21．試練－最終－

　苦難を乗り越えた先に頂上へ辿り着く。ようやく5階。五重の塔の最上階に緊張した面持ちの7人が姿を見せる。そこには白っぽい明るい服を着た男が座禅して待っていた。



「ようやく挑戦者か。かれこれ100年は待っていたような気がする。まったく」



　一切動くことなく男が告げる。目を開けることすらしていない。



「それじゃあ、始めようか。第5の試練、君達を魅せてみろ」



　男はいまだ眼を開けずに宣言する。その瞬間に男を中心に突風が吹いた。















　真っ先に男に辿り着いたのはコストイラだ。男はコストイラの横薙ぎを座った姿勢のまま躱し立ち上がる。コストイラの後ろからアシドは突きを繰り出すが、男の周りを風が反時計回りに渦巻き往なされる。



　レイドが渦巻く風を力で切り開いていくが、突風が剣身を叩き、押し戻されてしまう。矢など風に巻き込まれるだけ。アレンはそう思い、射ることができない。シキは無策で風に飛び込むことなく、隙が出るのを待つ。アストロは炎の柱を顕現させようとするが、男にバレて避けられてしまう。



　男はようやく目を開ける。



「この程度の強さでシュナイトレーゼを倒せたわけがあるまい。もっと本気で来い」



　アレン達は絶句する。男は目が1つしかなかった。眉もまつげもない単眼は、閉じている時にあった違和感はこれだったのか。しかし、単眼は2つ目よりも視界が狭くなってしまう。



　アシドは男の死角と思われる場所に移動する。



「見えていないと思ったか?」



　真横からビームのようなものが放たれ、吹っ飛んでしまう。ビームを放った元を見ると、眼が浮いていた。浮遊する目が合計4つ。それぞれがあらゆる方向を見ており、死角が存在しない。アレンが焦っていると5つ目からビームが一斉に掃射される。コストイラは刀で軌道を逸らし、レイドは楯で受け止める。シキは顔色一つ変えずに躱し、アストロはとアレンは仲良く当たってしまう。続いて5つ目は全て外側を向き、再び掃射する。



　コストイラはまた刀で逸らし、レイドはアストロとアレンの前に移動し、楯で受け止める。アシドは攻撃を受けた脇腹を押さえながら槍で往なそうとするが、失敗し当たってしまう。一番当たってしまうかもしれないと予想していたエンドローゼはなんだかんだ言って普通に走って避けていた。エンドローゼが走って避けている光景に意外と身軽だなという空気で満ちるが、エンドローゼは気付かない。



　再び男の眼が光を放つ。