メグルユメ
4.迷子の先導者
「まだ着かねぇのか?」
先頭で歩いていたコストイラが先導者のマスコンディレートに話しかける。
「ん? あと三分くらいかな?」
顎に指をあてた少女が自身の所感を述べた。
ここまでの道のりで海賊には出会わなかった。これほどまでの静けさはあまりにも不気味だ。
この娘が海賊の一員だとしたら、この地に隔離されていたことになる。そうでなかったとしたら、ここを占拠したころになる。どちらにしろ危険人物だ。
「着いた」
少女によって案内された場所は、いくつかの小屋が建つ谷だった。ここで落とす気かと思ったが、普通に小屋に向かっていく。緊張と緩和の繰り返しで疲れてしまう。
少女は小屋の横を通り過ぎる。そのまま谷の前に立った。
谷だ。警戒していた谷。
「ごめんね~~」
間延びした声。やはり本性を隠していたようだ。果たして少女は魔術師か魔法使いか技術屋か召喚士か。
選ばれたのは魔物使いでした。
谷からボワリと紅炎が昇る。それに合わせて黒色の鳥が現れた。両翼20mはある怪鳥に驚きの声が出る。何だ、この大きさは。しかも。
「飛んでいるじゃねぇか!」
コストイラは心の底から叫んだ。
シキは己の甘さに気付いた。確かにこの少女以外が戦う可能性、あるじゃん。
シキがちらりとアレンを見る。アレンが何か駄目そうな顔をしている。ここは私がアレンを護らねば! 不器用に恋する器用な乙女シキは決意した。早く倒して、アレンに安堵と不穏を与える。
「最近のシキって、何か危なっかしいわね」
「アレンだろうなぁ」
「そりゃそうなんだけど」
アストロがアレンを見る。
「アレンが鈍感系だからな」
「恋愛以外にも鈍感だもんなぁ」
アレンはアストロの視線に気づき、目が合う。え、何ですか? みたいな顔をしているが、少しむかつく。あ? 何もねぇよ、という苛立ち全開な顔を見せて、逸らした。
鳥が谷の上から動かない。倒そうと近接に持ち込んだ時、谷に向かって飛ばなければならない。
谷の下に何があるのか分からない。その疑問がある状態では近づき難い。無茶無謀を繰り返すコストイラですら跳ばない。
そんな中、シキが跳んだ。
真っ先にマスコンディレートを狙う。まずは殺しやすい相手を狙うのは当然。
怪鳥が足を伸ばし、マスコンディレートを掴んだ。怪鳥の足をよく見ると、脚が三本ある。黒巨鳥が翼をはためかせ、もう一度谷の上に戻る。
コストイラが刀を構えたが、動きを止めた。あれ? これって?
アストロと視線を絡ませる。どうする? という疑問を向けるが、アストロもそう言われても、と答える。
「うふふ、ごめんね~、私は空の優位ってのがあるのよ~」
物凄くドヤ顔している。コストイラとアストロは微妙な顔をする。その顔を悔しがっている表情だと受け取ったのか、宙づりのまま薄い胸を張っている。
その時、コストイラとアストロのしていた表情の意味に、アレンとアシドが気付いた。
アシドは紅赤の侍と濃紫の魔女を見て、追いかけ続けたからこそ気付くことができた。
アレンは常に逃げ腰で、戦いをなるべく避けたいと考えているからこそ、気付くことができた。
あれ? これ、逃げられるのでは?
バタリと男が一人倒れる。無防備にもそのまま息を整えている。
イライザはなんだかんだ言って忠臣であり続けたロッドを見つめる。ロッドはおそらくこちらに気付いている。気付いていながら、目線を向けていないのだろう。そこには様々な理由が存在しているが、おそらく一番の理由はそれをするだけの気力がないのだが、ボコボコにされすぎた。
アスミンは井戸に凭れながら、意識を失って沈黙している。カレトワは大の字で空を見ている。
敵襲、というわけではない。カレトワが一度連れてきた元然の勇者ヲヌネが鍛えてくれているのだ。
イライザの知るところで、ロッドの現レベルは48。カレトワは55。アスミンは知らない。
だというのに、三人を相手にしておきながら、ヲヌネの息が上がっていない。ここにレベル40のイライザが加わったところで何の足しにもならないだろう。
ヲヌネは銀髪を揺らしながら、縁側に向かって歩き出す。
あの速度自慢、はしてないか。速度に優れている二人が速度で負けた。余計に参加しても意味がないだろう。
ヲヌネはイライザの隣に座った。
「夫の墓参りには行ってあげたのですか?」
先頭で歩いていたコストイラが先導者のマスコンディレートに話しかける。
「ん? あと三分くらいかな?」
顎に指をあてた少女が自身の所感を述べた。
ここまでの道のりで海賊には出会わなかった。これほどまでの静けさはあまりにも不気味だ。
この娘が海賊の一員だとしたら、この地に隔離されていたことになる。そうでなかったとしたら、ここを占拠したころになる。どちらにしろ危険人物だ。
「着いた」
少女によって案内された場所は、いくつかの小屋が建つ谷だった。ここで落とす気かと思ったが、普通に小屋に向かっていく。緊張と緩和の繰り返しで疲れてしまう。
少女は小屋の横を通り過ぎる。そのまま谷の前に立った。
谷だ。警戒していた谷。
「ごめんね~~」
間延びした声。やはり本性を隠していたようだ。果たして少女は魔術師か魔法使いか技術屋か召喚士か。
選ばれたのは魔物使いでした。
谷からボワリと紅炎が昇る。それに合わせて黒色の鳥が現れた。両翼20mはある怪鳥に驚きの声が出る。何だ、この大きさは。しかも。
「飛んでいるじゃねぇか!」
コストイラは心の底から叫んだ。
シキは己の甘さに気付いた。確かにこの少女以外が戦う可能性、あるじゃん。
シキがちらりとアレンを見る。アレンが何か駄目そうな顔をしている。ここは私がアレンを護らねば! 不器用に恋する器用な乙女シキは決意した。早く倒して、アレンに安堵と不穏を与える。
「最近のシキって、何か危なっかしいわね」
「アレンだろうなぁ」
「そりゃそうなんだけど」
アストロがアレンを見る。
「アレンが鈍感系だからな」
「恋愛以外にも鈍感だもんなぁ」
アレンはアストロの視線に気づき、目が合う。え、何ですか? みたいな顔をしているが、少しむかつく。あ? 何もねぇよ、という苛立ち全開な顔を見せて、逸らした。
鳥が谷の上から動かない。倒そうと近接に持ち込んだ時、谷に向かって飛ばなければならない。
谷の下に何があるのか分からない。その疑問がある状態では近づき難い。無茶無謀を繰り返すコストイラですら跳ばない。
そんな中、シキが跳んだ。
真っ先にマスコンディレートを狙う。まずは殺しやすい相手を狙うのは当然。
怪鳥が足を伸ばし、マスコンディレートを掴んだ。怪鳥の足をよく見ると、脚が三本ある。黒巨鳥が翼をはためかせ、もう一度谷の上に戻る。
コストイラが刀を構えたが、動きを止めた。あれ? これって?
アストロと視線を絡ませる。どうする? という疑問を向けるが、アストロもそう言われても、と答える。
「うふふ、ごめんね~、私は空の優位ってのがあるのよ~」
物凄くドヤ顔している。コストイラとアストロは微妙な顔をする。その顔を悔しがっている表情だと受け取ったのか、宙づりのまま薄い胸を張っている。
その時、コストイラとアストロのしていた表情の意味に、アレンとアシドが気付いた。
アシドは紅赤の侍と濃紫の魔女を見て、追いかけ続けたからこそ気付くことができた。
アレンは常に逃げ腰で、戦いをなるべく避けたいと考えているからこそ、気付くことができた。
あれ? これ、逃げられるのでは?
バタリと男が一人倒れる。無防備にもそのまま息を整えている。
イライザはなんだかんだ言って忠臣であり続けたロッドを見つめる。ロッドはおそらくこちらに気付いている。気付いていながら、目線を向けていないのだろう。そこには様々な理由が存在しているが、おそらく一番の理由はそれをするだけの気力がないのだが、ボコボコにされすぎた。
アスミンは井戸に凭れながら、意識を失って沈黙している。カレトワは大の字で空を見ている。
敵襲、というわけではない。カレトワが一度連れてきた元然の勇者ヲヌネが鍛えてくれているのだ。
イライザの知るところで、ロッドの現レベルは48。カレトワは55。アスミンは知らない。
だというのに、三人を相手にしておきながら、ヲヌネの息が上がっていない。ここにレベル40のイライザが加わったところで何の足しにもならないだろう。
ヲヌネは銀髪を揺らしながら、縁側に向かって歩き出す。
あの速度自慢、はしてないか。速度に優れている二人が速度で負けた。余計に参加しても意味がないだろう。
ヲヌネはイライザの隣に座った。
「夫の墓参りには行ってあげたのですか?」
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