎に包まれた何か浮遊しているものを見つけ、視線が吸い込まれた。何が起きているのか、ここからでは遠くて分からない。
『確かここに』
物が雑多に置かれた棚を漁る。
『あった、あった』
筒のような物を引っ張り出し微笑む。男が手にしたのは望遠鏡と呼ばれ、名前通り遠くを見るための器具だ。青年は筒に片目をつけ、筒を通して先程の場所を見る。
いない。
もう移動してしまったのだろう。湿原の方に筒を動かす。何かが見えた。青年はニヤリと笑った。
『そうかそうか。あいつらはここまで来たのか。私のデータが正しければあいつらのレベルは35くらいか。私の想定通りいってくれるなよ』
カンジャは疲れが吹き飛んだように感じる。カンジャは研究を中断して階下へ降りていった。
コストイラとアシドは先を見に行っている。もうすぐ日が暮れそうなので寝床を探してもらっている。手の空いているシキはどうして介抱してくれないのだろう。さっきからシキはアレンのことをずっとジィーっと見つめているだけだ。何も言わず、何もしてこない。その半眼の奥で何を考えているのだろう。
コストイラとアシドが帰ってくる。
「この先に洞窟があったぞ。少ししか覗いていないからわからんが、魔物の気配はしなかったぞ。眠れそうだな」
報せを聞いてアレンは立ち上がる。エンドローゼは咄嗟に顔を上げ、アストロの顎とぶつかって両者ともに痛む場所を押さえていた。本当に仲いいな。
辿り着いた洞窟は大きく、そして広かった。入り口は小屋が一つ入りそうなほど大きく、中は入り口からでは奥が見通せなかった。
「魔素が溜まっているわ」
アストロが呟いた。
「溜まっている、ですか?」
「ええ、魔素というより、そうね、魔術の残滓ね。魔術を放って残ったものが長時間ここにあり続けているって感じね。起きうることだけど、滅多に拝めないわ」
「どうして滅多に拝めないんですか?」
「魔術後の魔素は長時間とどまらず、1日2日で霧散するわ。でも、おそらくこの洞窟には魔素が逃げないような地形だったのかもね。自然で滅多に起きない。だから滅多に拝めないのよ」
説明を聞いても、いまいち想像できない。生き物やモノが出入りすることで風が起き、残滓は霧散してしまい消えてしまうらしい。逆説的にこの洞窟には出入りがなく風が起きていなかったということになる。
「まぁ、私達が来たから消えてしまうかもしれないわね」
「それを聴くと、何か勿体ない気もしますね」
アストロの見解では少なくても5年、長くても50年以上前の残滓の可能性があるらしい。
洞窟の中にはガビガビの何かがべっとりとついていた。指でなぞったがこそぎ取れない。もう乾いているのか。ぬめぬめしたものの表面が乾くのは意外と早い。その割に内部は固まりづらい。しかし、この何かにナイフを刺してみたが、内部までしっかりと乾いている。水分が少ない証拠だ。ぬめりの元となったものは姿が見えない。どこに行ったのだろう。
「突っ立ってないで、こっちを手伝いなさい」
思考を加速させようとしているとアストロに睨まれてしまった。いけない。今は夜を越す準備をしなければいけない。公正な判断の結果、見張りはアレンとレイドになった。
塔の中にいる青髪の青年は研究の疲れを誤魔化すように伸びをする。パキパキと骨が鳴る。ずっと座っていたことの弊害が生じたか。首を傾けても、腰を捻っても骨が鳴る。骨が鳴る仕組みはいまいち分かっていない。しかし、骨だけの魔物は鳴らせないのを見ると、骨が鳴っているわけではないのだろう。
一説には関節の中は粘り気のある液体で満たされているのだとか。骨と骨が擦れて傷つかないようにするためのクッションとして存在しているのだろう。その中でスパークリングワインのように気泡が発生した時に音が鳴るという。
その話を知らない青年は、今度骨の魔物でも捕まえて実験でもしてみようと考えた。
『はっ?』
何となく窓の外を眺めたとき、炎に包まれた何か浮遊しているものを見つけ、視線が吸い込まれた。何が起きているのか、ここからでは遠くて分からない。
『確かここに』
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いない。
もう移動してしまったのだろう。湿原の方に筒を動かす。何かが見えた。青年はニヤリと笑った。
『そうかそうか。あいつらはここまで来たのか。私のデータが正しければあいつらのレベルは35くらいか。私の想定通りいってくれるなよ』
カンジャは疲れが吹き飛んだように感じる。カンジャは研究を中断して階下へ降りていった。
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