メグルユメ
28.岩と泥はいつもトラウマを残す
アレン達は森を抜けるとあと洞窟の中にいた。
灯りがまだ役立っていた。薄く光に照らされる地面はところどころに泥が散っていた。嫌な思い出が呼び起こされる。相対した回数分だけ泥を被った思い出が。前を見るとコストイラも顔を顰めていた。おそらく同じことを思い出したのだろう。前の方からこちらに来る影が見えた。泥だろうか。
よく見るとそれは岩だった。ボールダー。こちらも体が硬く前衛にとっては戦いたくない相手の一体だ。レイドは楯を背に負うと、大剣を引き抜く。後ろにアイコンタクトを取るとコストイラとアシドが頷く。何の合図だろうか。アレンには察しがつかなかった。
『ゴォアッ』
ボールダーはドスドスと近付き、フック気味に殴るが、レイドはギリギリで躱し、振り下ろす。目の前を通り過ぎた腕ごと叩き斬る。大剣はボールダーの顔を斬り、体の上部で止まる。レイドの顔の横を槍が通り過ぎる。
ボールダーの体がゴラガラと崩れていく。
勝ちの余韻に少し浸りながら大剣を収める。
しかし、アレン達は忘れていた。ここに泥があったということを。
ぴちゃりという音がもう一度戦闘の世界へ引き戻す。マッドスライム1匹なら何の問題もなく倒せるだろう。しかし、ここは狭い通路である。そして出現場所は後衛のさらに後ろだった。
「ぴぃっ!?」
エンドローゼは短い悲鳴と共に自身の顔を覆う。その悲鳴を轟音が掻き消した。一切の表情を変えることなく放たれたアストロの魔術は轟音を上げながらマッドスライムを襲った。
炎がマッドスライムの体を焦がし、ガビガビに固まっていく。マッドスライムは無理矢理動こうとして崩れていく。コストイラはゆっくりと近付き、縦に一文字に振り下ろし、斬ってしまう。
パリッと表層が割れ、中から泥が噴き出す。
「あ」
コストイラは中から噴き出してくることを忘れていた。間抜けな声を出してしまい、そのまま泥を被る。口が空いたままだったので口の中にまで泥が侵入してきた。泥を吐き出そうとするが、吐き出しきれず涙目になっている。自業自得だ。
アストロが狭い中で炎を使ったので熱が篭ってしまい、汗がブワッと噴き出した。コストイラは泥と汗で気持ち悪くなってしまっている。サクラの前に水場が欲しい。
コストイラは幽鬼のように歩き、水場を探す。少し離れた位置でコストイラを見守りながら追従する。あまり近すぎるとこちらも泥をつけられてしまうかもしれない。
「うおっ!水が流れている!!」
コストイラはそう言い残すと早々に走り去ってしまった。追いつくころにはすでにすべて洗い流し終わっていた。
灯りがまだ役立っていた。薄く光に照らされる地面はところどころに泥が散っていた。嫌な思い出が呼び起こされる。相対した回数分だけ泥を被った思い出が。前を見るとコストイラも顔を顰めていた。おそらく同じことを思い出したのだろう。前の方からこちらに来る影が見えた。泥だろうか。
よく見るとそれは岩だった。ボールダー。こちらも体が硬く前衛にとっては戦いたくない相手の一体だ。レイドは楯を背に負うと、大剣を引き抜く。後ろにアイコンタクトを取るとコストイラとアシドが頷く。何の合図だろうか。アレンには察しがつかなかった。
『ゴォアッ』
ボールダーはドスドスと近付き、フック気味に殴るが、レイドはギリギリで躱し、振り下ろす。目の前を通り過ぎた腕ごと叩き斬る。大剣はボールダーの顔を斬り、体の上部で止まる。レイドの顔の横を槍が通り過ぎる。
ボールダーの体がゴラガラと崩れていく。
勝ちの余韻に少し浸りながら大剣を収める。
しかし、アレン達は忘れていた。ここに泥があったということを。
ぴちゃりという音がもう一度戦闘の世界へ引き戻す。マッドスライム1匹なら何の問題もなく倒せるだろう。しかし、ここは狭い通路である。そして出現場所は後衛のさらに後ろだった。
「ぴぃっ!?」
エンドローゼは短い悲鳴と共に自身の顔を覆う。その悲鳴を轟音が掻き消した。一切の表情を変えることなく放たれたアストロの魔術は轟音を上げながらマッドスライムを襲った。
炎がマッドスライムの体を焦がし、ガビガビに固まっていく。マッドスライムは無理矢理動こうとして崩れていく。コストイラはゆっくりと近付き、縦に一文字に振り下ろし、斬ってしまう。
パリッと表層が割れ、中から泥が噴き出す。
「あ」
コストイラは中から噴き出してくることを忘れていた。間抜けな声を出してしまい、そのまま泥を被る。口が空いたままだったので口の中にまで泥が侵入してきた。泥を吐き出そうとするが、吐き出しきれず涙目になっている。自業自得だ。
アストロが狭い中で炎を使ったので熱が篭ってしまい、汗がブワッと噴き出した。コストイラは泥と汗で気持ち悪くなってしまっている。サクラの前に水場が欲しい。
コストイラは幽鬼のように歩き、水場を探す。少し離れた位置でコストイラを見守りながら追従する。あまり近すぎるとこちらも泥をつけられてしまうかもしれない。
「うおっ!水が流れている!!」
コストイラはそう言い残すと早々に走り去ってしまった。追いつくころにはすでにすべて洗い流し終わっていた。
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