メグルユメ

トラフィックライトレイディ

19.吉兆の黒猫

「あれは…………女か?」



 迷宮を2つ攻略した次の日、行動をし始めてすぐにコストイラの眼には言葉の通り女性が映っていた。どこか艶めかしく怪しげな女性だ。コストイラの趣味ではない。



 アレンだけは反応が違った。



「あなたは路地裏の」



「あぁ、君はあの時の。じゃあ街は何とかなったのか」



「知り合いか?」



 アシドはアレンに質問する。アレンは少し苦い顔をした。



「ゴブリンパレードを予知していた方です」



 アレンの回答を聞き、アシド達も苦い顔をする。



「ここまで来れるなんて成長したようだね」



 女性の顔には笑みが張り付けられている。



「あぁ、喰いがいがありそう」



 女性の体が破裂して、再び体を構築していく。



『にゃおお~~~~ん』



 人の3倍はある大きさの猫が現れた。2つの尾をゆらゆらと揺らし、餌を見据える。2つの尾はくるくると回り、右が青、左が赤に輝く。



『ジャアアア!!』



 叫ぶと、青と赤の光が発射される。



 コストイラが刀で青い光を、アシドが槍で赤い光を弾く。



「いきなりどうしたんだ。こいつ化け猫だったのか」



「知るかよ。攻撃してくるってことはあいつは敵だろ」



 コストイラは無駄なことを考えるなとばかりに意識を切り替える。



 コストイラは一気に距離を詰め、横薙ぐが、猫は飛んで躱す。アシドは追い打ちをかけようと駆け寄ると、猫はそれに合わせてカウンターの猫パンチを叩きこむ。



 コストイラが刀を振り下ろすと顔を横にし、口で刀をキャッチすると、振り回し投げ飛ばす。シキは死角を縫うように後ろへと回ると、後ろ脚を斬ろうとするが、猫はノールックの蹴りを繰り出し、シキを蹴っ飛ばす。アレンとアストロは遠距離から狙うが、軽々と避けられ、一気に距離を詰められてしまう。レイドが間に入るが、意味がなく猫パンチで飛ばされてしまう。エンドローゼなど最初から攻撃の戦力としては見られていない。



 実質全滅か。



 否、まだである。



 アレンが何とか立ち上がろうとすると、コストイラが静かに猫に近付いているのが見えた。



「ふッ!」



 別方向から声が聞こえた。



 レイドだ。



 大剣を振り上げ突進していた。猫は収納していた爪を出し応戦する。2つがぶつかり合い火花が散るが、両者の馬力が違う。レイドの体は浮き上がり、殴り飛ばされてしまう。



『あれぇ?見込み違いだったのかな?それもバレバレ』



 猫は右の前脚を振り、コストイラを叩き飛ばし、木に激突させる。



『もうちょっといい勝負ができると思ったんだけどな。まぁ、無抵抗な餌っていうのもいいかな』



 猫は倒れている者に近付こうとする。

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