メグルユメ
10.北の要塞跡
「確保!」
ティエナがパズレイスの腕を取り、背の側に曲げて縄で結ぶ。
「道具は扱いを注視して押収! どれが爆発するか分からないから本当に注意して!」
叫ぶように命令して、ティエナが周りを確認する。
「あれ?」
ティエナが首を傾げた。先程倒してくれた魔女がどこにもいない。
お礼がしたのだが、見当たらない。
「あの女性はどこに行ったんだ? 何者か分からないし、謎が多すぎるな」
ティエナは膝でパズレイスを押さえながら、己のほっそりとした顎に触れた。
「もういいのか?」
「えぇ、過去の一つを清算できたわ」
「あといくつ清算しなきゃいけねぇんだよ」
すでに塔を出て、森の中に入っていた。幼馴染三人が会話している。アストロの闇の深そうな過去が蓋を開きそうなのを感じ、コストイラがうんざりした。
アストロが指を折って、コストイラの顔を見た。
「5,6個あるわね」
「多いな。とか言おうとしたけど、オレもそれぐらいあるわ」
コストイラは驚いた顔をしつつ、自分の秘密の数に驚愕している。
アレンも頭の中で秘密を探る。あれ? 僕って秘密あんまなくない? シキへの恋心くらい? それもシキ以外に知られてしまっている。
「何だ? 岩?」
「レンガ調だな。何か壁が崩れたっぽい感じ」
何か想定されたような人工的な石が破壊された状態で、辺りにゴロゴロと転がっていた。おそらくここには何かの施設があったのだろう。アシドがパタパタと顔を煽いでいる。
「何か暑くねぇか?」
「ん? あぁ、確かに気温が上がっているな。今は30度くらいか?」
そこで、コストイラが眉根を寄せた。
「ここってこんなに暑くなる場所だったか?」
「いいえ。サンク国は寒い地域よ。ここは土台から標高が高いわ。こんなに暑くなるとは思えない」
アストロがキョロキョロと、暑くなっている原因を見つけようとする。
「これは」
レイドが何かを見つける。アストロやコストイラがそれを覗き見た。
「何だこれ、紋章?」
「何処の家? 私は重要そうな貴族のものなら覚えているけど、知らないわね。でも、どこかで見たような……」
コストイラは全く見覚えがなかったが、アストロは記憶のどこかで見た気がしていた。レイドはその紋章を知っていた。
「それはクリープラントの王族の紋章」
「クリープラント、聞いたことがあるな。まだドレイニ―帝国があった頃の国じゃなかったか?」
コストイラが顎に手を当てながら、自身の記憶をなぞる。
「そうね。確か、450年前の大魔物侵攻が起こった際に、クリープラントも地図から消えたのよね」
「そうだ。歴史書では一夜にして炎に包まれた、と記されている。この辺りは、きっとその戦いが怒ったのだろうな」
レイドが屈んだ状態のまま、要塞跡を眺めた。
崩壊している。
この辺りは人類が敗北した場所。その歴史が記されている場所なのだ。群れた魔物なのか、群れぬ魔物なのかは定かではない。
ただ敗北し、蹂躙され、殺戮された。きっと当時は多くの死体が、ここにあったのだろう。味方も敵も、人も魔物も関係なく、討ち捨てられていたのだろう。
巨大な力に成す術なく。
レイドは自分が役目を果たせているのかどうか気になった。レイドは勇者の楯である。しかし、楯として皆を護れているのだろうか。周りが強いだけで、何もできていないのではないだろうか。
そう思うと、気分が沈んでくる。
エンドローゼが何かをフォローの声を掛けようとした時、壁が弾け飛んだ。視界が炎色に支配された。
「エンドローゼ!」
アストロの叫ぶ声が響いた。
ティエナがパズレイスの腕を取り、背の側に曲げて縄で結ぶ。
「道具は扱いを注視して押収! どれが爆発するか分からないから本当に注意して!」
叫ぶように命令して、ティエナが周りを確認する。
「あれ?」
ティエナが首を傾げた。先程倒してくれた魔女がどこにもいない。
お礼がしたのだが、見当たらない。
「あの女性はどこに行ったんだ? 何者か分からないし、謎が多すぎるな」
ティエナは膝でパズレイスを押さえながら、己のほっそりとした顎に触れた。
「もういいのか?」
「えぇ、過去の一つを清算できたわ」
「あといくつ清算しなきゃいけねぇんだよ」
すでに塔を出て、森の中に入っていた。幼馴染三人が会話している。アストロの闇の深そうな過去が蓋を開きそうなのを感じ、コストイラがうんざりした。
アストロが指を折って、コストイラの顔を見た。
「5,6個あるわね」
「多いな。とか言おうとしたけど、オレもそれぐらいあるわ」
コストイラは驚いた顔をしつつ、自分の秘密の数に驚愕している。
アレンも頭の中で秘密を探る。あれ? 僕って秘密あんまなくない? シキへの恋心くらい? それもシキ以外に知られてしまっている。
「何だ? 岩?」
「レンガ調だな。何か壁が崩れたっぽい感じ」
何か想定されたような人工的な石が破壊された状態で、辺りにゴロゴロと転がっていた。おそらくここには何かの施設があったのだろう。アシドがパタパタと顔を煽いでいる。
「何か暑くねぇか?」
「ん? あぁ、確かに気温が上がっているな。今は30度くらいか?」
そこで、コストイラが眉根を寄せた。
「ここってこんなに暑くなる場所だったか?」
「いいえ。サンク国は寒い地域よ。ここは土台から標高が高いわ。こんなに暑くなるとは思えない」
アストロがキョロキョロと、暑くなっている原因を見つけようとする。
「これは」
レイドが何かを見つける。アストロやコストイラがそれを覗き見た。
「何だこれ、紋章?」
「何処の家? 私は重要そうな貴族のものなら覚えているけど、知らないわね。でも、どこかで見たような……」
コストイラは全く見覚えがなかったが、アストロは記憶のどこかで見た気がしていた。レイドはその紋章を知っていた。
「それはクリープラントの王族の紋章」
「クリープラント、聞いたことがあるな。まだドレイニ―帝国があった頃の国じゃなかったか?」
コストイラが顎に手を当てながら、自身の記憶をなぞる。
「そうね。確か、450年前の大魔物侵攻が起こった際に、クリープラントも地図から消えたのよね」
「そうだ。歴史書では一夜にして炎に包まれた、と記されている。この辺りは、きっとその戦いが怒ったのだろうな」
レイドが屈んだ状態のまま、要塞跡を眺めた。
崩壊している。
この辺りは人類が敗北した場所。その歴史が記されている場所なのだ。群れた魔物なのか、群れぬ魔物なのかは定かではない。
ただ敗北し、蹂躙され、殺戮された。きっと当時は多くの死体が、ここにあったのだろう。味方も敵も、人も魔物も関係なく、討ち捨てられていたのだろう。
巨大な力に成す術なく。
レイドは自分が役目を果たせているのかどうか気になった。レイドは勇者の楯である。しかし、楯として皆を護れているのだろうか。周りが強いだけで、何もできていないのではないだろうか。
そう思うと、気分が沈んでくる。
エンドローゼが何かをフォローの声を掛けようとした時、壁が弾け飛んだ。視界が炎色に支配された。
「エンドローゼ!」
アストロの叫ぶ声が響いた。
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