メグルユメ
26.守護する者達
最近の王はさぼっている。いや、いつもサボっているな。
最近の王は特にサボり気味だ。そんな王に口出しできる者は数少ない。
その中の一人。近衛騎士団”月の使者”団長のディーノイがいない時は魔力補助剤をチビチビ飲みながら、机に突っ伏している。
それを目撃しているナイトとフィリスは注意しなければならないのだが、あまりにも目上すぎる。
「ナイト兄。注意しなくていいのか?』
「したいけどな。こっちは元子爵、向こうは現王様。直接意見なんて無理でしょ」
「ディーノイ様』
「今は巷で話題の箱舟事件により出張中だ。まだ戻ってくる予定はない」
「ワーテルロー様』
「執事長は通常業務がお忙しい方だ。最近はそうでもないらしいけど、今の時間は基本的に家族との時間にしているから、城内にいない」
「パンピエット様』
「メイド長は最近入ったメルちゃん、ルーサちゃんへの教育で時間が取られていて、こちらに顔をお見せする回数が減っている」
「ピット様』
「宰相様は現在外交のための準備を行っていらっしゃる。少なくともあと二、三日は顔をお見せされることはないでしょう」
「チリミア様』
「菓子職人様は現状のフォン様を確認した後、自分で何ができるかをお考えになったところ、菓子作りのために厨房に籠っていらっしゃる」
「我々しかいない』
「そう。我々だけだ」
ナイトとフィリスが互に見つめ合い、そして互いにフォンを見た。
フォンは魔力補助剤をチャプチャプと波立たせながら、机に突っ伏している。
『畜生。エンドローゼちゃんに頼られているってゆーのに、何もできていないじゃないか。皆に見えているってゆーのに、アレンだけが見えねェ』
ギシリと椅子に凭れた。フォンが額を覆うように手を置いた。
『私の魔眼でも見えない。ってことは何か空間操作系の魔道具がどこか絡んでいるな。そんなもの持っている奴はどこのどいつだ~い?』
フォンは思考を巡らせる。魔道具を持っている可能性が高い奴を列挙させていく。
そして、フォンが睨んでいる第一候補は同じ魔王のゴイアレだった。
『ペテロシウス様!』
ガシャガシャと鎧の音を鳴らしながら、眼に光を湛えた女が片膝を着いた。
目の前にいる男は光の翼をピコピコと動かしながら、振り返った。
顔に日本の大きな刀傷が走っていた。魔王は殺す。その意思が全面に感じ取れた。
『どうした』
『ゴイアレが城にいることが確認できました。いつでも攻撃を開始できます』
『よし。しかし、まだ待機だ。万全の準備をしておけ』
『承知しました』
セプオクが下がる。ペテロシウスはハンマーを置き、その柄の先端に手を掛けた。
『インサーニアが死に、魔王は残り五人。我々の手で二つ目の巨星を落とす。殺す。完膚なきまでに』
筋肉が勝手に暴れ出す。それを理性でもって抑え込む。
『あれがいなければ、我等が主が、エレスト様がトップに成れるというのに』
山を守護していたカトブレパスが一つ目を開けた。
『あぁ、始まる』
最近の王は特にサボり気味だ。そんな王に口出しできる者は数少ない。
その中の一人。近衛騎士団”月の使者”団長のディーノイがいない時は魔力補助剤をチビチビ飲みながら、机に突っ伏している。
それを目撃しているナイトとフィリスは注意しなければならないのだが、あまりにも目上すぎる。
「ナイト兄。注意しなくていいのか?』
「したいけどな。こっちは元子爵、向こうは現王様。直接意見なんて無理でしょ」
「ディーノイ様』
「今は巷で話題の箱舟事件により出張中だ。まだ戻ってくる予定はない」
「ワーテルロー様』
「執事長は通常業務がお忙しい方だ。最近はそうでもないらしいけど、今の時間は基本的に家族との時間にしているから、城内にいない」
「パンピエット様』
「メイド長は最近入ったメルちゃん、ルーサちゃんへの教育で時間が取られていて、こちらに顔をお見せする回数が減っている」
「ピット様』
「宰相様は現在外交のための準備を行っていらっしゃる。少なくともあと二、三日は顔をお見せされることはないでしょう」
「チリミア様』
「菓子職人様は現状のフォン様を確認した後、自分で何ができるかをお考えになったところ、菓子作りのために厨房に籠っていらっしゃる」
「我々しかいない』
「そう。我々だけだ」
ナイトとフィリスが互に見つめ合い、そして互いにフォンを見た。
フォンは魔力補助剤をチャプチャプと波立たせながら、机に突っ伏している。
『畜生。エンドローゼちゃんに頼られているってゆーのに、何もできていないじゃないか。皆に見えているってゆーのに、アレンだけが見えねェ』
ギシリと椅子に凭れた。フォンが額を覆うように手を置いた。
『私の魔眼でも見えない。ってことは何か空間操作系の魔道具がどこか絡んでいるな。そんなもの持っている奴はどこのどいつだ~い?』
フォンは思考を巡らせる。魔道具を持っている可能性が高い奴を列挙させていく。
そして、フォンが睨んでいる第一候補は同じ魔王のゴイアレだった。
『ペテロシウス様!』
ガシャガシャと鎧の音を鳴らしながら、眼に光を湛えた女が片膝を着いた。
目の前にいる男は光の翼をピコピコと動かしながら、振り返った。
顔に日本の大きな刀傷が走っていた。魔王は殺す。その意思が全面に感じ取れた。
『どうした』
『ゴイアレが城にいることが確認できました。いつでも攻撃を開始できます』
『よし。しかし、まだ待機だ。万全の準備をしておけ』
『承知しました』
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『インサーニアが死に、魔王は残り五人。我々の手で二つ目の巨星を落とす。殺す。完膚なきまでに』
筋肉が勝手に暴れ出す。それを理性でもって抑え込む。
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『あぁ、始まる』
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