メグルユメ

トラフィックライトレイディ

1.ポラリス

 すでに多くのものを食べた。

 特級な、特上に、特別の当たりは、何度も蘇る狼人ダンダダロスの持っていた超再生と、灰被りの王子アッシュの鑑定の魔眼だろう。
 超再生は頭が吹き飛んだり、心臓が消し飛んだりしても再生して、生き返ることができる。元々使っていたダンダダロス本人も、どこまで傷つけば死ぬのか把握していなかった。それこそ、腕や足といった巨大な部位のみならず、豆状骨や鐙骨底のような極小な部位からでも再生できたという。もはや不死なのでは? と笑っていた。
 鑑定の魔眼は目に魔力を集めることで対象物の内容を読み取ることができるようになった。元々使っていたアッシュ本人は、その魔眼を有効的に活用し、商家として大々的に発展していった。これがあれば私は無敵だ、と驕っていた。

 その二つの能力のおかげで我は神話級の超生物に成れた気がする。

 そこまでいかずとも、それなりに有用な能力を手に入れた。体を鋼以上に硬くしたり、背後まで死角なしで物を見ることができるようになったり、と戦闘に役立つ能力のみならず、絵が上手くなる能力や調理時に毒抜きが上手くなる能力や裁縫が緻密になる能力などもある。

 ここまでしても良き人コウガイに勝てない。ここまでされると子宮はらがキュンキュンきてしまうし、陰茎モノがギンギンになってしまう。

 これが雌の本能か?

 では、もう一人の良き人アレンはどうか。

 素人目だった頃、まだ世界が箱庭しかなかった時に、まるで・・・転んだように攻撃を躱した。あれには興奮した。

 果たして、アレンはどれほどの強者なのだろうか。
 雑魚に見せるように動くなど、到底できることではない。それこそ達人の領域だ。

 今からでも相当胸が膨らむ。心理的にも肉体的にも。

『ムグ。 おっと、今手に入ったのは、水中でも呼吸できるようになる能力か。我はあまり海へと行かぬが、決して無用とは思うまい。まぁ、いつかは役に立つであろう』

 ポラリスは異形と化している謎の魚を目線の高さにまで持ち上げて、目を丸くしている。ポラリスはその魚を嚥下した。

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