メグルユメ
5.秘宝の番人
足音だけが木霊する。
異様な空気が満ちていた。
砂漠の中に遺跡があるというのはそれなりに有名な話である。しかし、いつからあるのか、どうしてあるのか、見当もつかない。遺跡の発見をした者はついぞ答えを出せずに亡くなった。そして、未だに答えが分かっていない。ちなみにだが、アレン達は外からこの施設を見たわけではないので自分たちがいる場所がどこなのか分かっていない。砂漠内なので、もしかしたらとは思っている。
ミミックとは宝箱に憑く霊の魔物である。つまり、元々ある宝箱に憑くのだ。宝箱は魔物とは関係ない。ここには宝物が設置されていたことになる。何故か設置されていたのだ。
まさか、訓練場だろうか。
世界には訓練場と呼ばれている場所がある。いくらかの魔物を調教、もしくは選別して、新米の冒険者と戦わせ、経験値にさせる。その鞭とは反対に飴として宝箱が用意されている。そう考えると、ここは訓練場なのかもしれない。そう考えていると、アストロが口を開いた。
「ここって、もしかしてピラミッドなんじゃないかしら」
ピラミッドとは砂漠内に存在する特有の施設だ。というかナカウまでの道にある砂漠にしかない。その可能性もあるのだが、ピラミッドの内部に何があるのか分からないので確信が持てない。
「ピラミッドって何の施設なんだ?」
「さぁ?」
「え?」
「何でピラミッドだと思ったんですか?」
「だって、砂漠内だし」
アストロの言ったことに関して何も疑問が湧かない。確かにそうだと思ったからだ。ピラミッドが何なのか分からないので宝箱があっても何のためなのかが分からない。謎が深まってしまった。
『何者だ?』
声が聞こえた。とても滑らかな言語だ。使い慣れているといってもいい。そもそも人の言葉を話せる魔物自体が珍しく、というより存在自体が怪しまれていた。そのはずなのにこう何度も出会っていると疑わしくなってくる。何が?世界が。
青黒いローブを着た肌を一切見せない魔物がいた。フードの奥からはゾンビのように爛れた顔と赤く鋭い眼光を覗いている。
『何をしている?』
とても困る質問だ。何をしているかと言われれば迷子なので出口を探しているなのだ。かといって、どうやってここに来たかを考えれば、破壊なので敵対してしまいそうなのだ。
「いえ、その、僕たちも分かってなくて、出口を探しているんですけど」
滅茶苦茶濁してしまったが、大丈夫だろうか。これではまるで出口を探していること以外にも目的があるようではないか。
『……出口なら案内してやる。付いて来い』
自分がついていれば変なことはされないだろうと思ったのだろう。魔物は提案し、歩き始める。相手が魔物とはいえ、ここは従うべきだろう。全員とアイコンタクトをとると、互いに頷きあう。たとえ罠だとしても進まないよりはマシだろう。
このハイウィザードはこの施設において秘宝の番人と呼ばれている。この施設は訓練場で間違いないが、ピラミッドでもある。長らく放置され、変異してしまっただけだ。長年魔素を溜め込み続けたハイウィザードは言語を習得し、秘宝は進化を遂げた。
渡すべきは辿り着けた者のみ。しかし、辿り着こうとする者は排除する。
では、この者たちはどちらだろう。ここに来た理由をはぐらかした。なぜだろう。出口を探しているなら、言い切ればよいのだ。なぜはぐらかしたのだろう。
ハイウィザードの思考が加速していく。
異様な空気が満ちていた。
砂漠の中に遺跡があるというのはそれなりに有名な話である。しかし、いつからあるのか、どうしてあるのか、見当もつかない。遺跡の発見をした者はついぞ答えを出せずに亡くなった。そして、未だに答えが分かっていない。ちなみにだが、アレン達は外からこの施設を見たわけではないので自分たちがいる場所がどこなのか分かっていない。砂漠内なので、もしかしたらとは思っている。
ミミックとは宝箱に憑く霊の魔物である。つまり、元々ある宝箱に憑くのだ。宝箱は魔物とは関係ない。ここには宝物が設置されていたことになる。何故か設置されていたのだ。
まさか、訓練場だろうか。
世界には訓練場と呼ばれている場所がある。いくらかの魔物を調教、もしくは選別して、新米の冒険者と戦わせ、経験値にさせる。その鞭とは反対に飴として宝箱が用意されている。そう考えると、ここは訓練場なのかもしれない。そう考えていると、アストロが口を開いた。
「ここって、もしかしてピラミッドなんじゃないかしら」
ピラミッドとは砂漠内に存在する特有の施設だ。というかナカウまでの道にある砂漠にしかない。その可能性もあるのだが、ピラミッドの内部に何があるのか分からないので確信が持てない。
「ピラミッドって何の施設なんだ?」
「さぁ?」
「え?」
「何でピラミッドだと思ったんですか?」
「だって、砂漠内だし」
アストロの言ったことに関して何も疑問が湧かない。確かにそうだと思ったからだ。ピラミッドが何なのか分からないので宝箱があっても何のためなのかが分からない。謎が深まってしまった。
『何者だ?』
声が聞こえた。とても滑らかな言語だ。使い慣れているといってもいい。そもそも人の言葉を話せる魔物自体が珍しく、というより存在自体が怪しまれていた。そのはずなのにこう何度も出会っていると疑わしくなってくる。何が?世界が。
青黒いローブを着た肌を一切見せない魔物がいた。フードの奥からはゾンビのように爛れた顔と赤く鋭い眼光を覗いている。
『何をしている?』
とても困る質問だ。何をしているかと言われれば迷子なので出口を探しているなのだ。かといって、どうやってここに来たかを考えれば、破壊なので敵対してしまいそうなのだ。
「いえ、その、僕たちも分かってなくて、出口を探しているんですけど」
滅茶苦茶濁してしまったが、大丈夫だろうか。これではまるで出口を探していること以外にも目的があるようではないか。
『……出口なら案内してやる。付いて来い』
自分がついていれば変なことはされないだろうと思ったのだろう。魔物は提案し、歩き始める。相手が魔物とはいえ、ここは従うべきだろう。全員とアイコンタクトをとると、互いに頷きあう。たとえ罠だとしても進まないよりはマシだろう。
このハイウィザードはこの施設において秘宝の番人と呼ばれている。この施設は訓練場で間違いないが、ピラミッドでもある。長らく放置され、変異してしまっただけだ。長年魔素を溜め込み続けたハイウィザードは言語を習得し、秘宝は進化を遂げた。
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ハイウィザードの思考が加速していく。
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