メグルユメ
25.魔王を討たんとする者
コストイラが顎まで伝わった汗を拭った。
現在、コストイラ達は山の頂上にいた。次の山の頂上こそが目的のアレンがいる場所だ。
今は一気に片を付けるために、英気を養うべく、休憩していた。これにはエンドローゼも賛成してくれた。このままいけば傷が増えるかもしれないからだ。
「何か来た」
シキがナイフに触れる。コストイラも刀に手を伸ばす。
「何が来たの? 私にはまだ分かんないんだけど」
「ありゃ天使だな」
「おそらく”天界の使徒”」
「それって、あれよね。”天への階”とかよね。他の名前は今パッと出てこないけど」
「それな」
アストロは未だに見えないため、目を細めている。レイドがアストロの側まで身を寄せ、指を差した。
「あれだ」
「あぁ、何となく見えてきた気がする」
小さい豆粒が大きくなるにつれ、敵であることが確認できた。
トライデントを持っていることからアークエンジェルのような気がする。
アークエンジェルが空中で止まると、トライデントをくるくるとまわして気合を入れた。アークエンジェルが誰から倒すかを見ていると、シキが石を投げつけた。天使がトライデントを振るい、石を叩き落とした。
振った後の姿の状態で、さらに石が見えた。え? 石、多くない? というか、私の手、痺れているんだけど。ただの投擲のくせして、なんて馬鹿げた威力なんだ。
だというのに、なんて速度で投擲してくるんだ。
早く殺さなければ!
アークエンジェルの眼がきつく吊り上がり、全身の血管が浮かび上がる。
小石だというのに、アークエンジェルの左頬を削った。歯茎がいくつか折れ曲がり、歯が飛んだ。そして、翼がなくなった。
「ストップ」
アストロがシキの腕を止めた。シキが小首を傾げた。
「堕ちているから。一旦ストップ」
「分かった」
素直に石投げを止めた。
両の翼を失ったアークエンジェルは墜落した。最近見た同胞の死体は翼に穴が開いていた、つまり、そういうことか?
やはり、勇者は殺す!!
アークエンジェルは身を捻り、地面に降り立った。勇者殺す。その意思を燃料にどんどん燃え上がる。
しかし、顔を上げると、それ以上に燃える男がいた。何を燃料にしているのかは一切不明。だというのに、私以上に燃えている?
トライデントに白い光が集まる。その武器を振るうと、刀も下りてきた。
トライデントと刀が交わる。火花が散る。いや、これが火花なのか、相手の刀から迸る火の粉なのかが分からない。
そのまま弾き返そうとすると、刀が入ってきた。
『あ?』
低い声が出た。しかし、続く声が出なかった。
二振り目が喉を切り裂いたのだ。
『わた……』
私を倒しても仲間が倒しに来る。そう言いたかったが、喉は血でふさがれており、出てこなかった。
アークエンジェルの振り上げようとした腕に電気伝達はなく、動いてくれなかった。
「面倒だが、これは魔王の尖兵か分かんねぇな」
「ま、ま、魔王城に近ーいのですから、ま、ま、魔王のせ、せー、尖兵では、なーいんですか?」
「魔王の種族とか、街の作り方とかが重要だな。集まってくる種族が変わってくる」
「そうね。天使なら余計にね」
「成る程」
コストイラとアストロの説明によって、エンドローゼが納得した。
「行こう。急がなくっちゃいけない理由ができた」
「えぇ。無事である可能性が相変わらず不明ね」
「ぶ、ぶ、無事です! きっと……」
ぷっくりと頬を膨らませて、エンドローゼが抗議してくる。
エンドローゼがこうなのだ。きっと、フォンが何とかしてくれているのだろう。
現在、コストイラ達は山の頂上にいた。次の山の頂上こそが目的のアレンがいる場所だ。
今は一気に片を付けるために、英気を養うべく、休憩していた。これにはエンドローゼも賛成してくれた。このままいけば傷が増えるかもしれないからだ。
「何か来た」
シキがナイフに触れる。コストイラも刀に手を伸ばす。
「何が来たの? 私にはまだ分かんないんだけど」
「ありゃ天使だな」
「おそらく”天界の使徒”」
「それって、あれよね。”天への階”とかよね。他の名前は今パッと出てこないけど」
「それな」
アストロは未だに見えないため、目を細めている。レイドがアストロの側まで身を寄せ、指を差した。
「あれだ」
「あぁ、何となく見えてきた気がする」
小さい豆粒が大きくなるにつれ、敵であることが確認できた。
トライデントを持っていることからアークエンジェルのような気がする。
アークエンジェルが空中で止まると、トライデントをくるくるとまわして気合を入れた。アークエンジェルが誰から倒すかを見ていると、シキが石を投げつけた。天使がトライデントを振るい、石を叩き落とした。
振った後の姿の状態で、さらに石が見えた。え? 石、多くない? というか、私の手、痺れているんだけど。ただの投擲のくせして、なんて馬鹿げた威力なんだ。
だというのに、なんて速度で投擲してくるんだ。
早く殺さなければ!
アークエンジェルの眼がきつく吊り上がり、全身の血管が浮かび上がる。
小石だというのに、アークエンジェルの左頬を削った。歯茎がいくつか折れ曲がり、歯が飛んだ。そして、翼がなくなった。
「ストップ」
アストロがシキの腕を止めた。シキが小首を傾げた。
「堕ちているから。一旦ストップ」
「分かった」
素直に石投げを止めた。
両の翼を失ったアークエンジェルは墜落した。最近見た同胞の死体は翼に穴が開いていた、つまり、そういうことか?
やはり、勇者は殺す!!
アークエンジェルは身を捻り、地面に降り立った。勇者殺す。その意思を燃料にどんどん燃え上がる。
しかし、顔を上げると、それ以上に燃える男がいた。何を燃料にしているのかは一切不明。だというのに、私以上に燃えている?
トライデントに白い光が集まる。その武器を振るうと、刀も下りてきた。
トライデントと刀が交わる。火花が散る。いや、これが火花なのか、相手の刀から迸る火の粉なのかが分からない。
そのまま弾き返そうとすると、刀が入ってきた。
『あ?』
低い声が出た。しかし、続く声が出なかった。
二振り目が喉を切り裂いたのだ。
『わた……』
私を倒しても仲間が倒しに来る。そう言いたかったが、喉は血でふさがれており、出てこなかった。
アークエンジェルの振り上げようとした腕に電気伝達はなく、動いてくれなかった。
「面倒だが、これは魔王の尖兵か分かんねぇな」
「ま、ま、魔王城に近ーいのですから、ま、ま、魔王のせ、せー、尖兵では、なーいんですか?」
「魔王の種族とか、街の作り方とかが重要だな。集まってくる種族が変わってくる」
「そうね。天使なら余計にね」
「成る程」
コストイラとアストロの説明によって、エンドローゼが納得した。
「行こう。急がなくっちゃいけない理由ができた」
「えぇ。無事である可能性が相変わらず不明ね」
「ぶ、ぶ、無事です! きっと……」
ぷっくりと頬を膨らませて、エンドローゼが抗議してくる。
エンドローゼがこうなのだ。きっと、フォンが何とかしてくれているのだろう。
「ファンタジー」の人気作品
-
-
4.9万
-
-
7万
-
-
4.8万
-
-
2.3万
-
-
1.6万
-
-
1.1万
-
-
2.4万
-
-
2.3万
-
-
5.5万
書籍化作品
-
-
63
-
-
222
-
-
441
-
-
0
-
-
239
-
-
11128
-
-
756
-
-
1
-
-
1980
コメント