メグルユメ
6.人魚の洞窟・魔王軍の幹部
橋を渡り、目的地に設定していた人魚の洞窟に辿り着く。洞窟には木の板が立てかけており、滲んだ文字で人魚の洞窟と書かれている。
「ほらさっさと行こうぜ」
さっきからアシドのテンションがおかしい。電撃を浴びてちょっと変わってしまったようだ。アストロを見ると一過性のものだからと肩を竦められた。一過性なら寝れば治るか。少しの間だと割り切ってしまうことにしよう。面倒なくらい高いテンションだが、まぁいいか。空回りしなければいいが。
中に入ると水棲の魔物の洞窟らしく、水蛇のヴァイパーがいた。
「わははは!どけどけどけ!」
高らかに笑いながらアシドが進軍していく。
「ほんとに一過性なんですよね」
「前にやった時はそうだったわ」
「確かにやったな。思い出したわ。普通に鬼畜だったな」
アストロが怖いことを言ったが、コストイラも認めるひどいものだったようだ。
「またあいつか」
目の前に人魚が現れる。ライトグリーンの鱗にオレンジの瞳が映える人魚は叫び声を上げた。人魚の叫び声はマンドラゴラと違い耳を塞ぐほどの大きさでも威力でもない。真に怖いのは歌声の方だ。ヒトを魅了し催眠する。今回は叫び声だ。洞窟内では反響しマンドラゴラを超える音量に達していた。凄すぎて目の前がチカチカしてきた。
「その口を閉じろ!」
アシドは槍を投げつけ声を途切れさせる。口内を貫く槍を無視して歌おうとする。しかし、無理矢理にでも作った隙を逃すはずがない。コストイラは昔から持っている刀を振るう。
「やっぱ、手に馴染んだものだな。店のものも良かったがオレにはこっちの方があっている」
コストイラは満足そうに刀を握り締めていた。
金髪をした青年が青色の髪をした青年の前に座る。座るといっても低めの棚に腰掛けるようにしているのだ。
「よぉ、カンジャさん。アンタ、勇者とか言われている奴らにあったんだろ」
話しかけられたカンジャは研究を中断させることなく、さらに目線を向けることすらしない。
『何の用だい。ヴェスタ君?私はさぁ、言ったよね。皆の前で。研究の最中では気が散るからさ、話しかけないでほしいってさ』
カンジャは苛立ちを隠すことなく露わにする。
「そんなこと言わないでくれよ、カンジャさん。勇者と言えばオレらの敵じゃないか。情報は共有しようぜ」
『それほどの仲になりたければ相手の意を酌むことだね。忖度じゃないよ。こういうのはね斟酌って言うんだよ。今の君には足りないものだね。だから君には教えたくはないよ。負けてしまえ』
「ハハハ、何を言ってるんだい?正義は負けないんだぜ?」
へらへらと飄々としているヴェスタに舌打ちをして答えるが、当人は依然としてふざけている態度だった。カンジャはここでようやくヴェスタの顔を見る。そこでようやく気が付いた。ヴェスタは本気だ。本気で言っている。
『はぁ、面倒なんだよ。分かるかい?ヴェスタ君?』
それでもカンジャはスタンスを崩さない。
『私はね、研究に没頭していたんだよ。今は5分ほど放置している時間帯だからこうして君とも会話してあげているけどさぁ、私はね、静かに、1人で、研究していたいんだ。それにね』
「分かったよ。今回は撤退するよ」
『今、私が話していたよね』
カンジャは話を遮られてヴェスタを睨む。ヴェスタは両手を上げて後ろに下がる。
「次は暇そうなときに来させてもらおう」
『…………そうしておけ』
ヴェスタが去った後、カンジャは新たな魔物に手を伸ばし、解剖を始める。
「ほらさっさと行こうぜ」
さっきからアシドのテンションがおかしい。電撃を浴びてちょっと変わってしまったようだ。アストロを見ると一過性のものだからと肩を竦められた。一過性なら寝れば治るか。少しの間だと割り切ってしまうことにしよう。面倒なくらい高いテンションだが、まぁいいか。空回りしなければいいが。
中に入ると水棲の魔物の洞窟らしく、水蛇のヴァイパーがいた。
「わははは!どけどけどけ!」
高らかに笑いながらアシドが進軍していく。
「ほんとに一過性なんですよね」
「前にやった時はそうだったわ」
「確かにやったな。思い出したわ。普通に鬼畜だったな」
アストロが怖いことを言ったが、コストイラも認めるひどいものだったようだ。
「またあいつか」
目の前に人魚が現れる。ライトグリーンの鱗にオレンジの瞳が映える人魚は叫び声を上げた。人魚の叫び声はマンドラゴラと違い耳を塞ぐほどの大きさでも威力でもない。真に怖いのは歌声の方だ。ヒトを魅了し催眠する。今回は叫び声だ。洞窟内では反響しマンドラゴラを超える音量に達していた。凄すぎて目の前がチカチカしてきた。
「その口を閉じろ!」
アシドは槍を投げつけ声を途切れさせる。口内を貫く槍を無視して歌おうとする。しかし、無理矢理にでも作った隙を逃すはずがない。コストイラは昔から持っている刀を振るう。
「やっぱ、手に馴染んだものだな。店のものも良かったがオレにはこっちの方があっている」
コストイラは満足そうに刀を握り締めていた。
金髪をした青年が青色の髪をした青年の前に座る。座るといっても低めの棚に腰掛けるようにしているのだ。
「よぉ、カンジャさん。アンタ、勇者とか言われている奴らにあったんだろ」
話しかけられたカンジャは研究を中断させることなく、さらに目線を向けることすらしない。
『何の用だい。ヴェスタ君?私はさぁ、言ったよね。皆の前で。研究の最中では気が散るからさ、話しかけないでほしいってさ』
カンジャは苛立ちを隠すことなく露わにする。
「そんなこと言わないでくれよ、カンジャさん。勇者と言えばオレらの敵じゃないか。情報は共有しようぜ」
『それほどの仲になりたければ相手の意を酌むことだね。忖度じゃないよ。こういうのはね斟酌って言うんだよ。今の君には足りないものだね。だから君には教えたくはないよ。負けてしまえ』
「ハハハ、何を言ってるんだい?正義は負けないんだぜ?」
へらへらと飄々としているヴェスタに舌打ちをして答えるが、当人は依然としてふざけている態度だった。カンジャはここでようやくヴェスタの顔を見る。そこでようやく気が付いた。ヴェスタは本気だ。本気で言っている。
『はぁ、面倒なんだよ。分かるかい?ヴェスタ君?』
それでもカンジャはスタンスを崩さない。
『私はね、研究に没頭していたんだよ。今は5分ほど放置している時間帯だからこうして君とも会話してあげているけどさぁ、私はね、静かに、1人で、研究していたいんだ。それにね』
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カンジャは話を遮られてヴェスタを睨む。ヴェスタは両手を上げて後ろに下がる。
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