メグルユメ
11.上は洪水、下は大火事、これな~んだ?
シキは小石を足元にばら撒いた。
「え? 何する……えっ!?」
コストイラがシキの行動にドン引きした。
空中に置いた小石に足を乗せてジャンプしたのだ。物理的にできるかどうかは置いておいて、シキはやったのだ。
どころで、今下に落ちているのはコストイラだけ?
寂しい気持ちになっていると、コストイラの腰に糸が巻きついた。流石に見捨てることはないか。
シキが天井に手を着いた。そのまま落ちることなく張り付いたままだ。あれ? このまま?
「コストイラ、頼んだ」
「え? オレ!? 地に足を着けて戦いたいんだけど」
コストイラが腕の力だけでガルムに抵抗する。腰が入っていないため、致命傷となる一撃を入れられない。
「というか、それいつまで持つんだ? その天井の引っ付き」
「コストイラは軽いから何時間でも」
「オレ、筋肉とかあるからこれでも九十超えているし、何なら百に近いんだけど」
少し呆れながらシキを見る。
「どうやって引っ付いてんの」
「ガルム来てる」
「おう、感知できているぜ」
「くっついているのはピンチ力。物を摘まむ力」
天井のどこに引っ付いているというのか。少し懐疑的な目で見ながら、刀を振るった。
それを見ながらアシドが槍をラーヴァゴーレムに叩き込んだ。溶岩巨人がバランスを崩して穴に落ちていく。
ゼラチナスキューブは穴の中に水のビームを打ち込んだ。魔物の悲鳴が聞こえる。何がやられたのかは分からない。
ラーヴァゴーレムが火炎放射を放つ。狙いはコストイラだ。
「うお!」
「フッ」
一人では何もできないコストイラをシキが持ち上げた。ちょっと尻を掠った気がするが、気にしない方向で行こう。
火炎はまっすぐ進み、直方ゼリーに当たる。表面が少し変色したが、内部の核にまでは届かず無事だ。もしや、この場にいる巨大魔物の中で一番強いのではなかろうか。
シキがコストイラを振り子のようにして、勢いをつけて、壁に叩きつけた。ズルズルと落ちて、一行と合流した。
「めっちゃ雑に扱いやがって」
コストイラが頭に片手を当てながら立ち上がった。
ゼラチナスキューブをどう倒すか。そのことに意識を集中させようとする。
すると、ボコボコボコとゼラチナスキューブが内側から暴れ出した。直方ゼリーは擦りガラスのように半透明な体をしている魔物だ。
だからこそ、見えた。勇者一行の反対側に、アストロと同じくらいの身長の影があるのが。先程のマスコンディレートではない。彼女はもう少し小さい。
「あれは、魔力人形?」
「魔力人形って、あの<異世界人>ゴートの?」
「えぇ」
魔力人形とは、四代目勇者として知られる<異世界人>ゴートが生み出したとされる全自動魔力式機械仕掛け金属人形のことだ。人体でいう真皮の部分に魔力回路が描かれており、心臓の部分に魔力変換装置が組み込まれている。
魔力に敏感なアストロだからこそ、その存在に気付けたのだろう。
その魔力人形はゼラチナスキューブの核を破壊した。直方ゼリーは形を保てなくなり、液体になった。
魔力人形が突き出している拳を開放した。パラパラと核の破片が落ちる。
メタリックなカラーをしたフルフェイスにライダースーツという印象を受ける。中に人が入っていても違和感が仕事しない。しかし、生気を感じない。人形であることに違いはない。
嫌な予感が背筋に走った。
次の瞬間、魔力人形は目の前にいた。油断した? それもあるのだろうが、実際に動きが速かった。
凶刃が振るわれる。それも速い。といってもアシドが対応できない程ではない。アシドが槍を短く持って、すべてを叩き落とした。
『アルゥム、ブブブ』
何かを発した。しかし、それは何か意味のある言葉ではない。正しき何かだった。
刃物のように鋭い爪を振るいながら、腰をパシュンと外した。いくつかあるジョイントのうち、一つを除いて、すべて外された。
そして、ジャンプしたかと思うと、腰の一つのジョイントを軸にして、回転を始めた。いくら弾いてもプロペラのように回り続ける脚に、アシドが舌を打つ。そして、着地したかと思うと、さらに回転を初めた。今度回るのは上半身だ。
限界まで研がれている爪は平然と回り続ける。回転の力が強く、攻撃を弾こうとしても逆に弾き返されてしまった胴が晒される。
このまま殺されてしまうかもしれないという思考が過ぎる。
そこで、レイドが間に入った。しかし、相手の勢いが強く、顔を歪めてしまった。
そこにコストイラが入ってきた。
オレのことを無視すんなよ。
「え? 何する……えっ!?」
コストイラがシキの行動にドン引きした。
空中に置いた小石に足を乗せてジャンプしたのだ。物理的にできるかどうかは置いておいて、シキはやったのだ。
どころで、今下に落ちているのはコストイラだけ?
寂しい気持ちになっていると、コストイラの腰に糸が巻きついた。流石に見捨てることはないか。
シキが天井に手を着いた。そのまま落ちることなく張り付いたままだ。あれ? このまま?
「コストイラ、頼んだ」
「え? オレ!? 地に足を着けて戦いたいんだけど」
コストイラが腕の力だけでガルムに抵抗する。腰が入っていないため、致命傷となる一撃を入れられない。
「というか、それいつまで持つんだ? その天井の引っ付き」
「コストイラは軽いから何時間でも」
「オレ、筋肉とかあるからこれでも九十超えているし、何なら百に近いんだけど」
少し呆れながらシキを見る。
「どうやって引っ付いてんの」
「ガルム来てる」
「おう、感知できているぜ」
「くっついているのはピンチ力。物を摘まむ力」
天井のどこに引っ付いているというのか。少し懐疑的な目で見ながら、刀を振るった。
それを見ながらアシドが槍をラーヴァゴーレムに叩き込んだ。溶岩巨人がバランスを崩して穴に落ちていく。
ゼラチナスキューブは穴の中に水のビームを打ち込んだ。魔物の悲鳴が聞こえる。何がやられたのかは分からない。
ラーヴァゴーレムが火炎放射を放つ。狙いはコストイラだ。
「うお!」
「フッ」
一人では何もできないコストイラをシキが持ち上げた。ちょっと尻を掠った気がするが、気にしない方向で行こう。
火炎はまっすぐ進み、直方ゼリーに当たる。表面が少し変色したが、内部の核にまでは届かず無事だ。もしや、この場にいる巨大魔物の中で一番強いのではなかろうか。
シキがコストイラを振り子のようにして、勢いをつけて、壁に叩きつけた。ズルズルと落ちて、一行と合流した。
「めっちゃ雑に扱いやがって」
コストイラが頭に片手を当てながら立ち上がった。
ゼラチナスキューブをどう倒すか。そのことに意識を集中させようとする。
すると、ボコボコボコとゼラチナスキューブが内側から暴れ出した。直方ゼリーは擦りガラスのように半透明な体をしている魔物だ。
だからこそ、見えた。勇者一行の反対側に、アストロと同じくらいの身長の影があるのが。先程のマスコンディレートではない。彼女はもう少し小さい。
「あれは、魔力人形?」
「魔力人形って、あの<異世界人>ゴートの?」
「えぇ」
魔力人形とは、四代目勇者として知られる<異世界人>ゴートが生み出したとされる全自動魔力式機械仕掛け金属人形のことだ。人体でいう真皮の部分に魔力回路が描かれており、心臓の部分に魔力変換装置が組み込まれている。
魔力に敏感なアストロだからこそ、その存在に気付けたのだろう。
その魔力人形はゼラチナスキューブの核を破壊した。直方ゼリーは形を保てなくなり、液体になった。
魔力人形が突き出している拳を開放した。パラパラと核の破片が落ちる。
メタリックなカラーをしたフルフェイスにライダースーツという印象を受ける。中に人が入っていても違和感が仕事しない。しかし、生気を感じない。人形であることに違いはない。
嫌な予感が背筋に走った。
次の瞬間、魔力人形は目の前にいた。油断した? それもあるのだろうが、実際に動きが速かった。
凶刃が振るわれる。それも速い。といってもアシドが対応できない程ではない。アシドが槍を短く持って、すべてを叩き落とした。
『アルゥム、ブブブ』
何かを発した。しかし、それは何か意味のある言葉ではない。正しき何かだった。
刃物のように鋭い爪を振るいながら、腰をパシュンと外した。いくつかあるジョイントのうち、一つを除いて、すべて外された。
そして、ジャンプしたかと思うと、腰の一つのジョイントを軸にして、回転を始めた。いくら弾いてもプロペラのように回り続ける脚に、アシドが舌を打つ。そして、着地したかと思うと、さらに回転を初めた。今度回るのは上半身だ。
限界まで研がれている爪は平然と回り続ける。回転の力が強く、攻撃を弾こうとしても逆に弾き返されてしまった胴が晒される。
このまま殺されてしまうかもしれないという思考が過ぎる。
そこで、レイドが間に入った。しかし、相手の勢いが強く、顔を歪めてしまった。
そこにコストイラが入ってきた。
オレのことを無視すんなよ。
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