メグルユメ
18.精霊と愛し子
地の精霊に当てられた瓦礫達が動き出し、形を作り、腕となった。その腕が振るわれる。
腕を躱すこと自体に難しさは決してない。それこそアレンだってできることだろう。
精霊の狙いはそこで避けた者から狙って攻撃しようというものだ。
シキは躱したうえで、その攻撃を撃ち落とした。アストロやエンドローゼはアシドとレイドが護りながら躱してくれた。
然の精霊と水の精霊が一気に距離を詰める。然の精霊が蔦の鞭を作り、水の精霊が水滴から剣を作り出した。火の精霊が火種から魔力式の銃を生み出し、地の精霊は自身の体の拡張部位を作り出した。
然の精霊のオドオドとした雰囲気を置き去りに、茶髪の少女は正確に蔦の鞭を振るった。
空中にいるアシドは鞭の先端を弾いた。しかし、そのまま鞭が槍に巻き付いた。
「ぬ?」
槍が然の精霊に持っていかれる。
水の精霊が水剣を振るう。レイドが楯で剣ごと水の精霊を殴った。
『ブッ』
水の精霊の頭や鼻から血が噴き出てくる。本格的に地の精霊が敵を倒すために疑似腕を振るう。コストイラは躱さない。
コストイラの左頬が疼く。今は傷がなくなってしまったが、そこはかつて氷の精霊に傷を創られた場所だ。
そうだよな。あのクソガキは避けなかったもんな。
コストイラは集中力をどんどんと高め、精神を研ぎ澄ましていき、眼前10㎝に迫った土の剛腕を叩き切った。
神速の居合はこの時、コストイラ史上最高速度を記録しただろう。
地の精霊が目を丸くする。切られると思っていなかったのだ。当たり前だろう。
地の精霊の失態を隠すように魔力式長銃を構え、発砲した。
コストイラはそれを見ることなく、音のみで把握し、刀で弾いてみせた。
『ハァ!』
然の精霊が蔦の鞭を放つが、コストイラは難なく躱してみせた。魔力を纏った鞭が腕の振りとは関係なく動き、乱打している。
コストイラはすべて躱していく。
然の精霊も火の精霊もコストリアに集中しすぎた。
然の精霊は後頭部を遠慮なしに蹴飛ばされた。アシドの発達した脚は足技に向いており、然の精霊の後頭部が潰れる。
火の精霊は首を切られた。落ちる頭が目撃できたのは、白銀の悪魔の姿のみ。何をされたのかさっぱりだ。
地の精霊が見たのは、首の傷口に載った白銀の悪魔。悲鳴が喉を割れず、ただ引き攣るのみしかできなかった。
疑似的に生み出された巨大な土の剛腕を両者の間に挟んだが、無駄だった。魔力を纏わせ、硬度を高めたにもかかわらず、豆腐のように砕け散った。
何も語らぬ無表情が凶刃を振るう。褐色の少女に抵抗の余地は残されていなかった。
水の精霊が起き上がる。ドクドクと血が流れているが、唾でもつけておけば治る。顔を上げて目に飛び込んできた情報は凄惨そのものだった。姉妹のように育ってきた、家族のような者達がもういない。生首を晒し、内臓をブチ撒け、脳を露出させている。少女には刺激が強すぎた。
『ウプ』
水の精霊が口を押さえる中、目の前に立ったのは大楯の守人。その手の中にある大剣が、これから私の命を散らすのだ。そう考えると、身の毛がよだった。必死の生きようとして、魔力を暴走させようとした。
しかし。
――――。
『ア』
力を奪われた少女は、儚く砕け散った。
腕を躱すこと自体に難しさは決してない。それこそアレンだってできることだろう。
精霊の狙いはそこで避けた者から狙って攻撃しようというものだ。
シキは躱したうえで、その攻撃を撃ち落とした。アストロやエンドローゼはアシドとレイドが護りながら躱してくれた。
然の精霊と水の精霊が一気に距離を詰める。然の精霊が蔦の鞭を作り、水の精霊が水滴から剣を作り出した。火の精霊が火種から魔力式の銃を生み出し、地の精霊は自身の体の拡張部位を作り出した。
然の精霊のオドオドとした雰囲気を置き去りに、茶髪の少女は正確に蔦の鞭を振るった。
空中にいるアシドは鞭の先端を弾いた。しかし、そのまま鞭が槍に巻き付いた。
「ぬ?」
槍が然の精霊に持っていかれる。
水の精霊が水剣を振るう。レイドが楯で剣ごと水の精霊を殴った。
『ブッ』
水の精霊の頭や鼻から血が噴き出てくる。本格的に地の精霊が敵を倒すために疑似腕を振るう。コストイラは躱さない。
コストイラの左頬が疼く。今は傷がなくなってしまったが、そこはかつて氷の精霊に傷を創られた場所だ。
そうだよな。あのクソガキは避けなかったもんな。
コストイラは集中力をどんどんと高め、精神を研ぎ澄ましていき、眼前10㎝に迫った土の剛腕を叩き切った。
神速の居合はこの時、コストイラ史上最高速度を記録しただろう。
地の精霊が目を丸くする。切られると思っていなかったのだ。当たり前だろう。
地の精霊の失態を隠すように魔力式長銃を構え、発砲した。
コストイラはそれを見ることなく、音のみで把握し、刀で弾いてみせた。
『ハァ!』
然の精霊が蔦の鞭を放つが、コストイラは難なく躱してみせた。魔力を纏った鞭が腕の振りとは関係なく動き、乱打している。
コストイラはすべて躱していく。
然の精霊も火の精霊もコストリアに集中しすぎた。
然の精霊は後頭部を遠慮なしに蹴飛ばされた。アシドの発達した脚は足技に向いており、然の精霊の後頭部が潰れる。
火の精霊は首を切られた。落ちる頭が目撃できたのは、白銀の悪魔の姿のみ。何をされたのかさっぱりだ。
地の精霊が見たのは、首の傷口に載った白銀の悪魔。悲鳴が喉を割れず、ただ引き攣るのみしかできなかった。
疑似的に生み出された巨大な土の剛腕を両者の間に挟んだが、無駄だった。魔力を纏わせ、硬度を高めたにもかかわらず、豆腐のように砕け散った。
何も語らぬ無表情が凶刃を振るう。褐色の少女に抵抗の余地は残されていなかった。
水の精霊が起き上がる。ドクドクと血が流れているが、唾でもつけておけば治る。顔を上げて目に飛び込んできた情報は凄惨そのものだった。姉妹のように育ってきた、家族のような者達がもういない。生首を晒し、内臓をブチ撒け、脳を露出させている。少女には刺激が強すぎた。
『ウプ』
水の精霊が口を押さえる中、目の前に立ったのは大楯の守人。その手の中にある大剣が、これから私の命を散らすのだ。そう考えると、身の毛がよだった。必死の生きようとして、魔力を暴走させようとした。
しかし。
――――。
『ア』
力を奪われた少女は、儚く砕け散った。
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