メグルユメ
14.地下道の戦い
血濡れのシキが海食洞を走っていたが、その走行をぴたりと止めた。目の前には大きな穴が開いていた。海食洞の地面に薄く張られている水が滝のように落ちている。
道がこの先にない。アレン達はどこに行った?
とりあえず目を凝らして奥を見る。視線の通る範囲に誰もいない。では、下か?
今度は鼻を効かせてみる。シキの鼻はアレンの匂いを感じ取った。
「下だ」
アレンはこの崩落に巻き込まれたのだろうか。早く助けに行かねばなるまい。
シキは何の躊躇なく下に落ち、アレンの元に向かった。こんな戦闘の中で無事だと考えられない。早く会いたい。
「ったく、何で俺達は参加しちゃいけないんだよ」
「船長の指示なんだから仕方ねェだろ。それに、財宝だって守んなきゃいけねェだろ」
「そりゃそうだけどよ」
二人の男が会話している。今の陰にいるシキには気付いていないようだ。ただし、気付かれていようがいまいがやることは変わらない。二人とも殺す。
シキが姿を現すが、気付かれない。そのまま二人の首を切り落とした。即座に鼻を働かせ、アレンの位置を特定する。少女は走り出した。
五秒も走れば海賊達の最後尾に追いつく。見ただけで分かる。あのデカい隻腕がこの場のボスだ。あれを真っ先に殺す。
シキは加速をそのままにして、軍勢に突っ込んだ。白銀の風が一気に死体を作り出す。
何か事態の異常性を感じ取った隻腕の海賊が後ろを向いた。ズドンと自身の部下が宙を舞っている。何だ? この異常事態は?
そこでコストイラ達も盛り上がる。シキ一人に負けてたまるか、と牙を剥く。
「な」
隻腕の海賊が目を丸くする。
どっちだ。どっちから先に対処すればいい。
コストイラとシキが揃ってボスの元まで辿り着く。
「くそっ!」
隻腕の海賊は本能で対処する。左側のコストイラを鉤爪で、右側のシキを極大なカットラスで押さえようとする。
しかし、真鍮で作られた鉤爪は見事に折れ曲がった。カットラスは、熱したナイフでバターを切るが如く勢いで、簡単に切られた。ついでかのように右腕を切られる。
「ガッ!?」
両腕がもう使い物にならない。ここから先の攻撃を防ぐことができるのか? いや、できるはずがない。反語。
ならば、どうするか? 決まっている。逃げるしかない。
そう決断した時には足元に蒼色の毛髪が見えた。隻腕の海賊はそれが何か考える前に体が後退していた。
ギリギリで躱した海賊の腹筋に槍が通った。一筋の赤い線が走るが、この際一切気にしない。全力で逃走するのみに心血を注ぐ。
「追っても放っても面倒そうだぞ」
「放ったら万全の状態に加えてさらなる戦力で倒しに来るわ。追ったら間違いなく相手の拠点が戦場になる」
「今のうちに叩いておかないと、どこまで増殖するか分かんねぇぞ」
アシドの言うことにゾッと背中に来るものを感じ、即座に追いかけることにした。
「皆も行くわよ」
コストイラとアシドを追いかけるようにアストロが走り出す。レイドやエンドローゼが従う中、アレンとシキは止まったままだ。
「本当に大丈夫なのでしょうか。これ、罠とかじゃないですよね」
「……」
「もしそうだとしたら皆巻き込まれちゃいますよね」
「……」
「よ、よし。追いかけましょう。ところで」
「……?」
アレンがシキを見る。シキは誰にも気づかれない程度に頬を赤らめさせて、首を傾げた。
「僕、すでに皆さんがどこに行ったのか分からないんですけど、シキさん分かります?」
「承知」
シキがとりあえず何も考えずにアレンを抱え上げ、走り出した。
あれ? 顔、近くない?
道がこの先にない。アレン達はどこに行った?
とりあえず目を凝らして奥を見る。視線の通る範囲に誰もいない。では、下か?
今度は鼻を効かせてみる。シキの鼻はアレンの匂いを感じ取った。
「下だ」
アレンはこの崩落に巻き込まれたのだろうか。早く助けに行かねばなるまい。
シキは何の躊躇なく下に落ち、アレンの元に向かった。こんな戦闘の中で無事だと考えられない。早く会いたい。
「ったく、何で俺達は参加しちゃいけないんだよ」
「船長の指示なんだから仕方ねェだろ。それに、財宝だって守んなきゃいけねェだろ」
「そりゃそうだけどよ」
二人の男が会話している。今の陰にいるシキには気付いていないようだ。ただし、気付かれていようがいまいがやることは変わらない。二人とも殺す。
シキが姿を現すが、気付かれない。そのまま二人の首を切り落とした。即座に鼻を働かせ、アレンの位置を特定する。少女は走り出した。
五秒も走れば海賊達の最後尾に追いつく。見ただけで分かる。あのデカい隻腕がこの場のボスだ。あれを真っ先に殺す。
シキは加速をそのままにして、軍勢に突っ込んだ。白銀の風が一気に死体を作り出す。
何か事態の異常性を感じ取った隻腕の海賊が後ろを向いた。ズドンと自身の部下が宙を舞っている。何だ? この異常事態は?
そこでコストイラ達も盛り上がる。シキ一人に負けてたまるか、と牙を剥く。
「な」
隻腕の海賊が目を丸くする。
どっちだ。どっちから先に対処すればいい。
コストイラとシキが揃ってボスの元まで辿り着く。
「くそっ!」
隻腕の海賊は本能で対処する。左側のコストイラを鉤爪で、右側のシキを極大なカットラスで押さえようとする。
しかし、真鍮で作られた鉤爪は見事に折れ曲がった。カットラスは、熱したナイフでバターを切るが如く勢いで、簡単に切られた。ついでかのように右腕を切られる。
「ガッ!?」
両腕がもう使い物にならない。ここから先の攻撃を防ぐことができるのか? いや、できるはずがない。反語。
ならば、どうするか? 決まっている。逃げるしかない。
そう決断した時には足元に蒼色の毛髪が見えた。隻腕の海賊はそれが何か考える前に体が後退していた。
ギリギリで躱した海賊の腹筋に槍が通った。一筋の赤い線が走るが、この際一切気にしない。全力で逃走するのみに心血を注ぐ。
「追っても放っても面倒そうだぞ」
「放ったら万全の状態に加えてさらなる戦力で倒しに来るわ。追ったら間違いなく相手の拠点が戦場になる」
「今のうちに叩いておかないと、どこまで増殖するか分かんねぇぞ」
アシドの言うことにゾッと背中に来るものを感じ、即座に追いかけることにした。
「皆も行くわよ」
コストイラとアシドを追いかけるようにアストロが走り出す。レイドやエンドローゼが従う中、アレンとシキは止まったままだ。
「本当に大丈夫なのでしょうか。これ、罠とかじゃないですよね」
「……」
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「よ、よし。追いかけましょう。ところで」
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「僕、すでに皆さんがどこに行ったのか分からないんですけど、シキさん分かります?」
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シキがとりあえず何も考えずにアレンを抱え上げ、走り出した。
あれ? 顔、近くない?
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