メグルユメ
17.泥の道
「で、受けてしまったと?」
「すんません」
「無下にできなかったもので」
真っ直ぐに面倒臭いという気持ちを出すアストロにコストイラが謝る。
アストロは昨日何をしていたのかを教えてくれない。言いたくないの一点張りだ。
依頼を受けた翌日、アレン達はアストロと合流して、依頼である墓場に向かっていた。
何でも、その管理されている墓場に、魔物が住み着いていて困っているらしい。何度も依頼書になっているようだが、誰も敵わなかったのだそうだ。その魔物の種類はゾンビだそう。管理者はいつからいるのかは分かっていないらしく、気が付いたらいたらしい。
ちなみに、依頼を受けた理由は無下にできなかったからではなく、金払いが良かったからだ。依頼成功した暁には路銀が目標値に達成する。つまるところ、金に眼がくらんだのだ。正直に言ったらアストロに何されるか分からない。
「ちなみに受けたのは報酬が良かったからだぞ」
「え?」
唐突にばらされてしまった。なんで?コストイラ、なんでばらしたん?
「そんなの分かってるわ」
「え?」
「それはもういいわ。でも、ここ通るの?」
「ここを通らないと、お墓まで行けません」
アストロは明らかに嫌そうな顔をしている。分かる。ここは通りたくないと思ってしまう。理由は単純だ。
明らかに依頼とは関係のない魔物が出そうな泥が、道を覆っていたからだ。
「行くしかねェか」
溜め息交じりにコストイラが泥を踏む。
全員が諦めた瞬間である。
「泥が、ったく」
「足が取られる」
「汚れる」
「いつまで、どこまで続くんだよ」
皆が口々に文句を言う。かくいうアレンも心の中で毒づいていた。
「ちっ」
コストイラは舌打ちをしながら、触手を斬っていた。
ストローパー。
少し縦長の岩のような外見をしている魔物だ。体の4,5か所から触手が出ている。この触手は人に例えると手の役割をしており、絡めとり、口に運ぶことしかしない。
昔、とある変態がストローパーの触手が生殖器だったらなどと夢物語を書いていたことがあったが、そんなことはない。そもそも、魔物自体に生殖機能がないのでよくそんな発想ができたなと感心した記憶がある。アレンはその本を祖父の書庫で見つけ、内容の意味を祖母に聞いたことで史上一番の喧嘩になったらしい。
ストローパーはそこかしこに生えており、泥に足を取られながらの先頭を余儀なくされていた。コストイラはその対処に当たることで跳ねる泥に体を汚し、苛立っていた。
「ここら一帯焼き払おうぜ」
限界が来たようだ。血管がぴくぴくしている。とはいえ、アレンもその気持ちは分かりすぎた。
「泥なんか燃やしたって無駄よ。表面が固まって冬の薄氷のようになるだけよ。燃やし続ければ中まで火は通るんでしょうけど」
「ぐおおー」
アストロに案を却下され、コストイラは頭を抱えた。
迫ってくる触手を斬りながら溜め息を吐く。
「相手がそこまで強くないのが救いか」
コストイラは無理矢理に納得しようとする。
ピチャン。
雫が跳ねるような音が聞こえた。前からだ。朝の段階でこれを見逃すものはいないだろう。しかし、もし夕方だったら見えなかったかもしれない。目の前のものはそれほど泥と同化していた。
丸丸とした水風船のような姿をした泥色のスライム。確か名前はポンデスライムだったか。
「おい、なんかあれ、同化してねェか?」
「見づれェ」
文句を言いながらも、難なくスライムを突き刺すアシドは凄いと思う。しかし、スライムは不定形である。全体の体積は決まっているが、形は決まっていない。
「槍効かねェじゃん」
しかも、とアシドが続ける。
「数がなァ」
ポンデスライムが10体ほどこちらに近づいてきていた。
「最っ悪」
「こんなに泥だらけになんのガキん頃以来だな」
刺すと爆発する個体がいた。アシドは口の中に泥が入ったのか、必死に唾を吐いていた。アレンも口の中がじゃりじゃりしている。
ピチャン。
「またか」
コストイラが後ろを振り返ると今までのポンデスライムが寄り集まっていた。
「何だ?」
ポンデスライム達は溶けあい、1つに固まっていく。
まさか。
「すんません」
「無下にできなかったもので」
真っ直ぐに面倒臭いという気持ちを出すアストロにコストイラが謝る。
アストロは昨日何をしていたのかを教えてくれない。言いたくないの一点張りだ。
依頼を受けた翌日、アレン達はアストロと合流して、依頼である墓場に向かっていた。
何でも、その管理されている墓場に、魔物が住み着いていて困っているらしい。何度も依頼書になっているようだが、誰も敵わなかったのだそうだ。その魔物の種類はゾンビだそう。管理者はいつからいるのかは分かっていないらしく、気が付いたらいたらしい。
ちなみに、依頼を受けた理由は無下にできなかったからではなく、金払いが良かったからだ。依頼成功した暁には路銀が目標値に達成する。つまるところ、金に眼がくらんだのだ。正直に言ったらアストロに何されるか分からない。
「ちなみに受けたのは報酬が良かったからだぞ」
「え?」
唐突にばらされてしまった。なんで?コストイラ、なんでばらしたん?
「そんなの分かってるわ」
「え?」
「それはもういいわ。でも、ここ通るの?」
「ここを通らないと、お墓まで行けません」
アストロは明らかに嫌そうな顔をしている。分かる。ここは通りたくないと思ってしまう。理由は単純だ。
明らかに依頼とは関係のない魔物が出そうな泥が、道を覆っていたからだ。
「行くしかねェか」
溜め息交じりにコストイラが泥を踏む。
全員が諦めた瞬間である。
「泥が、ったく」
「足が取られる」
「汚れる」
「いつまで、どこまで続くんだよ」
皆が口々に文句を言う。かくいうアレンも心の中で毒づいていた。
「ちっ」
コストイラは舌打ちをしながら、触手を斬っていた。
ストローパー。
少し縦長の岩のような外見をしている魔物だ。体の4,5か所から触手が出ている。この触手は人に例えると手の役割をしており、絡めとり、口に運ぶことしかしない。
昔、とある変態がストローパーの触手が生殖器だったらなどと夢物語を書いていたことがあったが、そんなことはない。そもそも、魔物自体に生殖機能がないのでよくそんな発想ができたなと感心した記憶がある。アレンはその本を祖父の書庫で見つけ、内容の意味を祖母に聞いたことで史上一番の喧嘩になったらしい。
ストローパーはそこかしこに生えており、泥に足を取られながらの先頭を余儀なくされていた。コストイラはその対処に当たることで跳ねる泥に体を汚し、苛立っていた。
「ここら一帯焼き払おうぜ」
限界が来たようだ。血管がぴくぴくしている。とはいえ、アレンもその気持ちは分かりすぎた。
「泥なんか燃やしたって無駄よ。表面が固まって冬の薄氷のようになるだけよ。燃やし続ければ中まで火は通るんでしょうけど」
「ぐおおー」
アストロに案を却下され、コストイラは頭を抱えた。
迫ってくる触手を斬りながら溜め息を吐く。
「相手がそこまで強くないのが救いか」
コストイラは無理矢理に納得しようとする。
ピチャン。
雫が跳ねるような音が聞こえた。前からだ。朝の段階でこれを見逃すものはいないだろう。しかし、もし夕方だったら見えなかったかもしれない。目の前のものはそれほど泥と同化していた。
丸丸とした水風船のような姿をした泥色のスライム。確か名前はポンデスライムだったか。
「おい、なんかあれ、同化してねェか?」
「見づれェ」
文句を言いながらも、難なくスライムを突き刺すアシドは凄いと思う。しかし、スライムは不定形である。全体の体積は決まっているが、形は決まっていない。
「槍効かねェじゃん」
しかも、とアシドが続ける。
「数がなァ」
ポンデスライムが10体ほどこちらに近づいてきていた。
「最っ悪」
「こんなに泥だらけになんのガキん頃以来だな」
刺すと爆発する個体がいた。アシドは口の中に泥が入ったのか、必死に唾を吐いていた。アレンも口の中がじゃりじゃりしている。
ピチャン。
「またか」
コストイラが後ろを振り返ると今までのポンデスライムが寄り集まっていた。
「何だ?」
ポンデスライム達は溶けあい、1つに固まっていく。
まさか。
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