メグルユメ
10.いかさまの代償
勝負を有耶無耶にせんとする男の指示に、冒険者達は刃を解き放つ。
アストロは指輪もネックレスもしているので魔術を放つことに問題は場所以外にはないだろう。コストイラとアシドは武器を持ち合わせていないがテンションが高い。アレンは解体用のナイフしか手元にない。
「さぁ、やっちまえ!」
冒険者達の影から市場でも見た魔物、ヘビーアーマーが割って出てくる。
『オレの出番か』
低く唸る竜はゆっくりとこちらに近付いてくる。場所が悪いのは相手も同じ。この狭い酒場ではハルバードは振るいづらい。下ろされたハルバードには威力がなく、簡単に躱したアシドは両足で飛び蹴りをかます。よろめいたヘビーアーマーの足元をコストイラが払うと、卓上を壊しながら倒れこむ。
『ヌグゥ』
「何をしているんだ!早く殺れ!」
男はヘビーアーマーの兜を叩き、命令する。
「おいおい、テメェで戦えよ。ゲームもテメェの手じゃ戦わねェし、全部人任せかよ」
「そ、それは」
コストイラの煽りに言い淀む。男の反論はヘビーアーマーが起き上がったことで遮られる。
この酒場に集まっている客は誰もが中堅だと主張する格好をしており、人生の苦労を顔に刻んでいた。
しかし、実際のところは五重塔の1階の試練も突破していない落ちこぼればかりなのだ。さらに長い間、簡単で冒険しなくていい依頼しかこなしてこなかった連中だ。
常に戦いに身を置くアシドとコストイラの敵ではない。ヘビーアーマーが起き上がる前に片づけてしまった。
「くそ、役立たずどもめ」
男がぽつりと悪態をつくと、その腰の剣を抜く。次の瞬間、アストロの右人差し指が光った。光は真っ直ぐにヘビーアーマーへ向かい、眼を潰す。物理的に。
『グぉおおオオオ!!』
ヘビーアーマーの眼窩から血が溢れ出していく。
「終わりだな」
アシドはヘビーアーマーのハルバードを手に取る。アシドは壊れた玩具のように叫ぶヘビーアーマーの首を切り落とす。
「これでお終いだ」
「いいや、こいつらが勝手にやったことだ。私はまだ終わっていない。いかさまだってそうだ。こいつらが持ち掛けてきたんだ。私は断り切れなかっただけなんだ。私は悪くない。小さい頃だって面倒を見てやっただろ」
男は必死に訴える。
「私は終わっていない」
「そうやって死ぬまで言い訳してろ」
コストイラは拳を握り締めた。
その拳が止められた。止めたのはコストイラよりも刀の似合いそうな東方の装いの男だ。
「まだ終わっていない。私にはまだ用心棒が残っているのだから!!」
東方の装いの男はコストイラの顔面を殴り、テーブルに突っ込ませた。
アストロは指輪もネックレスもしているので魔術を放つことに問題は場所以外にはないだろう。コストイラとアシドは武器を持ち合わせていないがテンションが高い。アレンは解体用のナイフしか手元にない。
「さぁ、やっちまえ!」
冒険者達の影から市場でも見た魔物、ヘビーアーマーが割って出てくる。
『オレの出番か』
低く唸る竜はゆっくりとこちらに近付いてくる。場所が悪いのは相手も同じ。この狭い酒場ではハルバードは振るいづらい。下ろされたハルバードには威力がなく、簡単に躱したアシドは両足で飛び蹴りをかます。よろめいたヘビーアーマーの足元をコストイラが払うと、卓上を壊しながら倒れこむ。
『ヌグゥ』
「何をしているんだ!早く殺れ!」
男はヘビーアーマーの兜を叩き、命令する。
「おいおい、テメェで戦えよ。ゲームもテメェの手じゃ戦わねェし、全部人任せかよ」
「そ、それは」
コストイラの煽りに言い淀む。男の反論はヘビーアーマーが起き上がったことで遮られる。
この酒場に集まっている客は誰もが中堅だと主張する格好をしており、人生の苦労を顔に刻んでいた。
しかし、実際のところは五重塔の1階の試練も突破していない落ちこぼればかりなのだ。さらに長い間、簡単で冒険しなくていい依頼しかこなしてこなかった連中だ。
常に戦いに身を置くアシドとコストイラの敵ではない。ヘビーアーマーが起き上がる前に片づけてしまった。
「くそ、役立たずどもめ」
男がぽつりと悪態をつくと、その腰の剣を抜く。次の瞬間、アストロの右人差し指が光った。光は真っ直ぐにヘビーアーマーへ向かい、眼を潰す。物理的に。
『グぉおおオオオ!!』
ヘビーアーマーの眼窩から血が溢れ出していく。
「終わりだな」
アシドはヘビーアーマーのハルバードを手に取る。アシドは壊れた玩具のように叫ぶヘビーアーマーの首を切り落とす。
「これでお終いだ」
「いいや、こいつらが勝手にやったことだ。私はまだ終わっていない。いかさまだってそうだ。こいつらが持ち掛けてきたんだ。私は断り切れなかっただけなんだ。私は悪くない。小さい頃だって面倒を見てやっただろ」
男は必死に訴える。
「私は終わっていない」
「そうやって死ぬまで言い訳してろ」
コストイラは拳を握り締めた。
その拳が止められた。止めたのはコストイラよりも刀の似合いそうな東方の装いの男だ。
「まだ終わっていない。私にはまだ用心棒が残っているのだから!!」
東方の装いの男はコストイラの顔面を殴り、テーブルに突っ込ませた。
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