メグルユメ
10.冥府の穴
森はすぐに抜けられた。安堵したようにコストイラが伸びをするが、溜息を吐いた。
「山だ……」
「……山っつーか崖だな、こりゃ」
コストイラが首を折り、アシドが額に手を当てた。
「シ」
シキが黙るように言ってくる。何かと思い、静かにシキの目線の先を見つめると、オオカミのようなものが寝ていた。まだこちら側に反応していない。
コストイラが静かに移動するようにハンドサインする。
レイド達は頷き、指を差した。そこには明らかに人工的だが、向こう側まで続いていそうな道の入口があった。
目下そこに行くことを短期目標にして行動を始める。
こういう時、エンドローゼが何かやらかして、狼擬きが起きて襲われるのが通例。それを起こされるのは困るので、エンドローゼの手をアストロが握った。そういうことをされると思っていなかったエンドローゼは凄いニコニコしている。
その後、狼擬きが起きてしまった。しかし、原因はエンドローゼでも時間でもなかった。
上からバルログが降ってきたのだ。
800㎏近い体重が遠慮なく着地した。その衝撃、振動によって狼擬きが置いてしまったのだ。
『ハァ』
『ブルル』
バルログの口端から湯気のような白い息が吐かれる。完全に捕捉されてしまった。ここから逃げるのはもう無理だろう。
狼擬きは眠気を覚ますように頭を振り、完全にこちらと敵対している。
二手に分かれるのは可能だが、問題は狼擬きの方が完全に初見であるという点だ。どう立ち回るべきなのか分からないので、時間がかかってしまうだろう。
シキ、レイド、エンドローゼがバルログを残りの幼馴染トリオが狼擬きを担当する。
『グン!』
バルログがパンチを繰り出す。レイドが楯で完璧に防ぐ。力に押され、レイドの体が後ろに下がる。バルログも反射して体が反った。
上からシキが踵を落とした。左肩に当たり、爆発した。弾け飛んでいないが、骨も肉もばっちり露出している。
バルログが拳に炎を纏う。未だ着地していないシキに向けた。
シキは無表情に、無感動に、無反応にナイフを振るった。センテンロールの時に炎を浴び、痛い目を見たことがある。
その経験があったからこそ、シキは恐れなかった。あの時より火力低そうだから、いけるでしょ。
シキは炎に体を焼かれながら、ナイフを二振り振るった。右の手首を切り落とし、その切り傷から斬撃が伝播していく。
まだ我慢できる熱さだ。じゃあ、このままでいいだろう。
後ろへのけぞろうとするバルログに糸を巻き付け、そのまま近づく。
右のナイフを振るう。
ボロリと首が落ちた。
シキが着地した瞬間、手を引かれた。いつ近づかれたのか気付かなかった。誰だ?
「あ」
思わずといった感じに声が出た。シキにしては珍しい反応だが、それは手を引いた人物の正体のせいだ。
その人物は皆が最強の冒険者と呼んでいるエンドローゼだった。特定の条件下で最強の存在へと変わる少女なのだ。その状態となったエンドローゼは止めることができるものはおらず、あのシキでも従わざるを得ない。
シキはおとなしく腕を引かれ、チクチクとお説教されながら、治してもらうのだった。
「山だ……」
「……山っつーか崖だな、こりゃ」
コストイラが首を折り、アシドが額に手を当てた。
「シ」
シキが黙るように言ってくる。何かと思い、静かにシキの目線の先を見つめると、オオカミのようなものが寝ていた。まだこちら側に反応していない。
コストイラが静かに移動するようにハンドサインする。
レイド達は頷き、指を差した。そこには明らかに人工的だが、向こう側まで続いていそうな道の入口があった。
目下そこに行くことを短期目標にして行動を始める。
こういう時、エンドローゼが何かやらかして、狼擬きが起きて襲われるのが通例。それを起こされるのは困るので、エンドローゼの手をアストロが握った。そういうことをされると思っていなかったエンドローゼは凄いニコニコしている。
その後、狼擬きが起きてしまった。しかし、原因はエンドローゼでも時間でもなかった。
上からバルログが降ってきたのだ。
800㎏近い体重が遠慮なく着地した。その衝撃、振動によって狼擬きが置いてしまったのだ。
『ハァ』
『ブルル』
バルログの口端から湯気のような白い息が吐かれる。完全に捕捉されてしまった。ここから逃げるのはもう無理だろう。
狼擬きは眠気を覚ますように頭を振り、完全にこちらと敵対している。
二手に分かれるのは可能だが、問題は狼擬きの方が完全に初見であるという点だ。どう立ち回るべきなのか分からないので、時間がかかってしまうだろう。
シキ、レイド、エンドローゼがバルログを残りの幼馴染トリオが狼擬きを担当する。
『グン!』
バルログがパンチを繰り出す。レイドが楯で完璧に防ぐ。力に押され、レイドの体が後ろに下がる。バルログも反射して体が反った。
上からシキが踵を落とした。左肩に当たり、爆発した。弾け飛んでいないが、骨も肉もばっちり露出している。
バルログが拳に炎を纏う。未だ着地していないシキに向けた。
シキは無表情に、無感動に、無反応にナイフを振るった。センテンロールの時に炎を浴び、痛い目を見たことがある。
その経験があったからこそ、シキは恐れなかった。あの時より火力低そうだから、いけるでしょ。
シキは炎に体を焼かれながら、ナイフを二振り振るった。右の手首を切り落とし、その切り傷から斬撃が伝播していく。
まだ我慢できる熱さだ。じゃあ、このままでいいだろう。
後ろへのけぞろうとするバルログに糸を巻き付け、そのまま近づく。
右のナイフを振るう。
ボロリと首が落ちた。
シキが着地した瞬間、手を引かれた。いつ近づかれたのか気付かなかった。誰だ?
「あ」
思わずといった感じに声が出た。シキにしては珍しい反応だが、それは手を引いた人物の正体のせいだ。
その人物は皆が最強の冒険者と呼んでいるエンドローゼだった。特定の条件下で最強の存在へと変わる少女なのだ。その状態となったエンドローゼは止めることができるものはおらず、あのシキでも従わざるを得ない。
シキはおとなしく腕を引かれ、チクチクとお説教されながら、治してもらうのだった。
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