メグルユメ
15.試練-2-
アレン達が2階に上がると金髪ロングの少女がいた。フリフリのドレスを身に着けており、明らかにここにいるような恰好をしていない。しかし、この部屋にはこの少女しかいない。少女は遠めに見ても分かるくらいに不機嫌そうに頬を膨らませていた。
「ドンドンしすぎなのよ!気持ちよく寝てたのに起こされちゃったわ!どうしてくれるのよ!」
”そう”ではなく不機嫌そのものだった。
「まぁ、いいわ。どうせアンタらが来たら起きるつもりだったし、じゃあ、2つ目の試練を始めましょう」
少女の瞳がネコ科の生き物のように細まる。その現象は明らかに人間のものではない。そして、可視化されたそのオーラも。
少女はマントを翻しながら地面を殴る。少女を中心に闇魔術の波動が同心円状に広がっていく。この波動はいわば風のようなものだ。躱しようのない空気の振動が押し寄せる。少女は一気に跳躍し、アレンに肉薄する。
速い。目で追うのが精いっぱいだ。
「アンタ、気持ち悪いのよ」
何の飾り気のないシンプルな罵倒にアレンは多少なりとも傷つく。
少女の手刀がアレンの右目の上を斬る。目蓋が斬られ、眼が血に濡れる。反応が遅れたなりに顔を背けた結果だ。
「っ!」
「見えてるっつーの!」
無言で近付いたシキの気配に気付いたらしく、振り下ろされるナイフを持った腕を掴み取る。両手の自由が消えた少女の前ではレイドが大剣を振り上げる。
「ヌゥン!」
「何の!」
振り下ろされる大剣よりも速く、レイドの胸元に少女は左脚近づけていく。そして声を出しながらレイドを蹴飛ばし、その足を着地させる流れのまま前傾姿勢をとり、両手に摑んだものを投げ飛ばす。コストイラは投げるモーションが終わる前に後ろから斬りにかかる。
少女は地に近付き、自らを石ころのようにし、コストイラを躓かせる。少女は立ち上がると同時にコストイラの脚を待ち上げる。刀の一撃は地面に当たり、コストイラ自身は顔面着地に成功する。無防備に晒されるコストイラの腹を殴り、仰向けに寝かせる。
周りに人がいなくなり、誤射の心配がなくなったアストロは雷を放つ。雷が走る。しかし、少女はそれ以上の威力の魔術を放ち、アストロは風圧に負け、転がり壁に背をつける。雷は放射状に消えてなくなった。
アレンは流れる血に侵された右目を押さえながら、左目で少女を探る。何か見つけなくては。何か逆転できるもの。弱点なんて高望みはしない。ただ、一瞬でも逆転できる手を。
「アンタ。また観ているわね」
少女はアレンを睨め付ける。再びアレンの眼を狙うのは明白だ。アレンは目を張る。今度は目を逸らさない。少女の手刀は再びアレンの眼に向かう。今度は左目に。
「ドンドンしすぎなのよ!気持ちよく寝てたのに起こされちゃったわ!どうしてくれるのよ!」
”そう”ではなく不機嫌そのものだった。
「まぁ、いいわ。どうせアンタらが来たら起きるつもりだったし、じゃあ、2つ目の試練を始めましょう」
少女の瞳がネコ科の生き物のように細まる。その現象は明らかに人間のものではない。そして、可視化されたそのオーラも。
少女はマントを翻しながら地面を殴る。少女を中心に闇魔術の波動が同心円状に広がっていく。この波動はいわば風のようなものだ。躱しようのない空気の振動が押し寄せる。少女は一気に跳躍し、アレンに肉薄する。
速い。目で追うのが精いっぱいだ。
「アンタ、気持ち悪いのよ」
何の飾り気のないシンプルな罵倒にアレンは多少なりとも傷つく。
少女の手刀がアレンの右目の上を斬る。目蓋が斬られ、眼が血に濡れる。反応が遅れたなりに顔を背けた結果だ。
「っ!」
「見えてるっつーの!」
無言で近付いたシキの気配に気付いたらしく、振り下ろされるナイフを持った腕を掴み取る。両手の自由が消えた少女の前ではレイドが大剣を振り上げる。
「ヌゥン!」
「何の!」
振り下ろされる大剣よりも速く、レイドの胸元に少女は左脚近づけていく。そして声を出しながらレイドを蹴飛ばし、その足を着地させる流れのまま前傾姿勢をとり、両手に摑んだものを投げ飛ばす。コストイラは投げるモーションが終わる前に後ろから斬りにかかる。
少女は地に近付き、自らを石ころのようにし、コストイラを躓かせる。少女は立ち上がると同時にコストイラの脚を待ち上げる。刀の一撃は地面に当たり、コストイラ自身は顔面着地に成功する。無防備に晒されるコストイラの腹を殴り、仰向けに寝かせる。
周りに人がいなくなり、誤射の心配がなくなったアストロは雷を放つ。雷が走る。しかし、少女はそれ以上の威力の魔術を放ち、アストロは風圧に負け、転がり壁に背をつける。雷は放射状に消えてなくなった。
アレンは流れる血に侵された右目を押さえながら、左目で少女を探る。何か見つけなくては。何か逆転できるもの。弱点なんて高望みはしない。ただ、一瞬でも逆転できる手を。
「アンタ。また観ているわね」
少女はアレンを睨め付ける。再びアレンの眼を狙うのは明白だ。アレンは目を張る。今度は目を逸らさない。少女の手刀は再びアレンの眼に向かう。今度は左目に。
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