メグルユメ

トラフィックライトレイディ

1.ナイトとフィリス

『おい、弟共』
「え、は、はい。何でしょう」
「こ、恐い』

 ナイト・クレアとフィリス・クレアは、なぜか怖そうな顔をしているフォンに、肝を冷やす。オレ達、何かしでかした?

『そろそろ、結局のところ、レイドはどうなのかを決めなきゃいけないと思うんだ』
「え、と、は、はい?」

 ナイトは室内であるにもかかわらず、被っている帽子を深く被り、とりあえずきちんと考える。うちの雇い主は何と考えているのだ?

『そ、そ、それは重要だね!』
『雌、雄をけ、決する時!』

 どこからか指パッチンとともに現れたのは、最近この月の宮殿に召し上げられたメルとルーサだ。一体どこから来たのだ。

『お久し振りでございます、ナイト様、フィリス様』
『お騒がせしてしまい、申し訳ございません』

 ナイトが見ていると、メルとルーサにとても丁寧に挨拶されてしまった。

『あの楯は脆い。でも、護ってはいる。護り切ってないけど、護れてはいる。しかも、信頼がある。認めたくないけどね』

 フォンがずっと苦い顔をしている。本当に認めたくないのだろう。

『メルとルーサはどう思う?』
『えっと、実際に会った感じは、責任感が強そうでしたよ?』
『任せられそう』

 ムムム、とフォンは唸る。

『でも、その責任感とかいうのは、崩れやすい。膨れ上がると、圧し潰されてしまう。あの男は分散の仕方がまだ分かっていない』

 いつになくフォンが真剣に悩んでいる。内容は馬鹿らしいのに、ディーノイが突っ込まないのは意外だ。
 まぁ、兄に関することだ。ここは弟が肩を持とう。

「その責任は、私達で分散しましょう」
「我々も、クレア家の姓を持っていた。きちんと血で繋がっている間柄だ。いくらか、重荷を取り除こう』
『……』

 決意を述べるナイトとフィリスに、フォンが小さく唸りながら半眼を送る。

『グヌヌ。……ハァ。分かったよ。お手上げ。君達とレイドの頑張りに完敗だ。認めよう、レイド! もう駄目だ!』

 フォンはもう両手を上げて叫び出した。

 いい加減うるさい。

 この会議はいつまで続くんだ?

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