メグルユメ
7.雨は上がる
雨が弱まっていく。
雨具がなくても外を出歩く人がいるくらいには弱まっていた。レイドとアレンは雨具を脱いだが、アストロとエンドローゼは脱がない。
「脱がねェの?」
「まだ降ってるし」
「そうか…」
「何?脱がせたいの?」
「うんにゃ。そういうわけじゃ」
コストイラがアストロに頬を引っ張られているが、助け舟を出すと飛び火しそうなので無視をすることにする。
ガササ。叢からトカゲのような獣が出てくる。その皮膚は一部が硬質化しており、丸まれば硬い部分を外側にしてボールのようになれるだろう。
『ヴェエニェー!』
アルマードは丸まったかと思うと、その場で高速で回転し始める。3秒後に突進が来る。レイドは真正面に立ち、アルマードの突進を受ける。一瞬受け止め切ったかと思ったが、押し切られる。
しかし、勢いは収まった。確実に回転が弱まったところを仕留めにかかる。
回転するアルマードの隙間にシキがナイフを捻じ込む。
『ヴェエエーー!』
アルマードは少し痙攣して、動かなくなる。
アルマードの殻を丁寧に剥がしていく。
「結構高値で売れるんですよ、この外皮」
「そうなの?」
「えぇ。奇麗な状態なら1枚300リルほどかしらね」
「全部丁寧に剥ぐぞ!」
コストイラはお金が絡むとはしゃぎ始める。お金が好きなのだろうか。まぁ、嫌いな人はいないか。コストイラとアレンが丁寧に剥がしていると、頭上に影が通る。
火の粉が降ってくる。
「火の粉か?」
「あれは」
「フレイムバード」
「相性最悪じゃない?」
コストイラは手で傘を作り見上げる。アレンは魔物の名前を口に出す。アストロは自分たちの戦力を冷静に分析する。遠距離攻撃ができるのが少なく、まともに空飛ぶ魔物を狙えるのはアストロとシキしかいない。アレン?矢が当たんないよ、タスケテ。
体を炎を纏ったフレイムバードと体に炎を纏ったコストイラとでは、ただ炎を交換するだけで泥仕合となってしまう。アシドと同様に近接なのでそもそもそんな戦いにもならない。
フレイムバードは中空からファイアボールを落としていく。皆が各々で避けていくが、エンドローゼはあわあわと焦るだけで動けない。レイドが気付き、エンドローゼを抱えて走り出す。
アレンは木の陰に隠れると、矢を番えフレイムバードを狙う。シーグルの時よりも集中力が増していく。
『クオ?』
フレイムバードが首を傾げ、悠々と避けていく。アレンは顔を覆った。
「何か不憫になってきたな」
「さすがの私も同情するわ。今度特訓にでも付き合ってあげようかしら」
アレンから離れた木に隠れていたコストイラとアストロはアレンに対し、溜め息を吐いた。
アストロは少量の魔力をフレイムバードに撃ち出す。魔力は無事フレイムバードに当たり、落としていく。アシドは落ちてくるフレイムバードを狙い、落下予想地点にジャストタイミングで槍を突き出す。しかし、フレイムバードは直前に羽ばたき、やり過ごす。
フレイムバードはファイアボールを撃ちだし、アシドの顔面を直撃させる。フレイムバードはオレンジの双眸を光らせ、炎の波動を生み出す。アシドは真正面から直撃する。
「アシドさんっ!」
「おうよ!」
アレンが不安から叫ぶと返す声があった。
アシドは蒼いオーラを纏いながら、炎の波を切り裂く。その穂先はフレイムバードの喉元を突き、貫いていく。
「あれ?あいつらは?」
ヴァイドは羊皮紙を手に持ったままギルド内を徘徊していた。
「アイツら?誰のことですか?」
給湯室で休憩をとっていた受付嬢のホランはカップを手に持ったまま質問する。ヴァイドは話しかけてほしそうに行き来していたので話しかけたが、正直な話ホランは面倒臭かった。というよりあいつらの検討はついているし、この後の展開も読めている。
「あいつらはあれだ。コストイラ達だ。あいつらどこに行った?最近見ないが」
「彼らでしたらもう次の街に行きましたよ」
「えっっ!!マジかよ」
ホランが用意していた答えを言うと、ヴァイドは驚いて羊皮紙を落としそうになる。
「指名依頼ですか?」
「いや、依頼のその後の話だ」
「何かクレームですか?」
「クレームとはちょっと違うな。墓場で斃れたゾンビがいなくなっていたらしい。消失かと思ったらその痕跡がなかった。どこかに行ったのではないかというのが管理人の見解だ」
「それはなんか怖いですね」
ホランはカップを口に付ける。
「私の休憩時間は終わりなので頑張ってくださいね」
ヴァイドは困ったように禿げた頭を掻いた。
『ヴァア』
『オロ』
オーウェンは目の前の少女を殺そうと鉄の輪を振るう。刃は少女の首に入るが、切り落とすことは叶わなかった。少女は首に刃を刺されたままオーウェンの顔を摑む。そのままメキャグチャとゆっくりと握りつぶす。
『ヴァア』
そのままオーウェンに牙を突き立て、噛み千切る。オーウェンの肉を飲み込むと、少女の傷が塞がっていく。
『ヴァア』
少女は会いたい人のところまで歩く。ただし、その人がどこにいるのかは分からない。
雨具がなくても外を出歩く人がいるくらいには弱まっていた。レイドとアレンは雨具を脱いだが、アストロとエンドローゼは脱がない。
「脱がねェの?」
「まだ降ってるし」
「そうか…」
「何?脱がせたいの?」
「うんにゃ。そういうわけじゃ」
コストイラがアストロに頬を引っ張られているが、助け舟を出すと飛び火しそうなので無視をすることにする。
ガササ。叢からトカゲのような獣が出てくる。その皮膚は一部が硬質化しており、丸まれば硬い部分を外側にしてボールのようになれるだろう。
『ヴェエニェー!』
アルマードは丸まったかと思うと、その場で高速で回転し始める。3秒後に突進が来る。レイドは真正面に立ち、アルマードの突進を受ける。一瞬受け止め切ったかと思ったが、押し切られる。
しかし、勢いは収まった。確実に回転が弱まったところを仕留めにかかる。
回転するアルマードの隙間にシキがナイフを捻じ込む。
『ヴェエエーー!』
アルマードは少し痙攣して、動かなくなる。
アルマードの殻を丁寧に剥がしていく。
「結構高値で売れるんですよ、この外皮」
「そうなの?」
「えぇ。奇麗な状態なら1枚300リルほどかしらね」
「全部丁寧に剥ぐぞ!」
コストイラはお金が絡むとはしゃぎ始める。お金が好きなのだろうか。まぁ、嫌いな人はいないか。コストイラとアレンが丁寧に剥がしていると、頭上に影が通る。
火の粉が降ってくる。
「火の粉か?」
「あれは」
「フレイムバード」
「相性最悪じゃない?」
コストイラは手で傘を作り見上げる。アレンは魔物の名前を口に出す。アストロは自分たちの戦力を冷静に分析する。遠距離攻撃ができるのが少なく、まともに空飛ぶ魔物を狙えるのはアストロとシキしかいない。アレン?矢が当たんないよ、タスケテ。
体を炎を纏ったフレイムバードと体に炎を纏ったコストイラとでは、ただ炎を交換するだけで泥仕合となってしまう。アシドと同様に近接なのでそもそもそんな戦いにもならない。
フレイムバードは中空からファイアボールを落としていく。皆が各々で避けていくが、エンドローゼはあわあわと焦るだけで動けない。レイドが気付き、エンドローゼを抱えて走り出す。
アレンは木の陰に隠れると、矢を番えフレイムバードを狙う。シーグルの時よりも集中力が増していく。
『クオ?』
フレイムバードが首を傾げ、悠々と避けていく。アレンは顔を覆った。
「何か不憫になってきたな」
「さすがの私も同情するわ。今度特訓にでも付き合ってあげようかしら」
アレンから離れた木に隠れていたコストイラとアストロはアレンに対し、溜め息を吐いた。
アストロは少量の魔力をフレイムバードに撃ち出す。魔力は無事フレイムバードに当たり、落としていく。アシドは落ちてくるフレイムバードを狙い、落下予想地点にジャストタイミングで槍を突き出す。しかし、フレイムバードは直前に羽ばたき、やり過ごす。
フレイムバードはファイアボールを撃ちだし、アシドの顔面を直撃させる。フレイムバードはオレンジの双眸を光らせ、炎の波動を生み出す。アシドは真正面から直撃する。
「アシドさんっ!」
「おうよ!」
アレンが不安から叫ぶと返す声があった。
アシドは蒼いオーラを纏いながら、炎の波を切り裂く。その穂先はフレイムバードの喉元を突き、貫いていく。
「あれ?あいつらは?」
ヴァイドは羊皮紙を手に持ったままギルド内を徘徊していた。
「アイツら?誰のことですか?」
給湯室で休憩をとっていた受付嬢のホランはカップを手に持ったまま質問する。ヴァイドは話しかけてほしそうに行き来していたので話しかけたが、正直な話ホランは面倒臭かった。というよりあいつらの検討はついているし、この後の展開も読めている。
「あいつらはあれだ。コストイラ達だ。あいつらどこに行った?最近見ないが」
「彼らでしたらもう次の街に行きましたよ」
「えっっ!!マジかよ」
ホランが用意していた答えを言うと、ヴァイドは驚いて羊皮紙を落としそうになる。
「指名依頼ですか?」
「いや、依頼のその後の話だ」
「何かクレームですか?」
「クレームとはちょっと違うな。墓場で斃れたゾンビがいなくなっていたらしい。消失かと思ったらその痕跡がなかった。どこかに行ったのではないかというのが管理人の見解だ」
「それはなんか怖いですね」
ホランはカップを口に付ける。
「私の休憩時間は終わりなので頑張ってくださいね」
ヴァイドは困ったように禿げた頭を掻いた。
『ヴァア』
『オロ』
オーウェンは目の前の少女を殺そうと鉄の輪を振るう。刃は少女の首に入るが、切り落とすことは叶わなかった。少女は首に刃を刺されたままオーウェンの顔を摑む。そのままメキャグチャとゆっくりと握りつぶす。
『ヴァア』
そのままオーウェンに牙を突き立て、噛み千切る。オーウェンの肉を飲み込むと、少女の傷が塞がっていく。
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