メグルユメ
12.行きたくない洞窟
「というわけでこの洞窟を通ります」
「何がというわけで、に繋がったんだ?」
アレン達はこの日五重の塔を目指していた。西に一直線に進み、中洲への橋を渡らず南に進み続ける。ある程度まで進むと西側に洞窟が見えてくる。ここで冒頭の発言に繋がった。
「洞窟にいい思い出がない」
レイドの一言に皆が同意した。そして同時にこんなことも考える。今回も嫌な予感しかしない。
中は、今まで入ってきた洞窟の中でも断トツで洞窟だった。意味不明かもしれないが、洞窟と言われて思い起こされる洞窟のイメージそのままの洞窟だった。洞窟の絵はここがモデルなのではないだろうか。装飾の一切がなく、ごつごつとした岩肌のみの壁と床が出迎えた。
今までは内部の状態から住まう魔物の属性が想像できたが、今回は困難だ。岩肌だから地属性だろうか。それとも暗いから闇属性だろうか。
悩むアレンの前に答えが現れる。ホロゴースト。闇属性か。ホロゴーストが回転し、パワーを溜め始めるが、アシドが地面の石を弾き飛ばし、一匹に命中させる。ホロゴーストたちの間に動揺が走る。攻撃が中断させられたが諦めず、もう一度回転し始める。しかし、コストイラの刀がそれを許さない。
「どこにでもいんのか、こいつらは」
それだけこの地で死んでいったヒト達がいるのだろう。他にどんな魔物が出てくるのか考える。ゾンビプリズナー、ミニデーモン、フラップゴースト。何が出てきても基本大丈夫だが、洞窟という立地を思うと、フラップゴーストが一番面倒か。
パサ。
布が落ちる音がした。嫌な思い出が蘇る。過去の記憶の中なのに鮮明に思い起こさせられる閃光と轟音がそこに迫っていた。
ここは闇属性の洞窟ではない?
「伏せろ!」
大爆発が起きた。
寸前にかけられたレイドの号令により、視界を閃光により失うことが避けられた。レイドは楯で爆発の大半を防いだ。骸骨の布が変なことをする前に逃げなければ。
「早くここから離れましょう」
提案すると、前回この後にステンノ―に襲撃されたことを思い出したのか、すぐさま行動に移す。
「本当にたどり着くまでも試練じゃないか」
コストイラがはっきりと愚痴を溢す。ある程度離れたところに光が見えた。出口だ。
「抜けたらいったん休憩を入れましょう」
「先に行って安全を確保してくる」
そう言うとコストイラが先行する。脇道から光が飛び出してきた。光を纏った赤髪の、薄羽を生やした少女が剣を振り上げていた。咄嗟に刀を抜き、振り下ろされる右の剣に合わせる。刃が滑り、金属の擦れ合う音を響かせる。少女は一回転をし、今度は左の剣を振り下ろすが、再び刀を合わせられる。再び刃を滑らせ少女は一回転、両の剣を振り下ろす。コストイラは三度刀を合わせ、猛攻を防ぎきる。互いの刃を重ね、鬩ぎ合った後、コストイラが力でもって弾き飛ばす。
少女は羽を細かく動かし、空中で制御すると、自身の体を軸に回転し、攻撃に転じる。コストイラは刀を合わせ、回転に逆らうことなく、風に吹かれた火先のように動く。立ち位置が入れ替わり、コストイラが攻撃を開始する。
疾走するコストイラに剣を横薙ぐが、コストイラはその下を潜り抜けてみせ、斬り上げる。少女は魔素を振り撒きながら一回転し、地に伏せ、息を引き取る。
「休憩の場所は確保できたんじゃないか?」
コストイラは刀に炎を纏わせつつ、嘆息した。
「何がというわけで、に繋がったんだ?」
アレン達はこの日五重の塔を目指していた。西に一直線に進み、中洲への橋を渡らず南に進み続ける。ある程度まで進むと西側に洞窟が見えてくる。ここで冒頭の発言に繋がった。
「洞窟にいい思い出がない」
レイドの一言に皆が同意した。そして同時にこんなことも考える。今回も嫌な予感しかしない。
中は、今まで入ってきた洞窟の中でも断トツで洞窟だった。意味不明かもしれないが、洞窟と言われて思い起こされる洞窟のイメージそのままの洞窟だった。洞窟の絵はここがモデルなのではないだろうか。装飾の一切がなく、ごつごつとした岩肌のみの壁と床が出迎えた。
今までは内部の状態から住まう魔物の属性が想像できたが、今回は困難だ。岩肌だから地属性だろうか。それとも暗いから闇属性だろうか。
悩むアレンの前に答えが現れる。ホロゴースト。闇属性か。ホロゴーストが回転し、パワーを溜め始めるが、アシドが地面の石を弾き飛ばし、一匹に命中させる。ホロゴーストたちの間に動揺が走る。攻撃が中断させられたが諦めず、もう一度回転し始める。しかし、コストイラの刀がそれを許さない。
「どこにでもいんのか、こいつらは」
それだけこの地で死んでいったヒト達がいるのだろう。他にどんな魔物が出てくるのか考える。ゾンビプリズナー、ミニデーモン、フラップゴースト。何が出てきても基本大丈夫だが、洞窟という立地を思うと、フラップゴーストが一番面倒か。
パサ。
布が落ちる音がした。嫌な思い出が蘇る。過去の記憶の中なのに鮮明に思い起こさせられる閃光と轟音がそこに迫っていた。
ここは闇属性の洞窟ではない?
「伏せろ!」
大爆発が起きた。
寸前にかけられたレイドの号令により、視界を閃光により失うことが避けられた。レイドは楯で爆発の大半を防いだ。骸骨の布が変なことをする前に逃げなければ。
「早くここから離れましょう」
提案すると、前回この後にステンノ―に襲撃されたことを思い出したのか、すぐさま行動に移す。
「本当にたどり着くまでも試練じゃないか」
コストイラがはっきりと愚痴を溢す。ある程度離れたところに光が見えた。出口だ。
「抜けたらいったん休憩を入れましょう」
「先に行って安全を確保してくる」
そう言うとコストイラが先行する。脇道から光が飛び出してきた。光を纏った赤髪の、薄羽を生やした少女が剣を振り上げていた。咄嗟に刀を抜き、振り下ろされる右の剣に合わせる。刃が滑り、金属の擦れ合う音を響かせる。少女は一回転をし、今度は左の剣を振り下ろすが、再び刀を合わせられる。再び刃を滑らせ少女は一回転、両の剣を振り下ろす。コストイラは三度刀を合わせ、猛攻を防ぎきる。互いの刃を重ね、鬩ぎ合った後、コストイラが力でもって弾き飛ばす。
少女は羽を細かく動かし、空中で制御すると、自身の体を軸に回転し、攻撃に転じる。コストイラは刀を合わせ、回転に逆らうことなく、風に吹かれた火先のように動く。立ち位置が入れ替わり、コストイラが攻撃を開始する。
疾走するコストイラに剣を横薙ぐが、コストイラはその下を潜り抜けてみせ、斬り上げる。少女は魔素を振り撒きながら一回転し、地に伏せ、息を引き取る。
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コストイラは刀に炎を纏わせつつ、嘆息した。
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