メグルユメ
7.蒼き巨人
コストイラの刀が確実な一撃を与えた。マスコンディレートの左足が、膝から断ち切られた。右足も半ばまで削がれている。
立つことなど不可能。次元収納から咄嗟に痛み止めを取り出して打ち込んだ。痛みが引くにつれ、冷静になっていく。あれ? これなら回復薬を使った方がよかったのではないか?
マスコンディレートの前後に風が吹く。それが壁に反射され、体の左側を叩いた。
たった40㎏の体は軽々と飛ばされ、崖に身を投げ出された。嵐の戯曲が空中でキャッチし、早々に立ち去った。後を追わせないように錬金的火精霊が火球を吐いた。
「くそっ! 逃げられた」
「ていうか、何で追わなきゃいけないわけ?」
「あ、逃げるもんだから、つい」
「まるで動物ね」
呆れるアストロの前で、コストイラが無言で可愛く謝罪する。ゲシと頭を殴られた。
「騒ぎすぎた」
「え?」
ドォン、ドォンと道が揺れた。パラパラと小石が落ちる。
途端、汗がブワリと噴き出てきた。もしかして、この道崩れる?
その可能性があると考えた時、じっとしてられなくなった。もう落ちるのは嫌だ! しかも、ここって海賊のアジト、海の対岸なのだ。壁が耐えられなくなり、海がやってくるかもしれない。
壊れるのだけは勘弁してくれ!
ドドドと何かが走ってくる。それは蒼き炎の巨人だった。5m近い高身長の女型の巨人が分かりやすいアスリート走りである。
アレンには恐怖でしかなかった。
逃げたい。何もできないのだから逃げるしかない。
後ろに一歩下がろうとしたところ、シキに手を繋がれてしまった。本来なら鼻血を出すほど興奮する出来事なのだが、状況が状況なため、あまり喜べない。
左腕のバックラーを前に掲げ、裏から剣を抜いた。なぜ敵対しているのかが不明だ。これ、本当に倒すべき相手なのか? 炎を纏う蒼い女型の巨人が剣を突き出した。コストイラ刀を振り、古代から続く火山の巨人の剣を往なす。
パッとアレンの手を離すと、シキが回し蹴りを剣に叩き込んだ。シキは剣を往なすためにやったつもりであったが、剣が砕け散った。
あれ? 加減間違えた?
シキが珍しく焦る。アレンに引かれたのではないか? と内心に電撃が走る。それは嫌だ。なぜか分からないが、嫌われたくない。アレン? 引いていないよね?
チラとアレンの方を見る。シキは相変わらずの無表情である。アレンには感情が読めない。アストロには分かる。あ、これ不安になっているな。
『グ』
魔物に思考があったとしても、知性があるのかは分からない。何か分かっているからこそ敵対しているのか、それともただの本能がままに敵対しているのか分からない。
ムスペルは左腕に着けているバックラーで殴りかかる。コストイラは競るのを嫌い、往なしながら横に逸れる。ムスペルはバランスを崩して、つんのめった。前に脚を出して地面とのキスを嫌う。
無防備に晒される脚に、アシドが槍を振るった。バギャンとこれまでに聞いたことがない音が響き、脛がくの字に曲がった。
骨が皮や肉の中を踊り、支えを失った骨が下に落ちていった。下側に存在していた骨の先端が皮を突き破って露出している。その骨が腿にまで刺さった。
横に逸れたコストイラが壁を伝って宙に舞った。そのまま一回転して、刀に力を溜めて、振り下ろした。
炎の女巨人の首が飛んだ。
立つことなど不可能。次元収納から咄嗟に痛み止めを取り出して打ち込んだ。痛みが引くにつれ、冷静になっていく。あれ? これなら回復薬を使った方がよかったのではないか?
マスコンディレートの前後に風が吹く。それが壁に反射され、体の左側を叩いた。
たった40㎏の体は軽々と飛ばされ、崖に身を投げ出された。嵐の戯曲が空中でキャッチし、早々に立ち去った。後を追わせないように錬金的火精霊が火球を吐いた。
「くそっ! 逃げられた」
「ていうか、何で追わなきゃいけないわけ?」
「あ、逃げるもんだから、つい」
「まるで動物ね」
呆れるアストロの前で、コストイラが無言で可愛く謝罪する。ゲシと頭を殴られた。
「騒ぎすぎた」
「え?」
ドォン、ドォンと道が揺れた。パラパラと小石が落ちる。
途端、汗がブワリと噴き出てきた。もしかして、この道崩れる?
その可能性があると考えた時、じっとしてられなくなった。もう落ちるのは嫌だ! しかも、ここって海賊のアジト、海の対岸なのだ。壁が耐えられなくなり、海がやってくるかもしれない。
壊れるのだけは勘弁してくれ!
ドドドと何かが走ってくる。それは蒼き炎の巨人だった。5m近い高身長の女型の巨人が分かりやすいアスリート走りである。
アレンには恐怖でしかなかった。
逃げたい。何もできないのだから逃げるしかない。
後ろに一歩下がろうとしたところ、シキに手を繋がれてしまった。本来なら鼻血を出すほど興奮する出来事なのだが、状況が状況なため、あまり喜べない。
左腕のバックラーを前に掲げ、裏から剣を抜いた。なぜ敵対しているのかが不明だ。これ、本当に倒すべき相手なのか? 炎を纏う蒼い女型の巨人が剣を突き出した。コストイラ刀を振り、古代から続く火山の巨人の剣を往なす。
パッとアレンの手を離すと、シキが回し蹴りを剣に叩き込んだ。シキは剣を往なすためにやったつもりであったが、剣が砕け散った。
あれ? 加減間違えた?
シキが珍しく焦る。アレンに引かれたのではないか? と内心に電撃が走る。それは嫌だ。なぜか分からないが、嫌われたくない。アレン? 引いていないよね?
チラとアレンの方を見る。シキは相変わらずの無表情である。アレンには感情が読めない。アストロには分かる。あ、これ不安になっているな。
『グ』
魔物に思考があったとしても、知性があるのかは分からない。何か分かっているからこそ敵対しているのか、それともただの本能がままに敵対しているのか分からない。
ムスペルは左腕に着けているバックラーで殴りかかる。コストイラは競るのを嫌い、往なしながら横に逸れる。ムスペルはバランスを崩して、つんのめった。前に脚を出して地面とのキスを嫌う。
無防備に晒される脚に、アシドが槍を振るった。バギャンとこれまでに聞いたことがない音が響き、脛がくの字に曲がった。
骨が皮や肉の中を踊り、支えを失った骨が下に落ちていった。下側に存在していた骨の先端が皮を突き破って露出している。その骨が腿にまで刺さった。
横に逸れたコストイラが壁を伝って宙に舞った。そのまま一回転して、刀に力を溜めて、振り下ろした。
炎の女巨人の首が飛んだ。
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