メグルユメ
8.激闘必死の争奪戦
施設の中は想像よりも広かった。
その後も数個の空の宝箱、数か所の行き止まり。そして数十体の魔物を乗り越えようやく出口に辿り着いた。
「ぬぁ~ん。ようやく出口だぜ」
「夕日が綺麗に見えるよ」
山の向こうに陽が沈むのを眺めながら、伸びをする。すでに夕刻ということはあと約1時間で日は完全に落ちてしまうだろう。ピクリとアレンの体が揺れた。
「気付いたか?」
「え?あ、はい。何かが光った気がします。2人ですかね」
「残念。オレは5人だ」
「え!?」
「しっ。でも、まだだ。もう少し引き付ける」
アレンは何かが砂の中で光を反射しているのを視認した。コストイラは自身の野生の勘で人数を割り出す。その人数の多さにアレンが驚くが、コストイラは人差し指を口に当て、静かにするように指示した。
夕日を楽しむのもほどほどに。歩き始め階段を下りていくと、視線も追ってくる。明らかにこちらを狙っている。
辺りは9割が砂だ。残り1割の木々に身を隠すのはきついだろう。コストイラの言っていた5人は全員が砂の中にいるのだろう。
出口から見えていた森へ向かおうと歩いていると、通り過ぎた砂の中から人が飛び出してきた。逆手に持ったナイフで刺しにかかる。しかし、標的にされたシキの姿が掻き消える。しゃがみ、敵の下に潜り込み、ナイフを胸に刺し入れ、流れるままに円に舞い、砂地に叩きつける。シキはさらにナイフを捻り、抜き取る。
「早速か。もうちょい様子見してくると思ったんだけどな」
アシドは辺りを見渡し、次に備える。
「砂の中、あと5人」
シキは静かに残りの敵の数を割り出す。コストイラと数が違う。アレンがコストイラを見ると、コストイラは片手を頭に置き舌を出していた。お茶目で済まそうとしている。まぁ、対処できればいいか。
ボバッと、目の前に敵が出現する。なぜ目の前にと考えようとした瞬間、砂の壁が出来上がる。壁の向こうから何か来る。コストイラが目の前の敵を切り捨てるが、誰も来なかった。壁が崩れ、視界を遮るものがなくなり敵の意図に気付く。彼らは逃げていた。逃げるための時間稼ぎだったのだ。直感で分かる。このまま逃がせば面倒なことになる。
アレンが矢を番えたのを見て意図を察したのか、全員が攻撃態勢に入る。逃げているのは4人。思いを込めて放つ矢は期待に応え、1人の男の元に辿り着くが、ナイフで落とされた。炎の塔が後ろ3人を巻き込み天へと昇る。
「これ以上は射程範囲外」
短くアストロが告げる。1人を取り逃がしてしまう。弓矢は魔術よりも射程範囲が短い。魔術が届かないのならば弓矢が届くはずがない。
2人は燃えて死んでしまったが、1人は幸いにも生きていた。
「何でオレたちを襲ったんだよ。言え」
「言うかよ。ば~~か」
コストイラが生き残った一人のマウントポジションを取り、刃物を突き付け尋問する。しかし、女はニヤリと笑うと奥歯をガキリと噛み締めた。
白瓏石は一般的に手に入る割には様々な用途で使われる。例えば、そう爆弾とか。白瓏石で作られる爆弾は威力もそこそこであり、手を一本なくすほどの威力で、当たりどころを考えなければまず死なない。
では、口の中ならどうだ。
コストイラの目の前で敵の顔が爆発した。コストイラの体や顔には女の肉片や唾液がこびり付く。
「ひゃ~~っ!?」
「自爆だと?」
目の前の凄惨な現場にエンドローゼが悲鳴を上げ、コストイラは頬を拭いながら眉を顰める。
アレンは森の方を見る。取り逃がした1人が入っていった森の中は明らかに危険だ。
「回り道が必要ですね」
「その前に休みましょう」
アストロの提案にアレンは我に返る。そういえばもうすぐ夜か。
その後も数個の空の宝箱、数か所の行き止まり。そして数十体の魔物を乗り越えようやく出口に辿り着いた。
「ぬぁ~ん。ようやく出口だぜ」
「夕日が綺麗に見えるよ」
山の向こうに陽が沈むのを眺めながら、伸びをする。すでに夕刻ということはあと約1時間で日は完全に落ちてしまうだろう。ピクリとアレンの体が揺れた。
「気付いたか?」
「え?あ、はい。何かが光った気がします。2人ですかね」
「残念。オレは5人だ」
「え!?」
「しっ。でも、まだだ。もう少し引き付ける」
アレンは何かが砂の中で光を反射しているのを視認した。コストイラは自身の野生の勘で人数を割り出す。その人数の多さにアレンが驚くが、コストイラは人差し指を口に当て、静かにするように指示した。
夕日を楽しむのもほどほどに。歩き始め階段を下りていくと、視線も追ってくる。明らかにこちらを狙っている。
辺りは9割が砂だ。残り1割の木々に身を隠すのはきついだろう。コストイラの言っていた5人は全員が砂の中にいるのだろう。
出口から見えていた森へ向かおうと歩いていると、通り過ぎた砂の中から人が飛び出してきた。逆手に持ったナイフで刺しにかかる。しかし、標的にされたシキの姿が掻き消える。しゃがみ、敵の下に潜り込み、ナイフを胸に刺し入れ、流れるままに円に舞い、砂地に叩きつける。シキはさらにナイフを捻り、抜き取る。
「早速か。もうちょい様子見してくると思ったんだけどな」
アシドは辺りを見渡し、次に備える。
「砂の中、あと5人」
シキは静かに残りの敵の数を割り出す。コストイラと数が違う。アレンがコストイラを見ると、コストイラは片手を頭に置き舌を出していた。お茶目で済まそうとしている。まぁ、対処できればいいか。
ボバッと、目の前に敵が出現する。なぜ目の前にと考えようとした瞬間、砂の壁が出来上がる。壁の向こうから何か来る。コストイラが目の前の敵を切り捨てるが、誰も来なかった。壁が崩れ、視界を遮るものがなくなり敵の意図に気付く。彼らは逃げていた。逃げるための時間稼ぎだったのだ。直感で分かる。このまま逃がせば面倒なことになる。
アレンが矢を番えたのを見て意図を察したのか、全員が攻撃態勢に入る。逃げているのは4人。思いを込めて放つ矢は期待に応え、1人の男の元に辿り着くが、ナイフで落とされた。炎の塔が後ろ3人を巻き込み天へと昇る。
「これ以上は射程範囲外」
短くアストロが告げる。1人を取り逃がしてしまう。弓矢は魔術よりも射程範囲が短い。魔術が届かないのならば弓矢が届くはずがない。
2人は燃えて死んでしまったが、1人は幸いにも生きていた。
「何でオレたちを襲ったんだよ。言え」
「言うかよ。ば~~か」
コストイラが生き残った一人のマウントポジションを取り、刃物を突き付け尋問する。しかし、女はニヤリと笑うと奥歯をガキリと噛み締めた。
白瓏石は一般的に手に入る割には様々な用途で使われる。例えば、そう爆弾とか。白瓏石で作られる爆弾は威力もそこそこであり、手を一本なくすほどの威力で、当たりどころを考えなければまず死なない。
では、口の中ならどうだ。
コストイラの目の前で敵の顔が爆発した。コストイラの体や顔には女の肉片や唾液がこびり付く。
「ひゃ~~っ!?」
「自爆だと?」
目の前の凄惨な現場にエンドローゼが悲鳴を上げ、コストイラは頬を拭いながら眉を顰める。
アレンは森の方を見る。取り逃がした1人が入っていった森の中は明らかに危険だ。
「回り道が必要ですね」
「その前に休みましょう」
アストロの提案にアレンは我に返る。そういえばもうすぐ夜か。
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