17．試練－3－

「待ってたぜ！」

　赤髪に釣り目をした、気の強そうな女がいた。ドラムを叩きながら発言している。テンションが高いな。最後まで持つだろうか。ドラムとは噂にしか聞いたことのないものだ。確か楽器の一つだったか。音を奏でるのは誰でもできるが音楽となると上流階級のうちのさらにその一部しか行っていない。ドラムは、いや楽器自体が滅多に見られるものではない。

「珍しいか？」

　ドラムの女が声を掛けるが、答えようとする前にドラムが鳴らされる。

「珍しいだろう！そうだろう！だがこの子に出会って私は変わった。お前らも変わろうぜ！」

　ある程度鳴らすと、ドラムのスティックをアレン達に向けてくる。言い放つ女にアレンは反応に困る。駄目だ。話が通じそうにない。

「おっと、言わなきゃいけないことがあった」

「言わなきゃいけないこと？」

　女は頭を掻きながら、ドラムを恥ずかしそうに叩き、失態を思い出す。

「第3の試練の始まりだぜ」

　女の行動は非常にシンプルだった。ドラムを叩く。ただそれだけだった。それだけのことなのに叩くたびに電撃が走る。四方八方に伸びる電撃のせいで近付くことができない。そこで女は初めて横に付けられたドラムを叩く。叩く箇所は全部で6つ。今まで3つしか叩いていなかったが、4番目を解放する。目に見えない空気の塊が打ち出される。見えないので気付けていない。空気の塊は見事にアストロに命中し、体をくの字に曲げる。

「なっ！？」

　レイドはすかさず、アストロとエンドローゼの前に楯を構える。アレンまではカバーしきれない。アレンは自衛しなければならなくなった。

　電撃を放射する女に痺れを切らし、アシドが突撃するが、槍が避雷針となり電撃を集め、攻撃を食らってしまう。近付くのが容易でないことを証明してしまう。

　アレンは必死に思考を巡らせる。

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17．試練－3－

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